今治造船の独自開発に学ぶ、業務特化型システムの価値とは
「自分たちの現場のため」から始まった工夫が、業界の信頼と共感につながる
2025-05-01

DX推進や業務効率化が加速する今、多くの企業が業務システムの導入を検討する一方で、「汎用性のあるシステム」に流されてしまい、本当に現場にフィットした仕組みを手に入れられていないケースも散見されます。
しかし、自社の業務にとことん向き合い、現場のためだけに構築された“業務特化型システム”こそが、結果として他社との差別化要因となり、業界内での共感と信頼を集める存在になることもあります。
その象徴的な事例のひとつが、今治造船による作業服の刷新プロジェクトです。
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目次
【記事要約】今治造船、DX視点で「人への投資」実現 作業服にデータ連携と現場最適化を導入
今治造船は、従来の「綿100%」にとらわれず、防護性と通気性を両立した新作業服を開発。高温環境や火花が飛ぶ現場でも快適かつ安全に作業できるよう、素材から独自に設計した。加えて、作業服にバーコードを付けて使用状況をデータ化し、弱点分析や改良に生かす構想も進行中。これは現場データを活用して業務改善を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環であり、「人への投資」を体現する取り組みである。
出典:日本経済新聞「今治造船、作業服『綿100%』常識破る新素材で防護・通気を両立」2025年4月2日付朝刊
ポイントをひとことで
このコラムは、「自社最適化」を目的としたフルスクラッチ開発が、結果的に他社との差別化と共感を生む“ブランディング資産”になり得ることを示しています。業務に深く根ざした仕組みは、高い業務適合性を持つだけでなく、その設計思想や運用ノウハウが“再現性ある強み”として認識され、業界内での存在感を高めることにもつながります。内製の価値を「効率化」だけでなく「企業らしさの表現」として捉える視点が、今後ますます重要になるでしょう。
今治造船の“自社最適”が、業界を動かす存在に
今治造船は、作業員の安全性と快適性を両立させるため、長年業界の常識とされていた「綿100%の作業服」という前提を覆し、独自素材の作業服を一から開発しました。
その結果として、耐久性や通気性といった複数のニーズを高い次元で満たすことに成功し、JIS規格も取得。社内利用にとどまらず、すでに他の舶用メーカーから「導入したい」との問い合わせが寄せられているといいます。
このように、「自社の現場に最適なものを、自社のために作る」という姿勢が、結果として業界内の注目を集め、差別化と共感を生むブランド価値へとつながっているのです。
汎用性ではなく「最適化」がもたらす競争力
業務の課題は企業ごとに異なります。表面的には似たように見えるプロセスであっても、部署の役割や社内文化、現場のフローに応じて最適解は大きく異なります。
こうした課題に対して既存のパッケージ製品で対応しようとすると、業務側をシステムに合わせる“逆転現象”が起こり、運用負荷や属人化がむしろ増えてしまうこともあります。
一方、フルスクラッチで構築する業務特化型システムは、自社の業務構造や将来の事業方針に合わせて最初から最適化されているため、導入直後から高い業務親和性を実現できます。
また、その仕組み自体が“差別化された業務ノウハウ”として企業の競争力となり、さらに他社からも「真似したい」と評価される可能性を持ちます。
まとめ:内にこだわるほど、外から評価される仕組みへ
「自社専用」「現場向け」「汎用性がない」といった理由で、フルスクラッチ開発に躊躇する企業も少なくありません。
しかし、いま求められているのは“誰でも使える”ことではなく、“誰よりも使いやすい”ことです。
業務に根ざした仕組みを作ることで、現場の満足度を高め、成果に直結するシステムを実現できるだけでなく、その取り組み自体が他社からの共感を呼び、企業のブランド価値を高める武器にもなり得ます。
フレシット株式会社は、企業ごとの業務に深く寄り添い、“自社だけのため”のシステムを丁寧に作り上げるフルスクラッチ開発を強みとしています。
業務の本質に踏み込み、他社にはない価値を形にしたいとお考えであれば、ぜひ私たちにご相談ください。
「内にこだわることが、外に響く」──そんな仕組みづくりをご一緒いたします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。