阪急電鉄の介助予約システムの導入からわかる「予約・受付システム」開発のポイント
2025-02-10

デジタル化の進展に伴い、予約・受付システムの導入を検討する企業が増えています。
本コラムでは、阪急電鉄が導入する介助予約システムの事例(記事)を基に、予約・受付システムの開発ポイントを解説します。
適切なシステムを構築することで、業務効率の向上や顧客満足度の向上が可能になります。
特に、「どのような機能を備えるべきか」「開発時に注意すべきポイント」について、
システムのご発注をご検討のご担当者様が押さえておくべきポイントを詳しく説明します。
目次
【記事要約】阪急電鉄、介助予約システムを導入へ
阪急電鉄は、障害者や高齢者向けにウェブで介助予約ができるサービスを今春導入予定です。英トランスレポート社のシステムを採用し、経路検索と介助申し込みを一括で行う仕組みを構築。これにより、駅員との連携を効率化し、業務負担を軽減します。
新システムでは、視覚障害や車いす利用などの情報を事前登録し、必要な介助内容を選択可能。利用者が経路を入力すると、予約情報が駅係員のスマートフォンやPCに通知され、承認後にサービスが提供されます。阪急線内87駅での乗降に対応し、利用は無料です。
従来の電話・対面での依頼をデジタル化することで、確認作業やミスを削減。日本国内での導入は初めてで、阪急電鉄は今後、他の私鉄やJRへの展開も視野に入れています。国土交通省の調査では、車いす利用者の約8割が鉄道利用に時間がかかると感じており、本システムは移動の利便性向上に貢献すると期待されています。
出典:日本経済新聞「阪急電鉄、駅での介助ウェブ予約英新興システム採用」2025年2月5日付朝刊
ポイントをひとことで
予約・受付システムの導入は単なる業務効率化ではなく、顧客体験の向上と現場の負担軽減を両立させる戦略的施策です。阪急電鉄の介助予約システムの成功は、「現場の業務フローに適合した設計」「シンプルなUI/UX」「リアルタイム連携によるスムーズな運用」という3つの要素が鍵となっています。企業が予約・受付システムを導入する際は、「どんな機能が必要か?」だけでなく、「どう現場に馴染み、活用されるか?」を重視することが成功の分かれ道になります。デジタル化の目的はシステム導入ではなく、実際に業務が楽になり、顧客満足度が向上することであることを忘れてはいけません。
予約・受付システムとは?導入のメリット
予約・受付システムとは、顧客がオンラインで事前に予約を行い、企業がそれを管理するためのデジタルツールです。
導入することで、以下のようなメリットがあります。
・業務の効率化:予約管理を自動化することで、電話対応や手作業による予約管理の負担を軽減できます。
・顧客の利便性向上:24時間いつでもオンライン予約が可能になり、利便性が向上します。
・ヒューマンエラーの削減:予約の重複やミスを防ぎ、スムーズな対応を実現できます。
・データの蓄積と活用:予約データを活用して、サービス改善やマーケティング施策に生かせます。
介助予約システムの事例から学ぶ成功のポイント
阪急電鉄が導入する介助予約システムでは、以下のような開発の成功ポイントが見られます。
・スマホ・PCで簡単に予約可能:視覚障害者や高齢者にも使いやすいシンプルなUI/UX設計。
・リアルタイム連携:予約情報が駅員のスマートフォンやPCに即時通知され、迅速に対応可能。
・紙や電話対応を削減:これまでの手作業(紙のメモや電話)をデジタル化し、業務効率を大幅に向上。
この事例は、業務フローのデジタル化が、企業と顧客双方にメリットをもたらすことを示しています。
予約・受付システムの開発時に考えるべきポイント
実際に予約・受付システムを開発する際、以下のポイントを押さえることが重要です。
(1)「自社に必要な機能」を明確にする
予約・受付システムには、さまざまな機能がありますが、すべての機能が必要なわけではありません。
以下のような業種ごとの特性に応じた機能選定が重要です。
業種 | 必要な機能例 |
飲食店 | テーブル予約、時間指定、キャンセル機能 |
医療機関 | 診察予約、患者情報管理、リマインド通知 |
スポーツジム | クラス予約、会員情報管理、決済連携 |
美容サロン | 施術メニュー選択、指名予約、リマインダー通知 |
POINT:「とりあえず多機能」を避け、必要な機能を明確にすることが成功のカギ!
(2)使いやすいUI/UX設計
「せっかくシステムを導入しても、スタッフや顧客が使いにくくて活用されない…」という失敗を防ぐために、以下のようなユーザビリティの高いデザインを意識しましょう。
・シンプルな操作フロー:「予約→確認→完了」まで最短ステップで完結できる
・スマートフォン対応:スマホでも操作しやすい画面
・視認性の高いデザイン:文字サイズやボタンの配置を最適化
(3)リアルタイム通知・API連携
予約情報は、管理者側と利用者側の両方にリアルタイムで通知される仕組みが重要です。
また、他のシステムとのAPI連携も検討するとよいでしょう。
・リアルタイム通知:LINEやメールで予約完了・リマインダー通知を送る。
・外部システムと連携:会計ソフト、顧客管理(CRM)システム、ポイント管理と連携する。
(4)データ管理とセキュリティ対策
顧客情報を扱うため、セキュリティ対策も不可欠です。
特に、個人情報の取り扱いについては、以下の点をチェックしましょう。
・SSL/TLSによる通信暗号化:予約時の情報漏洩を防ぐ。
・アクセス制御の設定:管理者とスタッフでアクセス権限を分ける。
・法令遵守(個人情報保護法など):必要な場合はプライバシーポリシーを明示します。
まとめ
予約・受付システムは、適切に設計・開発すれば、業務効率化と顧客満足度向上を同時に実現できます。
開発を進める前に、以下のポイントを整理しましょう。
・「自社に必要な機能」を明確にする(多機能=良いシステムではない!)
・使いやすいUI/UXを意識する(スマホ対応、シンプルな操作性)
・リアルタイム連携を考慮する(APIや通知機能の活用)
・セキュリティ対策を徹底する(データ漏洩防止、アクセス管理)
「自社に合った予約・受付システムを作りたい!」という企業のご担当者さまは、下記よりお気軽にご相談ください。
<著者プロフィール>
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。