“言われた通りに作る”が命取りに?業務フロー至上主義がDXを阻む理由
業務に寄り添いすぎない勇気が、システムを強くする
2025-03-26

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するうえで、見過ごされがちな落とし穴のひとつに「業務フロー至上主義」があります。
「現場のやり方をそのまま再現してほしい」「業務は変えたくない」といった要望をそのまま反映した結果、かえってDXが頓挫してしまうケースも少なくありません。
本コラムでは、そうした事態を回避するために必要な視点と、フルスクラッチ開発という選択肢の価値について解説します。
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目次
【記事要約】文化シヤッター訴訟にみるDXの落とし穴、PaaS活用失敗で日本IBMに賠償命令
文化シヤッターの販売管理システム刷新において、日本IBMはPaaS「Salesforce1 Platform」での開発を請け負ったが、カスタム開発が想定の20%から95%に膨張し、開発は頓挫。東京地裁は、同社がPaaSの技術的制約を軽視しプロジェクト管理義務を怠ったと認定し、19.8億円の賠償を命じた。DX推進には、標準機能の活用と業務プロセス改革の両立が不可欠である。
出典:日経コンピュータ、2022年8月4日号 pp.104-106「販売管理システムの開発が頓挫 日本IBMに19.8億円の賠償命令」
【記事要約】文化シヤッター訴訟確定、DX失敗の責任問われ日本IBMに約20億円の賠償命令
文化シヤッターのDX推進の一環で始まった販売管理システム刷新が頓挫し、日本IBMに約20億円の賠償が確定した。最高裁は2025年1月、双方の上告を棄却。PaaS「Salesforce1 Platform」の制約やカスタム開発の過剰による構築失敗が主因とされ、プロジェクト管理の不備がDX失敗に直結した。本件は、クラウド活用における適切な設計と標準機能重視の重要性を浮き彫りにしている。
出典:日経クロステック「文化シヤッターのシステム開発訴訟の判決が確定、日本IBMに20億円の賠償命じる」2025年1月15日
ポイントをひとことで
DXを阻む最大の壁は、現状の業務フローを変えずにシステムだけを理想形に近づけようとする「業務フロー至上主義」です。このコラムは、そうした発想がプロジェクトの失敗やコスト増大を招くリスクを明確に示しています。真にDXを成功させるには、業務プロセスそのものの見直しと、柔軟なシステム設計が不可欠です。フルスクラッチ開発は、現場の課題と向き合いながら最適な形をゼロから描ける点で、非常に有効な選択肢と言えるでしょう。
現状業務をそのまま再現することのリスク
DXを進める際、「現場の業務に完全に合わせたシステムを作ってほしい」という要望が寄せられることがあります。しかし、以下のような理由から、そのアプローチがプロジェクトを危うくする可能性があります。
- 業務の属人化がシステムに持ち込まれる
個別の担当者に依存したやり方を再現すると、ブラックボックス化が加速し、全体最適が難しくなります。 - 非効率な業務をデジタル化してしまう
既存業務の課題を精査せずにシステム化することで、非効率なプロセスがそのまま温存されてしまいます。 - カスタマイズ過剰による開発失敗リスク
PaaSやパッケージでは標準機能で対応できないため、想定以上のカスタム開発が必要となり、コストや納期、運用性に深刻な影響を及ぼします。
これらのリスクを踏まえると、業務そのものを見直し、システム開発会社との対話を通じて“本当に必要なこと”を整理する姿勢が重要となります。
フルスクラッチ開発が叶える“共創型DX”
フルスクラッチ開発は、システムをゼロから構築するスタイルであるため、企業のビジネス特性や業務の本質に深く踏み込んだ設計が可能です。
この開発スタイルには、業務フロー至上主義のリスクを回避しながら、真のDXを実現するための以下のようなメリットがあります。
- 業務改善を前提とした要件定義ができる
現場の課題をヒアリングした上で、業務の見直しを含む提案ができるため、システムと業務の最適なバランスが取れます。 - 将来の拡張・変更にも柔軟に対応できる
業務の変化に応じた機能追加や仕様変更がしやすく、長期的な運用の中でも競争力を維持できます。 - 現場と開発会社の“共創”が生まれる
言われたものをそのまま作るのではなく、課題の本質を共有しながら最適解を一緒に設計するパートナーシップが築けます。
フルスクラッチ開発を成功に導くポイント
フルスクラッチ開発を最大限に活かすためには、以下のような取り組みが重要です。
- 現状業務の棚卸しと課題の可視化
本当に必要な業務と改善すべき業務を分けて考えることで、要件定義の精度が上がります。 - 現場と開発パートナーとの定期的なコミュニケーション
要件のすり合わせや優先順位の調整を継続的に行うことで、プロジェクトの軌道修正がしやすくなります。 - 業務プロセスの標準化と柔軟性のバランス
どこまで現場のやり方を残すのか、どこからは変えるのか。その判断基準を設けておくことが重要です。
まとめ
“業務を変えずにシステムを導入したい”という思いは理解できますが、それがかえってDXを遠ざけてしまうケースもあります。
DXの本質は、「業務とシステムの最適な関係性」を再設計することにあります。
フルスクラッチ開発は、こうした“業務起点”ではなく“価値創造起点”でのシステム設計を可能にし、事業にとって本当に必要なDXを実現する強力な手段です。
目指すのは、言われた通りのシステムではなく、ビジネスを変革できるシステム。貴社のDXの第一歩として、ぜひフルスクラッチ開発の可能性をご検討ください。
貴社のDXを真に価値あるものに変えるには、“現場の声”を理解しつつも、それをそのままシステム化するのではなく、課題の本質を見極めた設計が不可欠です。
フレシット株式会社は、完全オーダーメイドのシステム開発を専門としており、業務ヒアリングから要件整理、設計・開発・運用までを一気通貫でご支援いたします。現場業務に深く入り込むコンサルティング力と、柔軟かつ確かな技術力を兼ね備えた体制で、貴社のビジネス課題に最適なシステムをご提案いたします。
「言われた通り」ではなく、「本当に必要なもの」を一緒に創るパートナーとして、ぜひ一度フレシットにご相談ください。
フルスクラッチ開発だからこそ実現できるDXを、私たちが全力でサポートいたします。
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<著者プロフィール>
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。