【ETC大規模障害に学ぶ】継ぎはぎシステムがDXを妨げる理由──今こそ基幹システムを再設計すべきとき
“使い続ける不安”から“育てる安心”への転換を
2025-04-16

2025年4月に発生したETCシステムの大規模障害は、老朽化したシステムに対し継ぎはぎ的な改修を繰り返してきた結果として、多くの関係者に深刻な影響を与えました。このような障害は特殊なケースではなく、多くの企業が抱える共通課題です。
DX推進が求められる今、レガシーシステムの構造的な問題に目を向け、抜本的な再設計に踏み切ることが、持続可能なシステム運用と変化への対応力を実現する鍵となります。
本コラムでは、なぜ継ぎはぎの基幹システムが障害の温床となるのか、そしてその解決策としてのフルスクラッチ開発の有効性について解説します。
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目次
【記事要約】ETC障害が浮き彫りにしたDXの課題──複雑化する基幹システムと「2025年の崖」
中日本高速道路のETC障害は、継ぎはぎ的なシステム改修による複雑化が主因で、DX推進の遅れが浮き彫りとなった。基幹システムの老朽化と技術者不足が重なる「2025年の崖」が迫る中、多くの企業がブラックボックス化したシステムを抱え、改修のたびに障害リスクが高まっている。DXを進めるには、抜本的な再設計と障害時に備えた「切り戻し」体制の整備が不可欠である。
出典:日本経済新聞「ETC障害、システム複雑化が弱点 応急復旧で再開」2025年4月8日付朝刊
ポイントをひとことで
このコラムは、継ぎはぎ的な改修を繰り返してきた基幹システムが、なぜDX推進の障壁となるのかを的確に指摘しています。業務の変化に応じた小規模な対応を重ねるうちに、システムの全体像が不明瞭になり、保守性や拡張性が著しく低下していく構造的な問題は、あらゆる企業にとって他人事ではありません。DXを本気で実現するには、“今あるものを活かす”という発想だけでなく、“未来に備えて作り直す”という発想の転換が必要です。その選択肢が、フルスクラッチ開発なのです。
継ぎはぎ改修が生む“ブラックボックス”化のリスク
長年にわたって使い続けられている基幹システムには、業務の変化や制度改正に対応するための部分的な改修が繰り返されています。一見、最小限のコストで対応しているように見えますが、これが長期的に見るとシステム全体の可読性や保守性を著しく低下させ、誰にも全容が把握できない“ブラックボックス”状態を生み出してしまいます。
こうした状態では、改修時の影響範囲を正確に把握することが難しく、思わぬ障害やトラブルを引き起こすリスクが高まります。今回のETC障害でも、システムの上位階層に潜んでいた問題が障害を拡大させた要因の一つとされています。
DX推進の足を引っ張る“限界システム”
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるうえで、既存システムの柔軟性が大きな障壁となるケースは少なくありません。新しいサービスや顧客体験を実現しようとしても、レガシーシステムの仕様や構造が足かせとなり、迅速な対応ができないのです。
また、部分改修を続けてきた結果、内部構造が複雑になりすぎており、新機能の追加や他システムとの連携が困難になるといった問題も頻発しています。これは、DXの実現どころか、現状維持すら困難な状況に陥る可能性を意味しています。
フルスクラッチ開発という選択肢
このような状況を打開する手段として注目されているのが、フルスクラッチ(オーダーメイド)での基幹システム再構築です。フルスクラッチ開発であれば、自社の業務プロセスや将来的な拡張性を前提にゼロから設計できるため、無駄を省いた効率的かつ柔軟なシステムが実現可能です。
さらに、アーキテクチャ段階から障害時の切り戻し、バージョン管理、将来的な改修のしやすさといった“運用を見据えた設計”が行えるのも、フルスクラッチの大きな強みです。長期的な保守コストの削減や運用の安定化にもつながります。
まとめ
継ぎはぎによる小規模改修の繰り返しは、短期的には費用対効果が高いように見えても、長期的には大きな技術的負債を残します。特に、DXが急速に進む今、基幹システムの構造的な問題を放置することは、将来的な業務停止や競争力低下に直結しかねません。
今こそ、システムの本質的な再設計に取り組むタイミングです。自社の業務に最適化されたフルスクラッチ開発という選択肢を、将来の安心と成長のためにぜひご検討ください。
なお、フルスクラッチ開発における豊富な実績と、業務プロセスに寄り添った柔軟な設計力を強みとするフレシット株式会社では、貴社の将来を見据えた“持続可能なシステム”をご提案しています。
老朽化したシステムの見直しや、DXを前提とした基幹システムの再構築をお考えの際は、どうぞお気軽にご相談ください。貴社固有の課題と向き合い、最適なフルオーダー型の開発をご支援いたします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。