フルスクラッチ開発で失敗しないための「仕様凍結マネジメント」実践ガイド
仕様変更が止まらない? そのリスク、コストに跳ね返ります。
2025-03-22

フルスクラッチ開発は、事業の独自性を最大限に反映できるメリットがある一方で、開発プロセスの管理が不十分だと、スケジュールの遅延やコスト増大といったリスクを抱えます。その中でも特に重要なのが「仕様凍結マネジメント」です。
本コラムでは、仕様凍結の適切な進め方や、プロジェクト成功のためのポイントを解説します。
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目次
【記事要約】旭川医大とNTT東の裁判、仕様凍結後の追加開発要望が争点に
電子カルテを含む病院情報管理システムの開発失敗を巡る訴訟で、札幌高裁は一審判決を覆し、旭川医科大学に全責任があると判断した。プロジェクト開始後、医大側は大量の追加開発を要求。NTT東は625項目を受け入れた後、仕様凍結に合意したが、その後も171項目の要望が続いた。高裁は、仕様凍結の合意が開発要望の拒否に相当すると認定し、NTT東のプロジェクトマネジメント義務違反を否定。契約解除時点でシステムはほぼ完成していたとし、旭川医大に約14億円の賠償を命じた。ユーザー企業には、開発ベンダーの説明を受け、プロジェクトを適切に管理する責任があることが改めて示された。
出典:日経コンピュータ「失敗の全責任はユーザー側に、旭川医大とNTT東の裁判で逆転判決」2017年9月29日
【記事要約】旭川医大とNTT東、仕様凍結後の追加開発が訴訟に発展
旭川医科大学とNTT東日本の病院情報管理システム開発は、仕様の追加・変更が続いたことで開発遅延に陥り、最終的に契約解除と訴訟に発展した。当初2009年9月の稼働予定だったが、仕様変更が相次ぎ、2009年7月に仕様凍結を決定。しかし、その後も171項目の追加要望があり、NTT東は136項目を受け入れたが、開発はさらに遅延した。2010年4月、旭川医大は契約を解除し、NTT東は23億円の損害賠償を請求。裁判では、仕様凍結後の追加開発が争点となり、旭川医大の協力義務違反が指摘された。ユーザー企業には、仕様を適切に管理し、開発ベンダーと協力する責任があることが改めて示された。
出典:日経コンピュータ「システム開発の失敗を巡り裁判に至るまで、旭川医大とNTT東の2010年」2010年10月13日号
ポイントをひとことで
仕様凍結マネジメントは、フルスクラッチ開発の成功を左右する重要なプロセスです。
仕様が曖昧なまま進行すると、開発途中で追加要望が発生し、コスト増・納期遅延・品質低下につながります。本コラムが指摘するように、要件定義の段階で関係者の合意を得ること、変更管理のルールを明確にすること、影響分析の仕組みを整えることが、仕様凍結の鍵となります。特に、仕様確定後の追加要望を適切にコントロールすることが、プロジェクトの安定性を保つために不可欠です。
事業会社は、システム開発会社に任せきりにせず、主体的に仕様管理を行う意識を持つことが、開発成功への第一歩となるでしょう。
仕様凍結とは?
仕様凍結とは、システムの機能や要件を確定し、それ以降は原則として変更しないことを指します。これにより、開発工程のブレを防ぎ、安定した進行を実現します。
フルスクラッチ開発では、柔軟なカスタマイズが可能であるがゆえに、開発途中で仕様変更が発生しやすくなります。仕様凍結を適切に行わないと、プロジェクトが迷走し、品質の低下や納期の大幅な遅延を招く可能性があります。
仕様凍結がなぜ重要なのか?
- 開発の方向性を明確にする
仕様が確定していない状態で開発が進むと、システム開発会社と事業会社の間で認識のズレが生じやすくなります。仕様凍結を行うことで、プロジェクトの方向性を統一し、開発の進行をスムーズにできます。 - スケジュールとコストを適切に管理できる
仕様変更が頻繁に発生すると、開発工数が増え、スケジュール遅延やコストの増大につながります。仕様凍結を適切に行うことで、当初の計画通りに進行できる確率が高まります。 - 品質の向上に貢献する
仕様変更が頻発すると、追加・修正作業が増え、バグやシステム障害のリスクが高まります。仕様凍結を適切に実施することで、システムの品質を維持しやすくなります。
仕様凍結マネジメントを成功させる5つのポイント
- 要件定義の段階で関係者全員の合意を得る
仕様凍結を確実に実施するためには、要件定義の段階で関係者間の認識を統一することが不可欠です。開発プロジェクトに関わる各部門の意見をまとめ、最終的な合意を得ることが重要です。 - 変更管理のプロセスを明確にする
仕様凍結後にやむを得ない変更が必要になる場合もあります。そのため、仕様変更のフローを明確に定め、どのようなプロセスで承認・実施されるかを事前に決めておくことが重要です。 - 仕様変更の影響を分析する仕組みを整える
仕様変更が発生した場合、その変更がスケジュールやコスト、システム全体に与える影響を迅速に分析できる体制を整えておくことが重要です。影響分析を行うことで、開発プロジェクトに与えるリスクを最小限に抑えることができます。 - 開発スケジュールを厳格に管理する
仕様凍結を適切に実施しても、開発が遅延すれば仕様変更のリスクが再び高まります。開発工程ごとにマイルストーンを設定し、進捗を細かくチェックすることで、スケジュール遅延を防ぐことができます。 - 仕様凍結後の追加要望を適切にコントロールする
事業会社の担当者から「やはりこの機能も追加したい」という要望が出ることは珍しくありません。しかし、仕様凍結後の追加開発はプロジェクトの安定性を損なう可能性があります。そのため、追加要望を受け入れる場合のルールを明確にし、慎重に判断することが求められます。
まとめ
フルスクラッチ開発において、仕様凍結マネジメントはプロジェクト成功の重要なカギを握ります。開発の方向性を明確にし、スケジュールやコストを適切に管理しながら、品質を維持するためには、仕様凍結の適切な運用が不可欠です。
本コラムで紹介したポイントを参考に、開発プロジェクトの仕様管理を徹底し、成功に導いてください。
仕様凍結の適切なマネジメントが、システム開発の成功を左右します。
フレシット株式会社は、フルスクラッチ開発の専門家として、事業会社の皆さまが直面する「仕様管理の難しさ」に寄り添い、的確な要件整理と柔軟なプロジェクトマネジメントで開発を成功へと導きます。
当社の強みは、要件定義の精度を高め、変更管理のプロセスを確立しながら、お客様のビジネスに最適なシステムを構築することです。仕様凍結をスムーズに進めるためのノウハウと、経験豊富なエンジニアチームが、お客様のビジョンを確実に実現します。
「高品質なフルスクラッチ開発を、確実な仕様管理のもとで進めたい」とお考えの方は、ぜひフレシット株式会社にご相談ください。
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<著者プロフィール>
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。