【DX阻む手続き文化】DXが進まない企業に共通する3つの課題と解決策
システム導入だけでは不十分——DXを定着させるための重要な視点
2025-02-26

近年、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していますが、実際には思うように進まないケースも少なくありません。日本経済新聞の「岐路の地銀(中)旧弊に映る営業手法 DX阻む手続き文化」(2025年2月20日付朝刊)では、地方銀行(地銀)におけるDXの遅れが指摘されています。
決算書の紙ベース運用や煩雑な手続き文化がDXの障壁となり、業務効率や競争力を低下させているのです。これは地銀に限らず、DXが進まない企業全般に共通する課題と言えるでしょう。本コラムでは、地銀の事例をもとに、DXが進まない企業に共通する3つの課題とその解決策を解説します。
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目次
【記事要約】地銀のDX遅れ、伝統的手続き文化が障壁に
地方銀行(地銀)では、旧来の営業手法や手続き文化がDX推進の妨げとなっている。例えば、多くの地銀は未だに決算書を紙で受領しており、年間約2100万枚の紙を使用。データ活用により業務効率化が可能だが、従来の手続き文化が変革を阻んでいる。また、地銀自身のDX遅れに加え、中小企業へのDX支援も十分に機能していないとの指摘がある。DXによる生産性向上を進めなければ、地銀の競争力低下のみならず地域経済の発展も困難になる。
出典:日本経済新聞「岐路の地銀(中)旧弊に映る営業手法 DX阻む手続き文化」2025年2月20日付朝刊
ポイントをひとことで
DXが進まない企業の課題は、技術ではなく「文化」と「仕組み」にあることがよく分かる事例です。紙文化の残存、手続き重視の意思決定、導入後の活用不足は、どの業界でもDXの障壁になり得ます。成功の鍵は「スモールスタート」と「現場での定着」。まずは業務フローを見直し、小規模なデジタル化から始めることで、社内のDXリテラシーを高めることが重要です。また、単なるシステム導入ではなく、運用サポートや教育もセットで提供することで、DXの実効性を高めることができます。DXは単なるIT導入ではなく、業務変革そのものなのです。
紙文化が根強く残り、業務のデジタル化が進まない
課題:
地銀では、顧客からの決算書を未だに紙で受け取るケースが多く、年間約2100万枚もの紙が使用されています。紙のやりとりは、単なる資源の浪費にとどまらず、業務の非効率化やデータ活用の遅れにつながります。
解決策:
まずはペーパーレス化を推進し、デジタルデータの活用を進めることが重要です。例えば、OCR(光学文字認識)技術を活用すれば、紙の書類をデジタル化し、システム上で一元管理できます。また、クラウドストレージや電子契約サービスの導入も、業務の効率化につながるでしょう。
企業文化として「手続き重視」が根強く、DX推進が停滞する
課題:
銀行では稟議(りんぎ)や審査プロセスなど、慎重な手続き文化が根付いています。このような文化はDXの推進を妨げる要因となり、変革が進みにくい状況を生み出します。地銀の一例では、AIを活用した事務手続きの自動化を検討したものの、「膨大な顧客データを扱うリスク」を理由に導入を断念したケースもあります。
解決策:
DXを推進するには、社内の意思決定プロセスを見直すことが不可欠です。たとえば、デジタル化に関するプロジェクトチームを設置し、経営層が積極的に関与することで、スムーズな導入が可能になります。また、「小さく始めるDX」を意識し、全社的な大改革ではなく、まずは一部の業務からデジタル化を進めるアプローチも有効です。
DX支援を受けても、実際の活用が進まない
課題:
DX支援の提供者として、地銀は多くの中小企業に関与しています。しかし、導入したものの「自社のレベルでは使いこなせなかった」「銀行員のサポートが期待したほどではなかった」といった声も少なくありません。これは、DXを推進する側と導入する側の認識にズレがあるためです。
解決策:
システムやツールの導入だけでなく、社内でDXを定着させるための支援が重要です。具体的には、導入前の業務フロー分析や、従業員向けの研修・サポート体制の強化が効果的です。また、システム開発会社が伴走型支援を提供し、継続的にフォローアップすることで、導入効果を高めることができます。
まとめ:DXを成功させるためには「文化」と「仕組み」の両輪が必要
地銀の事例から分かるように、DXが進まない企業には以下の3つの課題が共通しています。
- 紙文化が残り、デジタル化が進まない → ペーパーレス化とデータ活用の推進
- 手続き重視の文化がDXを停滞させる → 意思決定プロセスの見直しと「小さく始めるDX」
- DX支援を受けても活用できない → 導入後のフォローアップと社員教育の強化
DXを成功させるには、新しいシステムを導入するだけでなく、企業文化の変革と、現場での定着を意識することが重要です。本コラムを参考に、貴社のDX推進に役立てていただければ幸いです。
最後になりますが、フレシット株式会社では、DXに関する伴走型のシステム開発の提供を行わせていただいておりますので、下記よりお気軽にご相談ください。
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<著者プロフィール>
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。