“仕様通りなのに不満”の原因とは?期待値のズレが起こる5つのタイミング
開発成功の鍵は、“タイミング”ごとの期待値調整にある
2025-05-26

「確かに仕様通りに仕上がっている。でも、なんだか想像していたものと違う」。そんな声を聞いたことはありませんか?
システム開発では、発注側と開発側の間で“期待値のズレ”が起きることが少なくありません。これはコミュニケーション不足だけでなく、プロジェクトの進行におけるタイミングの問題でもあります。
本コラムでは、期待値のズレが発生しやすい5つのタイミングを具体的に整理し、それぞれにおける注意点と対策を解説します。
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目次
【記事要約】クレジットHD解散の背景に見るシステム開発のリスク管理不足
クレジットHDは、大手金融機関との提携を機に開発規模が急拡大し、要件定義やリソース計画の甘さからプロジェクトが破綻。初期段階で開発の規模・品質に関する合意形成が不十分だったことや、ジョイントベンチャー化など費用分担の工夫を欠いた点が解散の要因となった。スタートアップにとって、システム開発の戦略設計と契約形態の選定は極めて重要である。
出典:日本経済新聞「有望フィンテック解散 大手との提携で暗雲、開発費膨張 スタートアップ 清算に学ぶ㊤」2024年11月11日付電子版
ポイントをひとことで
システム開発における“期待値のズレ”は、プロジェクトを成功に導く上で最も見落とされがちなリスクの一つです。特にフルスクラッチ開発では、ゼロから作るからこそ発注側と開発側が「どのような成果物を目指すのか」を明確にすり合わせておく必要があります。本コラムが示す5つのタイミングは、実務においてズレが発生しやすい具体例であり、どれも対話と検証を怠れば手戻りや不満につながります。開発パートナーとの信頼関係が何よりのリスク対策になります。
契約前:目的と成果物の認識に差がある
プロジェクトのスタート前は、熱意やスピード感が先行しがちです。この段階で「何を作るか」ではなく、「何を実現したいか」という目的をすり合わせていないと、開発が進むにつれてギャップが広がってしまいます。
システム開発会社との初期の対話では、技術的な話だけでなく、ビジネス上の課題や目指す成果を共有することが重要です。
要件定義:言葉のズレが仕様に影響を及ぼす
「使いやすい」「柔軟に対応可能」といった抽象的な表現は、人によって解釈が異なります。要件定義書に落とし込む段階でこうした表現が曖昧なまま残っていると、完成後に「思っていたのと違う」となりかねません。
機能単位での具体的な記述、画面イメージの共有、業務フローとの照らし合わせなどが有効な手段です。
プロトタイプ提示時:フィードバックの機会を逃す
プロトタイプを提示する段階は、期待値のズレを修正できる貴重なタイミングです。しかし、ここで「ある程度形になっているから」「忙しいから」といった理由で確認を曖昧にしてしまうと、本番実装後の修正が大幅な手戻りを招くことになります。
納品前にしっかりと確認し、必要があれば細かい部分まで調整することが大切です。
納品時:仕様通りでも「体験」が違う
仕様を満たしているにもかかわらず、実際に使ってみると「これじゃない」と感じることがあります。特に業務システムにおいては、実運用の流れや使う人のスキルレベルが考慮されていない設計が、利用現場との乖離を生む要因です。
納品前には、利用シーンを想定したテストやユーザー目線でのレビューを取り入れると効果的です。
運用保守開始後:継続的な対応の有無
納品後に発生する運用上の疑問や軽微な修正依頼などに対し、システム開発会社との連携が継続していないと「作って終わり」の印象が残ります。結果として、発注側にとっては「満足できない開発だった」という評価になってしまいます。
システムは運用を前提として初めて価値を発揮します。サポート体制や改善提案が得られる関係性を築くことが、期待値の維持につながります。
まとめ
システム開発において「仕様通りなのに不満が残る」という現象は、発注側と開発側の期待値のズレから生まれます。しかもそのズレは、契約前・要件定義・プロトタイプ・納品・運用保守と、プロジェクトのさまざまな段階で起こり得ます。
こうしたズレを防ぐためには、一貫したコミュニケーションと、共通認識の構築が不可欠です。最初から最後まで“同じゴール”を見据えて走れる開発パートナーを選ぶことが、プロジェクト成功の第一歩となるでしょう。
貴社が思い描く理想のシステムを、期待通りではなく“期待以上”に具現化するために──。ぜひ一度、フルスクラッチ開発のパートナーとして、私たちフレシットにご相談ください。
こうした“期待値のズレ”を最小限に抑えるには、プロジェクト初期から一貫した対話と、現場目線での丁寧な設計が不可欠です。フレシット株式会社では、ヒアリングから要件定義、開発、運用保守に至るまで、すべての工程でお客様と「目線をそろえること」を重視しています。業務フローに根ざした提案と柔軟な対応力で、納品後も「これでよかった」と思っていただけるシステム開発を実現しています。
フルスクラッチ開発をご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。