トヨタの“カイゼン”思想に学ぶ、DX時代の開発術──アジャイル×カイゼン=最強の改善ループ
現場が動く、システムも変わる。カイゼン思考で進化するDX
2025-05-13

DXの推進が求められるなかで、業務にフィットするシステム開発を実現するには、単に最新の技術や手法を取り入れるだけでは不十分です。求められるのは、自社の業務や文化に深く根ざした「改善の仕組み」です。
本コラムでは、トヨタに代表される「カイゼン(継続的改善)」の考え方と、アジャイル開発の柔軟なアプローチを掛け合わせた“最強の改善ループ”について解説し、自社にフィットするフルスクラッチ開発の進め方をご紹介します。
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目次
【記事要約】「カイゼン」で磨いた原価低減力 トヨタの利益率に見る稼ぎの構造改革
自動車大手3社の収益構造を財務諸表から比較した本記事では、「カイゼン」による原価低減がトヨタの高利益率の源泉であることが際立っている。ホンダは高い資産回転率、日産は販売金融によるレバレッジ効果で稼ぐ構造を持つが、トヨタは売上原価の抑制によってROE・利益率ともに他社を大きく上回る。トヨタの「カイゼン」は単なる現場改善にとどまらず、財務効率にも直結する経営手法として進化していることが読み取れる。
出典:日本経済新聞「トヨタ・ホンダ・日産の稼ぎ方 クイズで違いを学ぶ」2025年2月25日付電子版
「カイゼン」とは──小さな改善が生む大きな変革
「カイゼン」とは、日本発の継続的改善の考え方で、業務のムダや非効率を見つけ出し、小さな工夫を積み重ねていくことで生産性や品質の向上を目指す手法です。トヨタ自動車の生産方式から広まり、現場の声を重視しながら改善を続けるスタイルは、製造業に限らず、サービス業やIT分野の業務改善・DX推進にも応用されています。
ポイントをひとことで
このコラムは、アジャイル開発の柔軟性と、トヨタの「カイゼン」思想を融合させることで、より実践的かつ持続可能なシステム開発が可能になるという重要な視点を提示しています。特に、完成をゴールとせず“育て続けるシステム”という発想は、変化の激しい現代において非常に有効です。標準的な手法に頼らず、自社固有の業務課題や成長フェーズにフィットする形で開発プロセスそのものを最適化していくアプローチは、フルスクラッチ開発と極めて親和性が高いといえるでしょう。
アジャイル開発の本質は「変化への適応」
アジャイル開発は、仕様を一度に固めて進めるのではなく、短い開発サイクル(スプリント)を繰り返しながら、都度要件を見直し、改善していく開発手法です。近年では、業務の変化や市場のスピードに柔軟に対応できる手法として、多くの企業が採用しています。
しかし、アジャイル開発は万能ではありません。形式だけを取り入れ、「スクラム」や「デイリースクラム」といった枠組みにとらわれすぎると、真の目的である「継続的な価値創出」が見失われがちです。
「カイゼン」の思想でアジャイルを深化させる
ここで注目すべきが、製造業で長年成果を上げてきた「カイゼン」の考え方です。現場の声を取り入れ、小さな改善を積み重ねることで大きな成果を生むこの手法は、アジャイル開発との親和性が非常に高いと言えます。
たとえば、アジャイル開発のレビューやふりかえりに「現場起点の課題提起」と「改善提案」の視点を組み込むことで、単なる進捗確認ではなく、実践的な改善活動へと昇華できます。これは、フルスクラッチ開発でこそ活かせる強みです。なぜなら、既製のパッケージでは対応できない独自の業務やフローにこそ、改善の余地が多く潜んでいるからです。
改善ループを内製化できる仕組みを
フルスクラッチ開発において、「完成して終わり」ではなく、「運用後も育てていく」視点が重要です。そのためには、アジャイル開発を通じて組織内に改善の習慣を根付かせると同時に、システム開発会社と密に連携し、継続的な改善サイクルを共に回していく体制が求められます。
このように、アジャイルとカイゼンを掛け合わせたアプローチは、単なる開発手法を超えた「業務改善モデル」そのものとも言えるでしょう。
まとめ
トヨタの「カイゼン」から学べるのは、単なる改善の技術だけではなく、「現場を信頼し、継続的に変化を受け入れる文化」です。これをアジャイル開発に取り入れることで、事業会社ごとの業務に真にフィットしたシステムを実現することが可能になります。
ぜひ、こうした「改善ループ」を取り入れたシステム開発を検討されているご担当者さまには、フレシット株式会社をご活用いただきたいと考えております。
当社は、現場に寄り添うヒアリング力とアジャイル開発の柔軟性を強みに、貴社独自の業務課題に最適化されたフルスクラッチ(オーダーメイド)開発を提供しています。
変化を前提とした継続的な改善サイクルを大切にし、納品後も“育てていけるシステム”を共に構築いたします。
現場発の「カイゼン」文化をDXへつなげる一歩として、ぜひお気軽にご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。