“気づけるDX”を設計する──ユーザーと現場データが育てる業務システム
「導入して終わり」では意味がない。本当に活きるDXは、現場からの気づきで進化していく
2025-04-12

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が一般化するなかで、形だけのデジタル化にとどまっている企業も少なくありません。単にシステムを導入しただけでは、現場に根づく改革は起きません。本当に業務を変えるDXとは、「使って終わり」ではなく、「使いながら気づき、改善し続ける」システムであるべきです。
今回はそのような“育てるシステム”を実現するための設計思想と、フルスクラッチ開発の重要性について解説します。
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目次
【記事要約】今治造船、DX視点で「人への投資」実現 作業服にデータ連携と現場最適化を導入
今治造船は、従来の「綿100%」にとらわれず、防護性と通気性を両立した新作業服を開発。高温環境や火花が飛ぶ現場でも快適かつ安全に作業できるよう、素材から独自に設計した。加えて、作業服にバーコードを付けて使用状況をデータ化し、弱点分析や改良に生かす構想も進行中。これは現場データを活用して業務改善を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環であり、「人への投資」を体現する取り組みである。
出典:日本経済新聞「今治造船、作業服『綿100%』常識破る 新素材で防護・通気を両立」2025年4月2日付朝刊
ポイントをひとことで
このコラムが提起しているのは、「システムは完成ではなく運用で育つ」という設計思想の重要性です。DXを導入しても成果が見えづらいケースの多くは、“静的なシステム”に原因があります。現場での使われ方やデータの蓄積を通じて改善の余地を発見し、それを次のアップデートに反映できる仕組み──この動的な循環こそが、本質的なDXです。フルスクラッチ開発は、その柔軟性と設計の自由度によって、企業ごとの改善サイクルを的確に支える手段となります。
DXは「現場の声」と「リアルなデータ」から育つ
たとえば今治造船が導入した作業服の改善プロジェクトでは、難燃性と通気性の両立という目的に対し、現場の声をもとに試行錯誤を重ね、最終的にオリジナル素材の開発に至りました。
さらに特筆すべきは、作業服にバーコードを付け、使用状況を記録・分析できる仕組みを整えた点です。これにより、「どの服が・どの作業で・どう使われたか」を蓄積・可視化し、改良すべき箇所を見つけ出すことが可能になります。
このように、使われている中で得られる“気づき”を次の改善に活かす仕組みこそが、DXの本質的な価値です。現場に寄り添い、運用の中から課題と解決策を発見していく視点が欠かせません。
改善サイクルを前提にした「設計」がカギ
こうした“気づけるDX”を実現するには、最初から改善を前提とした設計が必要です。
「まず最小限で動かす」「使ってもらう」「改善点を洗い出す」「フィードバックを取り込んで進化させる」といったプロセスを支える柔軟なシステム設計が求められます。
このアプローチには、業務の流れを深く理解し、仕様を柔軟に調整できる体制が不可欠です。つまり、フルスクラッチのオーダーメイド開発でなければ実現が難しい領域といえます。
既製品やパッケージシステムでは、思い通りに改善を加えることが難しく、改善の余地が見えても対応が後回しになってしまうケースが多く見られます。
まとめ:「運用で育つシステム」が、企業の競争力になる
DXを成功させる企業に共通しているのは、「現場での試行錯誤を仕組みに昇華する力」です。導入後もデータを取り続け、ユーザーの声をもとに柔軟に改善できるシステムは、単なる業務効率化にとどまらず、企業の競争力を高める資産になります。
こうした「現場で育つシステム」を実現するためには、業務の実態を丁寧に汲み取り、柔軟に形にできる開発体制が不可欠です。
フレシット株式会社は、業務フローの理解からシステム設計、開発、運用改善までを一貫して支援する体制を持ち、フルスクラッチ開発による柔軟な改善サイクルを得意としています。
“運用しながら進化できる仕組み”をお探しの方は、ぜひ一度フレシットにご相談ください。貴社の現場に根ざしたDXを、共につくりあげてまいります。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。