【EVシフト支援に見る現場改革】“整理整頓”だけじゃない、経営を変える5Sの本質とデジタル活用術
業務改善を“仕組み化”するための5Sとデジタルの融合
2025-05-10

EV時代への転換を支える中小企業の競争力強化。その裏側には、「5S」を徹底することで現場の改善と経営力の底上げを図る地道な取り組みがあります。本コラムでは、新聞報道で注目された次世代自動車センター浜松の支援事例をヒントに、単なる整理整頓にとどまらない「5S」の本質と、これを企業経営やDXにどう応用できるかを解説します。業務の非効率や属人化に悩む企業のご担当者さまにとって、システム導入を検討するうえでの重要な視座となるでしょう。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
目次
【記事要約】中小製造業の現場改革へ―浜松発、5SでEV時代を勝ち抜く力を育成
次世代自動車センター浜松は、電気自動車(EV)シフトに向け、中小企業の競争力強化を目的に「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」の指導を強化。整理された工場環境が利益体質を生み、大手との取引獲得にも直結するため、センター長自ら現場改善に関与。セミナー実施や金融機関との連携で、本気の改善に踏み出す企業の選別と支援に力を注いでいる。
出典:日本経済新聞「〈小さくても勝てる〉鈴木修氏の『遺産』浜松に EVシフトへ、会員企業500社超 中小の現場から提案力」2025年4月15日付朝刊
「5S」とは?
「5S」とは、日本の製造業を中心に広まった職場環境の改善手法で、以下の5つの要素の頭文字を取ったものです。
- 整理(Seiri):不要なものを区別し、捨てる
- 整頓(Seiton):必要なものを使いやすい場所に配置する
- 清掃(Seisou):常に掃除をして職場を清潔に保つ
- 清潔(Seiketsu):整理・整頓・清掃の状態を維持する
- しつけ(Shitsuke):ルールを守る習慣を身につける
5Sは単なる掃除の徹底ではなく、ムダの排除、品質向上、職場の安全確保、生産性の向上などにつながる“現場力強化”の基本です。特に中小企業においては、大手企業との取引条件にも影響することがあるため、経営戦略の一環としての実施が重要です。
ポイントをひとことで
本コラムは、5Sという現場改善の基本に立ち返りながら、それを単なる整理整頓にとどめず、経営や業務全体の見直しに活かす視点を提示しています。特に、業務のムダや属人化をあぶり出し、「仕組み化」へとつなげるプロセスは、まさにDXの本質です。汎用的なツール導入では解決できない課題に対して、フルスクラッチ開発という選択肢が有効である理由が明確に示されており、システム導入における本質的な思考法を学べる内容といえます。
「5S」は“整理整頓術”ではなく、経営改善の礎
5Sとは、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つの要素から構成される現場改善の基本です。特に製造業の分野では、生産性や品質、安全性の向上を支える仕組みとして長年親しまれてきました。
しかし、5Sの真価は、現場だけにとどまりません。5Sを実践する過程で、企業内のムダや属人的な業務、情報の混在など、経営レベルの課題が浮き彫りになります。つまり5Sは、表面的な「整える」活動ではなく、経営体質そのものを見直すための“きっかけ”になり得るのです。
デジタルと5Sの親和性―「見える化」から始まるDX
5Sの導入で見えてくるのは、業務の非効率や属人化された処理、複雑化したフローなど、本来であれば早期に改善されるべきボトルネックです。これらの課題を根本的に解決するには、業務のデジタル化=DXが不可欠です。
例えば、整理・整頓の観点からは、紙ベースやエクセル管理の情報を一元化する業務システムが有効です。清掃・清潔の視点では、定期点検やチェックフローをシステムで管理することで、現場の状態を“常にきれいに保つ”ことができます。そして「しつけ」は、運用ルールをシステムに組み込むことで、業務の標準化と継続的な品質担保につながります。
業務にフィットした“仕組み化”がカギ
こうした5Sの思想を活かすには、業務プロセスにぴったりと合った仕組みが必要です。汎用パッケージではカバーしきれない部分こそ、フルスクラッチ開発による柔軟な設計が求められます。
システム開発会社とともに、現場をよく理解し、業務フローに沿って最適な構造を一から構築することで、5Sで見えてきた課題に対してピンポイントの改善策が講じられます。結果として、業務の効率化だけでなく、経営そのものの「整理整頓」が可能になるのです。
まとめ
5Sは現場改善だけの手法ではありません。情報や業務フロー、そして組織文化までを見直す「経営改善の入り口」です。この視点を持ってDXに取り組むことで、自社の課題に真にフィットするシステムを設計・導入することができます。
「整理整頓」で終わらせず、「仕組み化」にまで昇華する。そんなDXを実現したい企業担当者さまは、5Sの視点から一度、自社の業務と向き合ってみてはいかがでしょうか。
5Sの視点で業務を見直すことは、単なる効率化にとどまらず、自社の強みと課題を明確にする貴重な機会となります。そして、その気づきを真に活かすためには、業務に最適化されたシステムの存在が欠かせません。
フレシット株式会社では、お客さまの現場や業務プロセスに深く入り込み、ゼロから設計するフルスクラッチ開発を通じて、課題解決と企業成長を支援しています。自社独自の業務に寄り添った、実効性あるDXを実現したいとお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。