今治造船の独自作業服に学ぶ、“自社専用”が業界を変える仕組みとは
そのシステム、他社も欲しがっているかもしれません。
2025-04-29

DXが叫ばれる中、多くの企業が業務効率化を目的にシステムやツールの導入を進めています。
その一方で、「自社にしか通用しない」と思って開発した内製システムが、結果的に同業他社にも支持され、業界のスタンダードへと広がっていく例も増えつつあります。
今治造船が取り組んだ作業服の刷新は、まさにその象徴的な事例といえるでしょう。
今回は、自社専用の仕組みをフルスクラッチで開発することが、将来的なSaaSビジネスへとつながる可能性について解説します。
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目次
【記事要約】今治造船、DX視点で「人への投資」実現 作業服にデータ連携と現場最適化を導入
今治造船は、従来の「綿100%」にとらわれず、防護性と通気性を両立した新作業服を開発。高温環境や火花が飛ぶ現場でも快適かつ安全に作業できるよう、素材から独自に設計した。加えて、作業服にバーコードを付けて使用状況をデータ化し、弱点分析や改良に生かす構想も進行中。これは現場データを活用して業務改善を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環であり、「人への投資」を体現する取り組みである。
出典:日本経済新聞「今治造船、作業服100%』常識破る新素材で防護・通気を両立」2025年4月2日付朝刊
ポイントをひとことで
このコラムは、「自社専用の業務ツールが、結果的に業界全体の課題を解決するプロダクトになり得る」という視点を提示しています。特定業務に最適化された仕組みは、ニッチであるがゆえに高い完成度と実用性を備えやすく、同様の課題を抱える他社にとっても強く響く“再現性ある解決策”になります。こうした展開を視野に入れることで、フルスクラッチ開発は単なるコストではなく、中長期的な事業成長を支える投資として再定義できるのです。
“自分たちのためだけ”が、思わぬ価値を生む瞬間
今治造船は、防護性と通気性を両立した新素材の作業服を、既製品に頼らず独自に開発しました。
その過程では、JIS規格取得やバーコードによる着用実績の可視化など、徹底的に“現場にフィットした設計”を追求しています。
注目すべきは、その結果として他の舶用メーカーからも使用希望の問い合わせが寄せられているという点です。
本来は「自社専用」に最適化されたプロダクトが、同じ業界で共通する課題を解決できる仕組みとして評価され始めているのです。
これは、ニッチな業務課題に正面から向き合い、徹底的に解決した結果、汎用的な価値を獲得するという好例といえます。
フルスクラッチだからこそ見える、共感される“再現性”
パッケージシステムでは到底たどりつけない“現場ドリブンのリアリティ”を備えた仕組みは、多くの企業にとって共感を呼びやすく、導入障壁も低くなります。
そして、その設計思想をもとに横展開することで、「SaaS化=スケーラブルなビジネスモデル」への転換が現実のものとなります。
業界課題に対して、自社なりの解を持つ企業ほど、「他社にもニーズがあるのではないか?」という視点が重要です。
それは単なる内製ツールではなく、“プロダクトとしての価値”を持つ第一歩でもあります。
まとめ:業務課題の解決が、新しいスタンダードを生む
業務の中で見過ごされがちな非効率や属人化。そこに真摯に向き合い、フルスクラッチで“本当に使える仕組み”を構築することは、自社の競争力強化にとどまらず、業界全体への価値提供につながる可能性を秘めています。
こうした“現場起点の仕組み”が、やがて業界に支持されるプロダクトへと育つ可能性を見据えるなら、開発段階から柔軟性と拡張性に優れた設計が欠かせません。
フレシット株式会社は、業務理解を起点としたフルスクラッチ開発を通じて、目の前の課題解決はもちろん、その先にある「自社発SaaS」の芽までも視野に入れたシステム構築をご支援しています。
“自社のために作ったものが、他社にとっても価値ある仕組みになる”──そんな未来を一緒に描いてみませんか。どうぞお気軽にご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。