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COLUMN コラム詳細

オープンAIとソフトバンクG、生成AI事業の依存リスクにみるベンダーロックインの危険性と回避策「このシステム、もう変えられない…」

2025-02-12

システム導入時に見落としがちな「ベンダーロックイン」とは、特定の開発会社やプラットフォームに依存し、自由に乗り換えや拡張ができなくなる状態を指します。
これにより、コストの高騰、サービスの質の低下、技術革新への適応が困難になるリスクが生じます。

本コラムでは、ベンダーロックインが発生する原因を解説し、その回避策として「オープン技術の活用」「契約時の工夫」「移行性を考慮したシステム設計」などの具体的な方法を紹介します。

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【記事要約】オープンAIとソフトバンクG、生成AI事業の依存リスク

ソフトバンクグループ(SBG)と米オープンAIは、日本のシステム開発者不足に対応する企業向け生成AI事業を展開する。しかし、AIサービスに依存することで、企業は他社への乗り換えが困難になり、長期的なコスト増加のリスクを抱える可能性がある。

すでにクラウドサービス分野では、利用企業が一方的な値上げを受け入れざるを得ないケースが発生しており、今回のAI事業でも同様の懸念がある。
また、企業が機密データを外部管理することで、情報管理やセキュリティ面の課題も指摘されている。新サービスの導入費用や運用コストの詳細が不透明であり、慎重な検討が必要となる。

出典:日本経済新聞「オープンAI、収益化へ活路 折半で新会社日本の開発者不足に的 顧客には依存リスクも」2025年2月4日朝刊

ポイントをひとことで

システム開発におけるベンダーロックインは、コスト増や技術的自由度の低下を招く重大なリスクです。特に、契約で著作権やソースコードの所有権がシステム開発会社側にある場合、企業はシステム改修や移行が制限され、将来的な選択肢が狭まります。これを回避するには、オープン技術の採用・契約時の権利明確化が不可欠です。システム導入時には、「将来の変更・移行が容易か?」を常に意識し、脱ロックイン戦略を考慮することが重要です。

ベンダーロックインとは?

「ベンダーロックイン」とは、特定のシステム開発会社やプラットフォームに依存し、簡単に他社のサービスへ移行できなくなる状態を指します。企業にとって便利なシステムを導入したつもりが、気付けば「変えたくても変えられない」状況に陥ることがあります。

例えば、特定のクラウドベースのERP(統合基幹業務システム)を導入した企業が、後に高額な運用コストを強いられたり、カスタマイズの自由度が制限されてしまったりするケースがあります。

ベンダーロックインの主なリスク

コストの高騰
契約時は手頃な価格だったシステムも、乗り換えが困難になると、ベンダー側の一方的な価格変更に対応せざるを得なくなります。特に、クラウドサービスでは値上げのリスクが高まります。

サービスの品質低下
依存度が高まると、ベンダーは競争力を維持する必要がなくなり、サポート品質の低下や、必要な機能の追加が遅れることがあります。

技術の陳腐化
特定の技術に依存すると、新しい技術や他のソリューションへの移行が難しくなります。その結果、システムの老朽化が進み、ビジネスの変化に柔軟に対応できなくなるリスクがあります。

データ移行の困難さ
一度ベンダーのシステムにデータを蓄積すると、他のシステムへデータを移行する際に多大なコストや時間がかかることがあります。特に、独自フォーマットで管理されている場合やデータの移行が制限されている場合、他社システムへの移行が非常に困難になります。

ベンダーロックインを回避するための4つの対策

オープン技術を活用する
ベンダー依存を避けるため、オープンソース技術や標準規格に基づいたシステムを選ぶことが重要です。例えば、データベースならばMySQLやPostgreSQL、クラウドならばマルチクラウド対応のものを選ぶと、移行しやすくなります。

契約時に「脱出戦略」を設計する
システム導入時の契約で「データのエクスポートが可能か」「解約時の移行支援を受けられるか」といった条件を明記しておくことで、将来的な乗り換えをスムーズに進められます。

システム設計時に「移行しやすさ」を考慮する
初期設計の段階で、データの移行性や、他システムとの互換性を意識することで、後の乗り換えがスムーズになります。特に、データのフォーマットを業界標準に合わせることが重要です。

知的財産権・所有権の契約内容を確認する

システム開発を委託する際、契約上の知的財産権や所有権の取り決めに注意が必要です。ソースコードやシステムの所有権が開発会社にある場合、契約終了後に修正や改修が自由にできなくなる可能性があります。

回避策としては以下の点を契約で明確にしておくべきです。

  • 著作権・所有権の帰属:納品されたシステムの知的財産権が発注者にあることを明記する。
  • カスタマイズ権限:発注者が自由にシステムの改修や機能追加を行えるようにする。
  • ソースコードの開示:システムのソースコードを発注者が保有し、他の開発会社への移行が可能な状態にする。
  • ライセンス条件:開発会社が再利用できる部分と、発注者が独占的に利用できる部分を明確にする。
  • 契約解除時の対応:契約終了後もシステムが引き続き使用できるように、運用・保守の引き継ぎ手続きを契約時に定めておく。

このように、契約段階で所有権や知的財産権の取り決めを適切に行うことで、将来的に開発会社に依存せず、自由にシステムを運用できる環境を確保できます。

まとめ

システム導入の際は、目先の利便性やコストだけでなく、長期的な視点で「依存リスク」を考えることが重要です。ベンダーロックインを回避するためには、オープン技術の活用、契約時の工夫、移行しやすいシステム設計など、事前の対策が不可欠です。

特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、柔軟にシステムをアップデートできる環境を整えることが、企業の競争力を高める鍵となります。システム選定時には「将来、変更しやすいか?」という視点を忘れずに判断しましょう。

この様に、システム導入前に「脱ロックイン」の視点を持つことが重要です。

ベンダーロックインにお困りであったり、ベンダーロックインを回避したシステム開発にご興味のある企業のご担当者さまは、下記よりお気軽にご相談ください。

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<著者プロフィール>
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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