トヨタの“カイゼン”をIT開発に活かす──アジャイル開発が生む現場発DX
業務改善と開発の連動が生む、持続可能なDX推進モデル
2025-05-25

製造業における生産性の象徴として知られるトヨタの「カイゼン」。この継続的改善の考え方は、IT開発やDXの現場においても大きな価値を発揮します。特に、アジャイル開発と組み合わせることで、現場から湧き出る改善のアイデアを開発サイクルに反映しやすくなり、属人化リスクを抑えつつ、組織全体の成果へとつなげることが可能になります。
本コラムでは、「カイゼン」×「アジャイル」の視点から、実践的な現場発DXの進め方を解説します。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
目次
【記事要約】「カイゼン」で磨いた原価低減力 トヨタの利益率に見る稼ぎの構造改革
自動車大手3社の収益構造を財務諸表から比較した本記事では、「カイゼン」による原価低減がトヨタの高利益率の源泉であることが際立っている。ホンダは高い資産回転率、日産は販売金融によるレバレッジ効果で稼ぐ構造を持つが、トヨタは売上原価の抑制によってROE・利益率ともに他社を大きく上回る。トヨタの「カイゼン」は単なる現場改善にとどまらず、財務効率にも直結する経営手法として進化していることが読み取れる。
出典:日本経済新聞「トヨタ・ホンダ・日産の稼ぎ方 クイズで違いを学ぶ」2025年2月25日付電子版
「カイゼン」とは──小さな改善が生む大きな変革
「カイゼン」とは、日本発の継続的改善の考え方で、業務のムダや非効率を見つけ出し、小さな工夫を積み重ねていくことで生産性や品質の向上を目指す手法です。トヨタ自動車の生産方式から広まり、現場の声を重視しながら改善を続けるスタイルは、製造業に限らず、サービス業やIT分野の業務改善・DX推進にも応用されています。
ポイントをひとことで
このコラムは、トヨタの「カイゼン」思想をIT開発に応用することで、単なるシステム導入にとどまらない“現場発のDX”を実現する可能性を示しています。特に、アジャイル開発と組み合わせることで、現場の知恵を継続的に取り込みながら改善を重ねていける点は、変化の激しいビジネス環境において大きな強みとなります。属人化を回避しつつ、再現性と成長性を兼ね備えた開発体制を築くには、この“カイゼン×アジャイル”の視点が不可欠です。
なぜ「現場発」のDXが必要なのか?
多くのDXプロジェクトが頓挫する背景には、「現場の実態と乖離したシステム開発」があります。経営層の視点だけで設計されたシステムは、実際の業務とフィットせず、導入後に使われない、定着しないといった問題を引き起こします。
そこで注目されるのが、現場の知恵や改善の積み重ねを基盤とするトヨタの「カイゼン」思想です。現場の声を丁寧に拾い、細やかな変更や改善を積み重ねることで、実務に根ざした仕組みが育ちます。この思想をIT開発に活かすことで、使われるシステム、成果に直結する仕組みづくりが可能になります。
アジャイル開発とカイゼンの親和性
アジャイル開発は、短いスパンで開発とレビューを繰り返す手法です。これにより、要件や方向性の変化に柔軟に対応できるのが大きな特長です。さらに、「カイゼン」の視点を取り入れることで、開発の各サイクルにおいて“改善の視点”が定着し、単なるスピード重視ではない、質と価値を高める開発体制が実現します。
たとえば、定期的なふりかえり(レトロスペクティブ)において、単なる開発上の課題だけでなく、業務プロセスのボトルネックや業務効率の改善点を話し合うことで、システムと業務の両面から変化を促せます。
属人性を超えて成果を出す仕組みとは?
現場に密着した開発は、特定の担当者の知識に依存してしまう「属人化リスク」を伴うこともあります。しかし、アジャイル×カイゼンの仕組みを通じてチーム全体で業務と開発の知見を共有し、改善を“プロジェクト全体の文化”として根づかせることで、属人性を排除した、再現性ある開発体制を築けます。
このような仕組みを実現するには、表層的な「ツール導入」ではなく、業務や文化への深い理解を持ったシステム開発会社との協働が不可欠です。
まとめ
現場の知恵を活かし、小さな改善を積み重ねる「カイゼン」の発想は、アジャイル開発と組み合わせることで、成果につながる“生きたDX”へと昇華します。
属人化に悩まず、組織として継続的に改善を続けていける体制は、単なる業務効率化にとどまらず、企業競争力の強化にもつながります。
DXを成功させる鍵は、システムをつくることではなく、“使われる仕組み”を育てること。
その第一歩は、現場とともに改善を繰り返す柔軟な開発アプローチにあります。
こうした“現場発の改善”を生かしたシステム開発を実現するためには、業務への深い理解と、柔軟に伴走できるパートナーの存在が欠かせません。
フレシット株式会社は、現場の声に真摯に耳を傾け、業務改善の視点を活かしながら最適な仕組みをゼロから設計するフルスクラッチ(オーダーメイド)開発を強みとしています。
“変化に強く、使われ続けるシステム”を本気で目指す企業さまは、ぜひ一度ご相談ください。貴社とともに、成長する仕組みを築き上げます。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。