アシックスのEC戦略から学ぶ!ECの利益率を向上させる会員システムの作り方
“ただの会員登録”で終わっていませんか?利益を生むECの仕組みづくり
2025-03-03

EC市場の競争が激化する中、単なる売上拡大だけでなく、利益率の向上が事業成長の鍵となっています。特に、会員システムの活用は、顧客ロイヤルティの向上とリピート購入の促進に大きな影響を与えます。
スポーツブランド「アシックス」は、自社のECプラットフォーム「OneASICS」を活用し、利益率の高い販売戦略を実現しました。本コラムでは、OneASICSの成功事例をもとに、ECサイトの利益率を向上させる会員システムの設計ポイントについて解説します。
目次
【記事要約】アシックス、EC拡大で利益率向上し最高益を達成
アシックスは、電子商取引(EC)の拡大により収益性を向上させ、2025年12月期の連結純利益が前期比22%増の780億円と過去最高を見込む。自社のインターネット会員サービス「OneASICS」の会員数増加が、利益率の高いEC販売の拡大につながった。ブランド力向上と適正価格販売の徹底により、売上高総利益率は55.8%に改善。DXを活用したEC強化戦略が、企業成長の鍵となっている。
出典:日本経済新聞「アシックス最高益 今期最終22%増 『オニツカ』が好調 実質増配も」2025年2月15日付朝刊
ポイントをひとことで
本コラムは、ECの利益率向上における会員システムの重要性を明確に示しています。特に、データ活用によるパーソナライズ、直販比率の向上、LTV最大化が利益向上に直結する点は重要なポイントです。OneASICSの成功事例が示すように、会員システムは単なる顧客管理ツールではなく、ブランド体験の一部として戦略的に設計することが不可欠です。
さらに、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発の優位性にも触れられており、ECの成長に応じて柔軟に拡張できる設計が、持続的な利益率向上に寄与することが理解できます。企業がECの競争力を高めるためには、システム戦略の見直しが不可欠でしょう。
OneASICSがECの利益率向上に貢献した理由
OneASICSは、単なる会員登録制度ではなく、ブランド体験の一部として設計されています。利益率向上に寄与した主な要因は、以下の3つです。
1. データ活用によるパーソナライズ強化
会員システムを通じて、購入履歴・閲覧履歴・お気に入り登録などのデータを蓄積し、パーソナライズされた商品提案が可能になりました。これにより、関連商品の購入率(クロスセル)や単価アップ(アップセル)が向上し、売上増加とともに利益率の向上にも貢献しています。
2. 直販比率の増加で利益率改善
OneASICSの導入により、顧客が直営ECサイトでの購入に誘導される仕組みが強化されました。これにより、外部モールや小売店を介した販売よりも利益率の高い直販比率が上昇し、収益性の向上が実現しました。
3. 会員限定の特典やサービスでLTV(顧客生涯価値)を向上
OneASICSでは、会員向けの限定セール、特別クーポン、ポイント還元、パーソナルコーチングサービスなどを提供しています。これにより、リピーターを増やし、顧客単価と購入頻度を高めることで、利益率の向上に寄与しました。
利益率を高める会員システムの設計ポイント
OneASICSの成功から学べる、ECサイトの利益率を向上させる会員システムの設計ポイントを整理すると、以下の4つが重要です。
1. データ統合と分析の仕組みを構築する
会員システムは、単なる「顧客リスト」ではなく、データ活用基盤として機能することが求められます。CRMやCDP(カスタマーデータプラットフォーム)と連携し、購買データ・行動データを統合することで、ターゲットに応じた最適な施策を打ち出せるようにしましょう。
2. 会員限定のメリットを明確にする
顧客にとって、会員登録することで得られるメリットが明確であることが重要です。例えば、以下のような特典を設計すると、会員登録率やアクティブ率が向上します。
- 会員限定セール
- 購入時のポイント還元
- 誕生日特典や限定クーポン
- パーソナライズされた商品提案
3. ECサイト全体とシームレスに連携する
会員システムは、ECサイト全体とスムーズに連携することが重要です。例えば、カートシステム、決済、物流、カスタマーサポートと統合し、会員にとってストレスのないスムーズな購買体験を提供することが、リピート率の向上につながります。
4. サブスクリプションやロイヤルティプログラムを導入する
会員制ECの次のステップとして、サブスクリプションサービスやロイヤルティプログラムの導入も有効です。継続課金モデルを取り入れることで、安定した収益基盤を構築し、利益率の向上が期待できます。
フルスクラッチ(オーダーメイド)開発で実現する、利益率の高い会員システム
一般的なASPやパッケージ型のECプラットフォームでは、会員システムのカスタマイズに制約が多いケースが少なくありません。そのため、利益率を高めるために最適化された会員システムを導入するには、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発が効果的です。
フルスクラッチ(オーダーメイド)開発のメリットは以下のとおりです。
- 自社ビジネスに最適化された設計が可能(既存のプラットフォームに依存せず、自由な機能開発が可能)
- データ活用の自由度が高い(外部サービスと柔軟に連携し、AIや機械学習の活用も可能)
- ブランド体験を重視したUX設計ができる(会員向けの特別な購買体験を提供できる)
- 成長に応じて拡張できるスケーラブルな設計が可能(顧客増加や新たなビジネスモデルに対応しやすい)
アシックスのような企業が、独自の会員システムを構築することで利益率を向上させていることからも、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発の重要性がわかります。
まとめ:会員システムは利益率向上の鍵を握る
OneASICSの事例からわかるように、会員システムはECの利益率向上に直結します。特に、D2Cブランドや直販ECを強化したい企業にとって、データ活用、ロイヤルティプログラム、パーソナライズ施策を取り入れた会員システムは、LTVを最大化する有効な手段です。
また、利益率向上を狙う場合、自社の戦略に最適化された会員システムの構築が不可欠であり、そのためにはフルスクラッチ(オーダーメイド)開発が最適な選択肢となります。ECサイトの競争が激化する今こそ、会員システムを軸にした戦略を見直し、利益率向上につなげていきましょう。
最後になりますが、フレシット株式会社では、フルスクラッチ(オーダーメイド)で貴社に最適な会員システムを構築する伴走型のシステム開発の提供を行わせていただいております。
下記よりお気軽にご相談ください。
<著者プロフィール>
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。