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COLUMN コラム詳細

【ETC障害が示した盲点】「切り戻せないシステム」は危険──DX時代に求められる障害復旧体制の設計とは

万が一を想定しない設計が、最大のリスク。

2025-04-30

2025年4月に発生したETCシステム障害は、東京や愛知など8都県、計106カ所におよぶETCレーンの停止を引き起こしました。新しい割引システムの導入という一見前向きな更新作業が、なぜここまでの影響を及ぼしたのでしょうか。その背景には、障害発生時にすぐ元に戻せない「切り戻し不能な設計」が存在していました。

本コラムでは、DXが進む今だからこそ必要とされる、“切り戻せることを前提としたシステム設計”と障害復旧体制の考え方を解説します。

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【記事要約】ETC障害が浮き彫りにしたDXの課題──複雑化する基幹システムと「2025年の崖」

中日本高速道路のETC障害は、継ぎはぎ的なシステム改修による複雑化が主因で、DX推進の遅れが浮き彫りとなった。基幹システムの老朽化と技術者不足が重なる「2025年の崖」が迫る中、多くの企業がブラックボックス化したシステムを抱え、改修のたびに障害リスクが高まっている。DXを進めるには、抜本的な再設計と障害時に備えた「切り戻し」体制の整備が不可欠である。

出典:日本経済新聞「ETC障害、システム複雑化が弱点 応急復旧で再開」2025年4月8日付朝刊

ポイントをひとことで

このコラムは、DX時代において「システムを止めない」ことの本質を突いています。重要なのは、障害を完全に防ぐことではなく、万が一の際に迅速に切り戻せる設計がなされているかという視点です。更新や変更の頻度が高まる今、戻れない構成は企業活動の継続性そのものを脅かします。信頼性の高い運用を実現するには、初期段階から切り戻しやフェールセーフを前提とした構成管理が不可欠であり、その設計思想がシステムの強さを決定づけます。

なぜ「切り戻せない設計」はDXのリスクになるのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める企業にとって、頻繁な更新と改善は不可欠です。しかし、変更のたびに「万が一の障害時に元の状態に戻せない」構成になっていると、それは成長のための更新ではなく、事業継続リスクをはらんだ賭けになってしまいます。

今回のETC障害も、システム改修の後に不具合が判明し、元の状態に戻すのに時間を要したことが影響を拡大させました。これが、いかに“切り戻せない構成”が脆弱であるかを象徴する事例です。

サービスを止めないために「止める準備」を

DX時代のシステムは、サービス停止を極力避けることが求められます。しかし、本当に「止めない」ためには、万が一の時に止められる設計=切り戻し体制が不可欠です。以下のような仕組みを事前に設計段階で組み込んでおくことが重要です。

  • バージョン管理と自動スナップショット
    変更前の状態を明確に保存しておき、ワンクリックで復元できるようにする。
  • 段階的リリースとフェーズごとのテスト
    一部ユーザーや環境に限定して新機能を展開し、問題があれば即座に撤回できる仕組み。
  • 本番環境と同等の検証環境
    テスト結果が本番と乖離しないよう、運用と同等のテスト基盤を整える。

これらは、開発完了後の運用フェーズで後付けすることは困難です。設計段階から戻すという選択肢を前提にした構築が求められます。

フルスクラッチ開発が可能にする「柔軟な障害復旧体制」

既存パッケージやカスタマイズの延長では、こうした高度な構成管理や柔軟な切り戻し体制の実装には制約が伴います。その点、フルスクラッチ開発であれば、業務要件・リスク許容度・運用体制に合わせてゼロから設計可能です。

切り戻し処理や障害時のフェールオーバー機能も、最初から設計に盛り込むことで、変更や更新のたびに「止まらない安心感」を持って運用を続けられます。

また、信頼できるシステム開発会社との連携により、日常的な運用面やリリース管理の設計支援を受けながら、長期的に安全性の高いシステム運用が可能になります。

まとめ

ETC障害に見られたように、切り戻しができない設計は、障害の影響範囲を一気に広げてしまうリスクを内包しています。「止めないために、止める設計をする」──これが、DX時代の開発・運用における重要な視点です。

更新を前提とするビジネス環境だからこそ、柔軟に“戻せる”ことが信頼性を担保し、システム全体の安定性と継続性を支えます。DXを成功に導くためには、「前に進む設計」だけでなく、「後ろに戻れる構造」の両立こそが求められているのです。

こうした“前進しながらも戻れる設計”を実現するには、技術的な柔軟性に加えて、業務理解と長期運用を見据えた構想力が求められます。

フルスクラッチ開発を専門とするフレシット株式会社では、初期設計の段階から障害対応・切り戻し・将来的な拡張を見据えたアーキテクチャを一社一社の業務特性に合わせて構築しています。安易な改修では対応しきれない、変化と安定性の両立を目指す企業さまは、ぜひ一度ご相談ください。

DX時代にふさわしい、“止めずに育てていけるシステム”をご提案いたします。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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