その5S、現場止まりになっていませんか?DXで定着させる“仕組み化”のススメ
“継続できる改善”へ導くフルスクラッチ開発の可能性
2025-05-12

EVシフトの時代を見据え、静岡・浜松で進む中小製造業の現場改革。その中心にあるのが、整理・整頓を基本とする「5S」の取り組みです。しかし、多くの企業で5Sは“改善活動”にとどまり、長期的な業務改善や生産性向上にはつながっていないのが現状です。
本コラムでは、5Sの考え方をいかに「定着」させ、経営レベルの改善へとつなげるか。DXと“仕組み化”の視点から、システム開発による実効的なアプローチをご紹介します。
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目次
【記事要約】中小製造業の現場改革へ―浜松発、5SでEV時代を勝ち抜く力を育成
次世代自動車センター浜松は、電気自動車(EV)シフトに向け、中小企業の競争力強化を目的に「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」の指導を強化。整理された工場環境が利益体質を生み、大手との取引獲得にも直結するため、センター長自ら現場改善に関与。セミナー実施や金融機関との連携で、本気の改善に踏み出す企業の選別と支援に力を注いでいる。
出典:日本経済新聞「〈小さくても勝てる〉鈴木修氏の『遺産』浜松に EVシフトへ、会員企業500社超 中小の現場から提案力」2025年4月15日付朝刊
「5S」とは?
「5S」とは、日本の製造業を中心に広まった職場環境の改善手法で、以下の5つの要素の頭文字を取ったものです。
- 整理(Seiri):不要なものを区別し、捨てる
- 整頓(Seiton):必要なものを使いやすい場所に配置する
- 清掃(Seisou):常に掃除をして職場を清潔に保つ
- 清潔(Seiketsu):整理・整頓・清掃の状態を維持する
- しつけ(Shitsuke):ルールを守る習慣を身につける
5Sは単なる掃除の徹底ではなく、ムダの排除、品質向上、職場の安全確保、生産性の向上などにつながる“現場力強化”の基本です。特に中小企業においては、大手企業との取引条件にも影響することがあるため、経営戦略の一環としての実施が重要です。
ポイントをひとことで
本コラムは、5Sの実践が一過性で終わる企業の多さに着目し、その背景にある“仕組み不在”という本質的課題を鋭く突いています。業務改善は継続して初めて意味を持ちますが、その定着には属人性を排除し、業務をシステムとして構造化するアプローチが不可欠です。特に、自社固有のフローや現場事情に寄り添えるフルスクラッチ開発は、改善の持続性と柔軟性の両立において有効です。5SをDXへ昇華させたい企業にとって、実践的な示唆を与える内容です。
なぜ5Sが定着しないのか?
5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は、現場改善の基本として長年多くの企業で活用されてきました。しかし、実際には「一時的な片付け」で終わってしまい、すぐに元通りになるケースが少なくありません。その原因の多くは、ルールが属人化していることや、改善内容が仕組みとして定着していないことにあります。
また、「やるべき」と理解はしていても、日常業務に追われる中で継続が難しく、担当者のモチベーションに依存してしまうという構造的な課題もあります。
5SをDXで定着させる“仕組み化”のアプローチ
5Sの効果を持続させるには、“意識”ではなく“仕組み”が必要です。その鍵となるのがDX、すなわち業務のデジタル化と標準化です。たとえば以下のような方法が考えられます。
- 整理・整頓の定着:業務フローや在庫情報をシステムで一元管理し、不要データや非効率な動線を可視化する
- 清掃・清潔の定着:点検や清掃のスケジュールを自動化し、チェック漏れを防止
- しつけの定着:業務ルールをシステム上に組み込み、運用フローを誰でも守れる状態にする
これにより、改善の内容が個人の習慣ではなく「組織のルール」として根づき、持続的な成果につながります。
フルスクラッチ開発で実現する“現場に合った仕組み”
市販のパッケージソフトでは、企業独自の業務フローや現場課題に完全対応するのは難しいことがあります。そこで注目されるのが、フルスクラッチによるオーダーメイドのシステム開発です。
フルスクラッチなら、現場で可視化された課題や5Sで見えてきた業務改善の要素をもとに、最小限で最大効果を生むシステム設計が可能です。しかも、現場の運用に無理なくなじむため、定着率も高く、改善が持続しやすくなります。
まとめ
5Sは、業務改善の第一歩として非常に有効ですが、それを“定着”させ、企業の力に変えるには、DXによる「仕組み化」が不可欠です。ルールや改善の型をデジタルで固定化することで、現場の属人性を排除し、持続的な改善が実現します。
その実現には、自社の業務に本当に合った仕組みを構築することが必要です。パッケージソフトではなく、業務フローにフィットしたオーダーメイドのシステム開発を選ぶことで、5Sを単なるスローガンではなく、経営基盤へと昇華させることができるのです。
なお、こうした“仕組み化”を成功させるためには、業務の実態に即した柔軟な設計と、現場に根差したシステム開発が不可欠です。フレシット株式会社では、丁寧な業務ヒアリングをもとに、お客様ごとに最適化されたフルスクラッチ(オーダーメイド)のシステムを構築。単なるIT導入にとどまらず、現場に定着し続ける「成果につながる仕組み」をご提供しています。業務改善とDXの両立をお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。