業界を越えるデータ連携が進む中、注目集まる「共通フォーマット」──つながるDXを支える設計思想とは?
つながれば変わる、変われば進む──システム連携の第一歩
2025-04-19

業界を超えたデータ連携や共同物流の動きが加速する中、異なるシステム同士をどう“つなげる”かが、DX推進の成否を大きく左右しています。特に、企業ごとに異なるデータ形式やシステム仕様が分断を生み、業務効率化や自動化の障害となるケースは後を絶ちません。
本コラムでは、異種システムの橋渡し役となる「共通フォーマット」の考え方と、それを支えるシステム設計のアプローチについて、フルスクラッチ開発の視点から解説します。
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目次
【記事要約】化学業界のDX推進、共同物流で効率化と持続可能性を追求
三井化学や三菱ケミカルグループなど化学業界大手が、DXを活用した共同物流に着手。毒劇物など多様で危険な化学品の安定供給と効率化を両立すべく、データ標準化とAI活用による配車最適化、実車率の向上を実現している。従来の個社システムを共通フォーマットで接続し、地域・輸送手段の拡大と業界横断の連携による物流の持続可能性を目指す。
出典:日本経済新聞「化学品、DXで共同物流始動 三井化学や三菱ケミ、80の企業・団体 データ標準化で毒劇物運ぶ」2024年12月23日付朝刊
ポイントをひとことで
このコラムは、DX推進において見落とされがちな“システム間の非連携”という課題に真正面から切り込んでいます。異なるシステム同士が接続できない原因の多くは、データフォーマットや構造の不統一にあります。その解決策としての「共通フォーマット」設計は、単なる技術対応にとどまらず、業務プロセス全体の整流化と可視化を促す重要なアプローチです。フルスクラッチ開発は、こうした柔軟性を要する設計において、極めて効果的な手段となります。
異なるシステムが「つながらない」理由とは?
多くの企業がDXを進める中で、最初に直面するのが「システム間連携」の壁です。自社内のシステム同士、あるいは取引先や外部ツールとの接続を試みる際、データの形式や扱う項目が異なるため、スムーズな連携ができないという課題が生じます。
たとえば、発注管理システムと倉庫管理システム、配送手配システムがそれぞれ独自の項目構造やコード体系で構築されている場合、同じ「製品情報」や「納期」の項目であっても、意味や扱いがズレているため、自動化が困難になります。
「共通フォーマット」はDXの共通言語
こうした問題を解決する鍵となるのが、「共通フォーマット」の整備です。共通フォーマットとは、各システム間でやり取りするデータの項目名、構造、単位、コード体系などを標準化する設計指針のことです。
この仕組みを導入することで、個別システムは既存の仕様のまま稼働しつつ、情報の受け渡し時に自動的に変換・調整する処理を組み込むことが可能になります。つまり、現場の運用を大きく変えずに“つながる”仕組みを構築できるのです。
フルスクラッチ開発で実現する柔軟な連携設計
汎用パッケージでは、こうしたシステム間連携の要件に柔軟に対応することは難しい場合があります。一方、フルスクラッチ開発では、次のようなアプローチで共通フォーマット対応を実現できます。
- 既存システムのデータ構造を踏まえた中間フォーマットの設計
- 双方向の変換処理(マッピング)の実装
- 将来的な取引先・外部ツールの追加にも対応可能な拡張性の確保
- 共通データ基盤としてのマスタ管理システムの構築
このように、フルスクラッチ開発はシステム間の接続性と柔軟性のバランスをとりながら、自社業務に最適化された仕組みを構築するのに最適です。
まとめ
DXを進めるうえで、システムやツールを“導入すること”ではなく、“つなげて活用すること”が真の価値を生み出します。そのためには、異なるシステムをスムーズに連携させるための「共通フォーマット」設計と、それを実装する柔軟な開発体制が不可欠です。
フルスクラッチ開発は、業務実態に即した形で共通化と連携を実現できる強力な選択肢です。既存資産を活かしながら、持続可能で拡張性のある“つながるDX”を目指す企業にとって、検討する価値のあるアプローチといえるでしょう。
異なるシステムを無理なくつなぎ、持続可能なDXを実現するには、業務や既存環境に応じた柔軟な設計力が求められます。
フレシット株式会社では、現場の業務フローを深く理解したうえで、個社ごとの要件に最適化された“つながる”システムをフルスクラッチでご提案しています。柔軟な開発体制により、高品質かつスピーディな対応が可能です。既存システムを活かしながら、新たな連携基盤を構築したいとお考えのご担当者さまは、ぜひ一度フレシットへご相談ください。貴社の業務と未来に寄り添うDXをご一緒に実現いたします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。