開発会社任せは危険? DX成功を左右する“要件定義”と“プロジェクトマネジメント”の落とし穴
「開発は任せるもの」ではなく「共に進めるもの」
2025-03-31

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が重要視されるなか、多くの企業がシステム開発に着手しています。しかし、「技術的なことはわからないから、すべてシステム開発会社に任せればいい」と考えてしまうと、プロジェクトは思わぬ方向に進んでしまうことがあります。
本コラムでは、DX導入を検討している事業会社のご担当者さまに向けて、要件定義とプロジェクトマネジメントの重要性についてわかりやすく解説します。
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目次
【記事要約】文化シヤッター訴訟にみるDXの落とし穴、PaaS活用失敗で日本IBMに賠償命令
文化シヤッターの販売管理システム刷新において、日本IBMはPaaS「Salesforce1 Platform」での開発を請け負ったが、カスタム開発が想定の20%から95%に膨張し、開発は頓挫。東京地裁は、同社がPaaSの技術的制約を軽視しプロジェクト管理義務を怠ったと認定し、19.8億円の賠償を命じた。DX推進には、標準機能の活用と業務プロセス改革の両立が不可欠である。
出典:日経コンピュータ、2022年8月4日号 pp.104-106「販売管理システムの開発が頓挫 日本IBMに19.8億円の賠償命令」
【記事要約】文化シヤッター訴訟確定、DX失敗の責任問われ日本IBMに約20億円の賠償命令
文化シヤッターのDX推進の一環で始まった販売管理システム刷新が頓挫し、日本IBMに約20億円の賠償が確定した。最高裁は2025年1月、双方の上告を棄却。PaaS「Salesforce1 Platform」の制約やカスタム開発の過剰による構築失敗が主因とされ、プロジェクト管理の不備がDX失敗に直結した。本件は、クラウド活用における適切な設計と標準機能重視の重要性を浮き彫りにしている。
出典:日経クロステック「文化シヤッターのシステム開発訴訟の判決が確定、日本IBMに20億円の賠償命じる」2025年1月15日
ポイントをひとことで
このコラムは、DX推進において「システム開発会社に任せればうまくいく」という思い込みが、プロジェクトの失敗を招く根本原因になり得ることを的確に指摘しています。特に要件定義の甘さや、発注側のプロジェクトマネジメント不在は、手戻りやコスト増、機能不全を引き起こしがちです。DXは業務改革そのものであり、ITはその手段にすぎません。だからこそ、開発会社任せにせず、発注側も主体的に関わり、業務とシステムの接点を丁寧に設計する姿勢が不可欠です。
「任せきり」が招くDXの失敗とは?
システム開発において、専門知識を持つシステム開発会社に依頼するのは当然の流れです。
ただし、システム開発会社はあくまで“パートナー”であり、“代行者”ではありません。目的や要件を明確にせずに任せきりにしてしまうと、以下のような問題が発生するリスクがあります。
- 現場の課題とずれたシステムが完成する
- 機能要件が曖昧なまま開発が進行し、手戻りが発生する
- スケジュールやコストが想定以上に膨れ上がる
- 「思っていたものと違う」と感じるシステムが納品される
こうした事態を防ぐためには、発注側の主体的な関与が不可欠です。
要件定義の精度が、DXの成否を分ける
要件定義とは、どのような目的で、どのような機能を、誰のために、どのように使うかを明文化する工程です。
これが曖昧なまま進めてしまうと、システム開発会社は推測に頼るしかなく、期待通りの成果を得ることは難しくなります。
発注側が押さえるべきポイントは以下のとおりです。
- 自社の業務課題や目的を明確にする
- 関係者(現場・経営層)の声を取り入れる
- 「必要なこと」と「やりたいこと」を整理する
- 将来的な拡張性や運用体制も含めて考える
要件定義は単なる仕様のリストアップではなく、業務とITの接続点を定義する極めて重要なフェーズです。ここをおろそかにすると、DXの土台そのものが不安定になります。
プロジェクトマネジメントは“発注側の責任”でもある
プロジェクトマネジメントというと、開発会社が行うものと思われがちですが、実際には発注側にもマネジメントの責任があります。プロジェクトの進捗、要件の変更、意思決定のスピード、社内調整などは、発注側の関与なしには進みません。
特に重要なのは以下の3点です。
- 定期的な進捗確認とフィードバックの提供
- 優先順位の明確化と意思決定の迅速化
- システム開発会社との信頼関係構築と情報共有の徹底
発注側が「任せたから大丈夫」と関心を持たないままでいると、問題が顕在化する頃には取り返しがつかなくなっている可能性もあります。
成功の鍵は「対話」と「共創」
システム開発は、仕様通りに作れば終わりではありません。特にDXの文脈においては、業務改善や事業変革を実現するための手段としてのシステムであるべきです。
そのためには、開発会社と発注側の間で、単なる発注・受注の関係を超えた共創型のパートナーシップを築くことが重要です。
「こうしたい」「こう困っている」という情報を開発側と共有しながら、柔軟に設計・調整していける体制が、結果として高品質なシステムと成功するDXを生み出します。
まとめ:成功するDXは“任せない”ところから始まる
DXプロジェクトを成功させるには、「任せきりにしない姿勢」こそが最初の一歩です。
要件定義の段階から業務の本質に向き合い、プロジェクト全体に関与しながら、システム開発会社と共に最適解を探っていくことが、DXの成功確率を飛躍的に高めます。
技術力のある開発パートナーを選ぶことも大切ですが、それ以上に、発注側が自ら旗を振り、共に歩む覚悟を持てるかが、成果を左右する最大のポイントです。
こうした共創型の姿勢と主体的な関与こそが、DXを成功へと導く鍵になります。
フレシット株式会社では、業務理解から始まるフルスクラッチ開発を通じて、貴社のビジネス課題に真摯に向き合いながら、現場と一体となって最適なシステムを構築します。要件定義から設計、開発、運用までをすべてワンチームで伴走し、システム開発会社任せでは実現できない“本当に価値のあるDX”をともに創り上げていきます。
「任せきりではなく、共に考え、共に形にしていきたい」
そうお考えのご担当者さまは、ぜひ一度フレシットにご相談ください。
私たちは、御社の一員のように寄り添い、成果を生み出す開発パートナーとして伴走させていただきます。
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<著者プロフィール>
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。