トヨタの“稼ぎ方”に学ぶDX成功の鍵──“現場で育てるシステム”開発のすすめ
現場起点で進化する、持続可能なシステム開発の考え方
2025-05-17

トヨタの高い利益率の裏には、「カイゼン(継続的改善)」を徹底した現場起点の仕組みがあります。この考え方は製造業だけでなく、DX推進や業務システム開発にも大いに活かせます。多くの企業がDXに取り組む中で、導入したシステムが定着せず、形骸化してしまうという悩みも少なくありません。
本コラムでは、トヨタ式の“育てる”発想をもとに、変化に強く、業務に根ざしたシステムを実現するための開発戦略をご紹介します。
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目次
【記事要約】「カイゼン」で磨いた原価低減力 トヨタの利益率に見る稼ぎの構造改革
自動車大手3社の収益構造を財務諸表から比較した本記事では、「カイゼン」による原価低減がトヨタの高利益率の源泉であることが際立っている。ホンダは高い資産回転率、日産は販売金融によるレバレッジ効果で稼ぐ構造を持つが、トヨタは売上原価の抑制によってROE・利益率ともに他社を大きく上回る。トヨタの「カイゼン」は単なる現場改善にとどまらず、財務効率にも直結する経営手法として進化していることが読み取れる。
出典:日本経済新聞「トヨタ・ホンダ・日産の稼ぎ方 クイズで違いを学ぶ」2025年2月25日付電子版
「カイゼン」とは──小さな改善が生む大きな変革
「カイゼン」とは、日本発の継続的改善の考え方で、業務のムダや非効率を見つけ出し、小さな工夫を積み重ねていくことで生産性や品質の向上を目指す手法です。トヨタ自動車の生産方式から広まり、現場の声を重視しながら改善を続けるスタイルは、製造業に限らず、サービス業やIT分野の業務改善・DX推進にも応用されています。
ポイントをひとことで
このコラムは、システム開発を単なる導入プロジェクトではなく、企業成長に寄与する“育てる資産”として捉える重要性を説いています。トヨタのカイゼン思想に学び、現場の変化や改善要求を柔軟に取り込むことで、システムが実態に即した形で進化し続ける――この視点は、特に自社固有の業務フローを持つ企業にとって不可欠です。フルスクラッチ開発を選ぶ意義もここにあり、長期的視点での開発戦略として非常に理にかなっています。
なぜ「完成」がゴールではないのか?
多くの企業が、システム開発を“導入すれば終わり”と考えがちです。しかし、実際には業務フローの変化や組織体制の見直しなど、システム稼働後に求められる変更や改善は少なくありません。
そのため、最初に設計された要件だけでは対応しきれず、現場に定着せずに使われなくなる――という事例も少なくないのが現状です。
このような失敗を防ぐには、開発を“完成”ではなく“スタート”ととらえ、運用しながら改善し続ける仕組みが必要です。まさにトヨタのカイゼン精神と同様に、小さな変化を積み重ねて成長させていく発想が求められます。
トヨタ式「育てる」視点がDX成功の鍵に
トヨタの強さの本質は、現場から上がる改善提案をもとに、柔軟に生産体制や仕組みを進化させている点にあります。これは、業務システム開発においても応用可能です。
たとえば、初期段階では最低限の機能でスタートし、現場のフィードバックを取り入れながら改善していく“アジャイル開発”や“スモールスタート”の手法は、まさにカイゼン的な考え方そのものです。
重要なのは、現場で実際に使われる中で得られる気づきを、迅速に開発プロセスへ反映できる体制を整えておくこと。これにより、システムは業務にフィットし、使われ続ける資産へと成長していきます。
フルスクラッチ開発との高い親和性
こうした“育てる”視点は、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発と非常に相性が良いといえます。パッケージ製品ではカバーしきれない独自業務や、将来的な変更への柔軟な対応力を備えているためです。
また、柔軟な仕様変更や継続的な機能追加が前提となる開発では、業務改善とシステム改善が密接に連動し、DXの実効性を高めることが可能になります。
まとめ
トヨタの「カイゼン」に学ぶべきは、目先の成果だけでなく、継続的に成果を出し続ける仕組みをつくるという考え方です。
これはまさに、DXに取り組む企業にとっても重要な視点といえるでしょう。
一過性のプロジェクトとしてではなく、業務と共に育つシステムを構築すること。それが、変化の激しいビジネス環境で、成果を出し続けるDX成功の鍵です。
こうした“育てるシステム”の考え方を実現するには、柔軟に寄り添いながら長期的な視点で開発・改善をサポートできるパートナーの存在が不可欠です。
フレシット株式会社は、事業や現場の実態に深く入り込み、対話を重ねながら最適な仕様を共に創り上げるフルスクラッチ(オーダーメイド)開発を得意としています。
導入して終わりではなく、お客さまの成長とともに進化していくシステムを目指し、伴走型でご支援いたします。
「現場で育つ仕組み」を構築したいとお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。