食品、品目ごと収支管理に学ぶ企業の部門間データ統合が生む新たな価値
データ統合で変わる意思決定!企業競争力を高める最適解とは?
2025-02-19

企業の各部門が異なるシステムを使用し、データが分断されていると、業務の効率が低下し、経営判断のスピードも落ちてしまいます。特に、食品業界では需要予測の精度向上やコスト削減のために、データ統合の取り組みが進んでいます。
最近では、カルビーやアサヒグループホールディングスが、部門横断的にデータを統合するS&OP(販売・操業計画)システムを導入し、経営のスピードと正確性を向上させています。
これらの企業の事例をもとに、データ統合が企業経営にどのような影響を与えるのかを解説します。
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目次
【記事の要約】食品大手、収支管理を品目単位で強化
カルビーやアサヒグループホールディングスなどの食品大手は、原料調達から販売までの収支を金額ベースで一元管理する社内システムを導入する。
S&OP(販売・操業計画)手法を活用し、部門間で統合データを共有することで、迅速な経営判断を可能にする。品目ごとの収益性を分析し、利益に貢献しない商品の終売判断を容易にするほか、AIを活用した需要予測により在庫管理の最適化を図る。
アサヒビールは既に統合管理を進め、コスト削減を実現。日清食品も同様のシステム導入を計画しており、企業全体の効率向上を目指す。
出典:日本経済新聞「食品、品目ごと収支管理 カルビーやアサヒ データ集約し『見切り』早く」2025年1月16日付朝刊
ポイントをひとことで
部門間でデータが分断されている企業では、意思決定の遅れや業務の非効率が発生しやすくなります。本コラムでは、食品業界の事例を通じて、データ統合の重要性を解説しています。データを一元管理することで、収益の可視化、在庫最適化、迅速な経営判断が可能になり、企業の競争力を高めることができます。これは食品業界に限らず、製造業や流通業など多くの業界に応用可能なアプローチです。
データ統合は単なるシステム導入ではなく、業務プロセスの最適化と組織変革を伴う戦略的な取り組みとして捉えるべきでしょう。
データが分断されたままの企業に起こる問題
企業の部門ごとに異なるデータ管理を行っていると、次のような問題が発生します。
1. 意思決定の遅れ
各部門のデータが統合されていないため、経営判断に必要な情報を収集するのに時間がかかる。
2. 業務の非効率化
同じデータを複数の部門で個別に管理し、重複作業が発生する。
3. 需給バランスのズレ
販売データと在庫データが連携していないため、過剰在庫や品不足が発生しやすい。
4. コストの増加
無駄な仕入れや生産計画のミスにより、在庫管理や物流コストが増加する。
食品業界のデータ統合事例に学ぶ
カルビーやアサヒグループホールディングスでは、S&OP(販売・操業計画)システムを導入することで、部門間のデータを一元管理しています。
具体的には、次のような成果を上げています。
- 品目ごとの収益管理をリアルタイムで把握し、利益を生まない商品を迅速に見極める。
- AIを活用した需要予測システムと連携し、在庫不足や売れ残りのリスクを低減。
- データ統合による収支の最適化により、部門横断的なコスト管理が可能に。
このような取り組みは、食品業界に限らず、あらゆる業界で応用可能です。
部門間データ統合のメリット
データ統合を実施することで、次のようなメリットが得られます。
1. リアルタイムな経営判断が可能になる
部門ごとのデータが統合されることで、最新の売上や在庫状況をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定が可能になります。
2. 業務の効率化とコスト削減
データの重複管理がなくなり、業務フローの効率化が実現します。また、適切な生産計画が立てられるため、無駄な在庫を削減できます。
3. 需給バランスの最適化
AIを活用した需要予測システムと連携することで、販売計画と生産計画を最適化できます。
4. データを活用した新たな価値創出
顧客データや販売データを分析することで、新商品の開発やマーケティング施策の改善にもつながります。
データ統合を進めるためのポイント
データ統合を成功させるためには、以下の点を意識する必要があります。
- 適切なシステムの選定:ERP(基幹業務システム)やBIツールを活用し、自社に最適な統合プラットフォームを選ぶ。
- データ標準化の推進:部門ごとに異なるフォーマットや管理方法を統一し、データの一貫性を確保する。
- 社内の意識改革:データ統合に対する社内の理解を深め、部門間の協力体制を強化する。
- 段階的な導入:一度にすべてのデータを統合するのではなく、優先順位をつけて段階的に実施する。
まとめ:データ統合で企業の競争力を高めよう
データが分断されている状態では、迅速な経営判断が難しく、業務の効率も低下します。一方で、データを統合することで、収益の最大化、コスト削減、需給バランスの最適化といった多くのメリットを得ることができます。
食品業界の成功事例を参考に、企業のデータ統合を進めることで、より強い競争力を持つ組織を構築できるでしょう。
今後、データ統合を進める企業が増える中、自社のデータ管理を見直し、適切なシステムを導入することが求められています。貴社のデータ活用を次のステージへ進めるために、ぜひ部門間データ統合の検討を始めてみてはいかがでしょうか?
データの分断化に課題をお持ちの企業のご担当者さまは、下記よりお気軽にご相談ください。
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<著者プロフィール>
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。