今治造船の作業服開発に見る、“内製”が生む新価値──業務効率化から新規事業へ
その業務改善、うまくいけば新規事業になるかもしれない。
2025-04-27

近年、DXの一環としてシステムの内製化や業務改善ツールの導入に取り組む企業が増えていますが、多くは「社内の効率化」や「人手不足の解消」が目的となっています。
しかし今、「自社のために作った仕組み」が、他社にも展開可能な価値あるプロダクトへと進化するケースが出てきています。
今治造船が取り組んだ作業服の刷新は、まさにその好例です。本コラムでは、自社課題の解決を出発点とした“新たな収益機会の創出”という観点から、開発投資の新たな意味を考えます。
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目次
【記事要約】今治造船、DX視点で「人への投資」実現 作業服にデータ連携と現場最適化を導入
今治造船は、従来の「綿100%」にとらわれず、防護性と通気性を両立した新作業服を開発。高温環境や火花が飛ぶ現場でも快適かつ安全に作業できるよう、素材から独自に設計した。加えて、作業服にバーコードを付けて使用状況をデータ化し、弱点分析や改良に生かす構想も進行中。これは現場データを活用して業務改善を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環であり、「人への投資」を体現する取り組みである。
出典:日本経済新聞「今治造船、作業服『綿100%』常識破る新素材で防護・通気を両立」2025年4月2日付朝刊
ポイントをひとことで
このコラムは、DX投資を「業務効率化」にとどめず、「新規事業の種」として捉える視点の重要性を提示しています。今治造船の事例のように、自社の課題を解決するために内製した仕組みが、結果として他社にも価値を提供できるプロダクトになるケースは今後さらに増えていくでしょう。こうした可能性を最大化するには、業務に深くフィットした設計と、将来的な拡張性を前提とした柔軟なシステム構築が不可欠です。フルスクラッチ開発は、その土台をつくる最適な選択肢です。
“業務改善のためだけ”では終わらないフルスクラッチ開発の可能性
今治造船は、従来の「綿100%が当たり前」という常識を覆し、独自素材の作業服をゼロから開発しました。着用時の快適さと火花からの保護という相反する要件を満たすため、素材開発から縫製設計に至るまで徹底的に内製にこだわった結果、JIS規格を取得するまでの品質に到達しました。
注目すべきはその後の展開です。この作業服に対し、他の舶用メーカーから「使わせてほしい」という問い合わせが寄せられているというのです。
本来は自社の現場課題を解決するために作ったものが、結果的に業界内での新たな“製品”となり、事業的価値を持ち始めています。
これは、業務課題の解決を目的とした投資が、コストセンターにとどまらずプロフィットセンターへと転換する可能性を示しています。
自社のリアルな課題が、他社にも“響く解”になる理由
業務改善を目的にしたシステムやツールの開発では、「現場で本当に必要とされる機能」にフォーカスできるという強みがあります。これは、パッケージ製品にはないリアリティと実効性を生みます。
こうした仕組みは、同じ課題を抱える他社にとっても魅力的な“解決策”になり得るのです。たとえば、ある物流会社が荷下ろし時の時間ロスを解消するために構築した配車管理システムが、同業他社にSaaSとして提供され新たな収益源となった事例もあります。
フルスクラッチ開発は初期投資こそ大きいものの、「業務に完全にフィットする仕組み」が構築でき、さらにそれが横展開可能なビジネスモデルへと転換できるポテンシャルを秘めています。
まとめ:業務改善の先にある“収益化”という視点で考えるDX
DXの目的は単なる効率化ではありません。現場で生まれた“本物の仕組み”を活かすことで、新しい価値を生み出すこともDXの本質です。
自社内のニーズに真摯に向き合って構築された仕組みは、他社にも再現性を持ち得る資産です。
フレシット株式会社では、業務改善に根ざしたフルスクラッチ開発を通じて、事業課題の解決だけでなく、中長期的なビジネス成長を支援しています。
「業務の最適化」と「将来の事業展開」を両立できる、貴社だけのオーダーメイド開発にご関心がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
このように、自社の業務課題を起点に構築したシステムが将来的に事業資産へと育つ可能性を秘めているからこそ、開発の質と柔軟性が重要になります。
フレシット株式会社では、業務理解に基づく丁寧なヒアリングと、将来的な拡張性を見据えたフルスクラッチ開発を強みとしています。
「業務の最適化」と「事業の可能性」、その両方を実現するシステムをお考えであれば、ぜひ一度ご相談ください。
貴社の内製システムが、次のビジネスの“核”になるかもしれません。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。