データは“使う”だけでなく“集める”が難しい──だから必要な業務特化型システム
本当に使えるデータは、設計段階の「工夫」から生まれる
2025-04-14

DXを進めるうえで「データを活用すること」が重要であるという認識は、多くの企業で浸透しています。しかし実際には、「活用」以前の段階でつまずいているケースが非常に多くあります。
その理由の一つが、「そもそも必要なデータを、どうやって集めるのか」という仕組みが設計されていないことです。今回は今治造船の作業服開発の事例をヒントに、業務に最適化された“データ収集設計”の必要性と、それを支える業務特化型システムの重要性について掘り下げます。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
目次
【記事要約】今治造船、DX視点で「人への投資」実現 作業服にデータ連携と現場最適化を導入
今治造船は、従来の「綿100%」にとらわれず、防護性と通気性を両立した新作業服を開発。高温環境や火花が飛ぶ現場でも快適かつ安全に作業できるよう、素材から独自に設計した。加えて、作業服にバーコードを付けて使用状況をデータ化し、弱点分析や改良に生かす構想も進行中。これは現場データを活用して業務改善を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環であり、「人への投資」を体現する取り組みである。
出典:日本経済新聞「今治造船、作業服『綿100%』常識破る 新素材で防護・通気を両立」2025年4月2日付朝刊
ポイントをひとことで
このコラムは、「データ活用=データがある前提」という誤解を正し、DXの出発点は“集める仕組みの設計”にあると示しています。現場で本当に使えるデータを得るには、「何を・どこで・どうやって取るか」の設計が不可欠であり、これは業務ごとに異なる極めて個別性の高い工程です。パッケージ製品ではこうした柔軟性に限界があり、業務特化型のフルスクラッチ開発こそが、継続的な改善と競争力の源泉となる“本質的なDX”を支える鍵になります。
バーコード1枚が支える、改善の起点
今治造船が開発した新作業服は、快適さと安全性の両立という目的にとどまらず、「使われ方の記録」という観点でも画期的な取り組みを行っています。
作業服一着ごとにバーコードを付け、着用者・使用作業・時間帯などの情報をひも付けて蓄積することで、どこに穴が空きやすいか、どんな作業環境で劣化しやすいかといった改善のヒントを得ようとしています。
これはまさに、「どうデータを集めるか」という設計が成功している事例です。こうした地道なデータ収集の仕組みなしには、改善すべきポイントも見えず、DXは形だけで終わってしまいます。
パッケージでは難しい「業務に合ったデータの取り方」
多くの企業が陥りがちなのは、パッケージ型のシステムを導入し、「用意された項目の中から記録する」という形にとどまってしまうことです。しかし、現場の業務は会社によって異なり、必要なデータの種類や粒度、記録方法も千差万別です。
たとえば「ある作業の直後に発生するエラーの頻度」や「特定の担当者による対応時間のばらつき」といった情報は、パッケージ製品の標準機能では記録・分析が難しいケースもあります。
だからこそ、“何をどう記録するか”を業務内容に即して設計できる、業務特化型のシステムが求められるのです。
まとめ:DX成功の鍵は「現場に合ったデータ設計」
本当に価値あるデータは、業務の流れと現場の実態を踏まえたうえで設計された仕組みから生まれます。
記録のための入力作業が現場に負担をかけないように工夫しつつ、改善につながるデータが自然と蓄積される設計が必要です。こうした仕組みづくりには、業務を深く理解し、柔軟に対応できるフルスクラッチ型の開発が最適です。
こうした“データを集められる仕組み”を業務にフィットした形で設計・実装するには、業務理解に基づいた柔軟な開発力が求められます。
フレシット株式会社は、ヒアリングから設計・開発・運用まで一貫して伴走し、現場の実態に合わせて“使われ続けるシステム”を構築するフルスクラッチ開発を強みとしています。
パッケージでは実現できない業務特化型のシステムをお考えであれば、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
貴社にとって本当に意味のある「データ活用基盤」を、ゼロから共に築いてまいります。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。