to TOP
無料で相談する 資料を請求する

COLUMN コラム詳細

【ETC障害の背景に学ぶ】障害は起こるもの──本番環境での“安全なリリース”を支える運用設計のポイント

障害は想定内。問題は、戻せないこと。

2025-05-02

2025年4月に発生したETCシステム障害は、東京や愛知などを含む8都県に影響を及ぼし、100カ所以上の料金所でETCが利用できなくなるという深刻なトラブルを引き起こしました。問題の本質は「障害が発生したこと」だけでなく、「発生時に即座に切り戻せなかったこと」にあります。本コラムでは、リリース後のトラブルを前提にした安全な本番リリースを支える設計と運用のあり方について解説します。リリースは終わりではなく始まり──その意識が、DX時代の安定運用を左右します。

>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら

【記事要約】ETC障害が浮き彫りにしたDXの課題──複雑化する基幹システムと「2025年の崖」

中日本高速道路のETC障害は、継ぎはぎ的なシステム改修による複雑化が主因で、DX推進の遅れが浮き彫りとなった。基幹システムの老朽化と技術者不足が重なる「2025年の崖」が迫る中、多くの企業がブラックボックス化したシステムを抱え、改修のたびに障害リスクが高まっている。DXを進めるには、抜本的な再設計と障害時に備えた「切り戻し」体制の整備が不可欠である。

出典:日本経済新聞「ETC障害、システム複雑化が弱点 応急復旧で再開」2025年4月8日付朝刊

ポイントをひとことで

このコラムは、「障害は起こるもの」という前提に立ち、いかに“止めない”ための設計と運用体制を構築するかという本質的なテーマに迫っています。DXが進み、リリース頻度やシステムの複雑性が増す現代においては、障害そのものを完全に防ぐことよりも、発生時に即座に切り戻せる体制や段階的なリリース戦略を備えておくことが、継続的な成長と信頼性の確保につながります。運用までを見据えた設計が、企業の競争力を支える鍵となるでしょう。

リリースは一区切りではなく、継続的な運用の始まりです

かつてのシステム開発では、「納品=完了」「リリース=成功」と捉えられがちでした。しかし、今日のDX推進やクラウド・API連携を前提とした環境では、リリース後の状況こそがシステム運用の本番です。環境依存やユーザーごとの反応差、複雑なインフラ構成など、予期せぬ障害が起こることを前提に設計する姿勢が求められています。

特に本番環境では、開発やテスト環境で検知できなかったバグや処理負荷が顕在化しやすく、障害対応の初動が運用全体を左右します。

安全なリリースを実現する3つの設計ポイント

障害を最小限に抑えるためには、以下のような“計画的なリリース設計”が必要です。

1.切り戻しを前提とした構成設計
システム更新後に問題が発生した場合、迅速に前バージョンへ戻せるように、バージョン管理とスナップショットの自動取得を設計段階から組み込むことが重要です。

2.段階的リリース(カナリアリリース)の活用
全ユーザーに一斉公開せず、限定した範囲で先行運用することで、リスクを局所化できます。問題があれば、即時停止・切り戻しが可能になります。

3.本番と同等のテスト環境の整備
テスト環境と本番環境に差異があると、事前検証が信頼できず、結果的に障害の発見が遅れます。本番相当の負荷・データ・通信環境での事前検証が鍵となります。

これらはどれも「リリース時に安全を担保するための仕組み」であり、後付けではなく最初から運用設計に組み込むことが必要です。

フルスクラッチ開発で実現する柔軟な運用設計

パッケージ製品や構築済みのサービスでは、上記のような柔軟な運用設計を組み込むことが難しいケースも少なくありません。一方、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発であれば、システムごとのリスク特性や業務要件に応じて、切り戻し構成やリリースプロセス自体を自由に設計できます。

また、開発段階から業務の運用に深く関わることができる信頼できるシステム開発会社と連携すれば、障害発生時の体制整備や復旧手順の設計支援も受けることができ、より安定したリリースが可能となります。

まとめ

DX時代のシステム運用では、「障害が起こらない」ことを目指すのではなく、「障害が起きても止まらない」ことを設計で実現することが求められます。リリースをスタートと捉え、あらかじめ切り戻しや段階的リリースといった運用方針を備えておくことが、事業継続のカギとなります。

システムが複雑化し、リリースの頻度も上がる今だからこそ、“安全に運用する力”が求められています。次の更新が、企業にとっての成長の一歩となるために──運用視点を備えた設計を今から見直していきましょう。

こうした“止まらない運用”を実現するには、技術力だけでなく、業務理解と障害リスクを見据えた設計力が欠かせません。

フルスクラッチ開発を専門とするフレシット株式会社では、単なる要件の実装にとどまらず、切り戻し設計・段階的リリース・運用保守体制の構築まで一貫してご支援可能です。

貴社の事業に最適化された“安全に育てていけるシステム”をご一緒に構築しませんか?安定と成長を両立させるシステムのご相談は、ぜひフレシット株式会社へお寄せください。

>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら

著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

CONTACT お問い合わせ

フルスクラッチのシステム開発会社フレシットへのお問い合わせ

REQUEST 資料請求

フルスクラッチのシステム開発会社フレシットへの資料請求