働きがい向上へ社内報刷新──“誰が何を見ているか”を可視化する仕組みと活用のヒント
閲覧ログ分析が導く、戦略的な情報浸透の設計論
2025-05-28

社内報や社内ポータルは、従業員への情報発信ツールとして多くの企業で導入されています。しかし、「どれだけ読まれているのか」「誰に届いているのか」が把握できていないまま運用されているケースも少なくありません。大阪ガスは、社内報の閲覧状況を部署や個人ごとに可視化し、エンゲージメント向上に活用する仕組みを構築しました。
本コラムでは、社内報の閲覧データを経営に活かすための設計ポイントと、フルスクラッチで構築すべき理由を解説します。
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目次
【記事要約】大阪ガス、DXで社内報を進化 従業員エンゲージメント向上へ
大阪ガスは、従業員の働きがい向上を目的に、社内報「がす燈」をDXの観点から大幅に刷新。SNS風の投稿機能「GASスタグラム」やハッシュタグ検索、記事ランキングなどを導入し、閲覧率を従来の「3割の壁」を超える約45.5%に向上させた。今後は閲覧データとエンゲージメントスコアの連携により、従業員の関心に即したコンテンツ配信を進め、次世代型社内報の実現を目指す。
出典:日本経済新聞「働きがい向上へ社内報進化 大ガス、閲覧率5割近くに」2025年5月13日付朝刊
ポイントをひとことで
社内報やポータルのDXにおいて重要なのは、「発信する」ことではなく、「伝わったか」を把握し、次のアクションに活かす仕組みを整えることです。誰が、いつ、何を見ているかという閲覧データを可視化することは、情報の届き方を定量的に測るだけでなく、従業員の関心や組織内の温度感を読み取る手がかりになります。テンプレート化された仕組みでは得られない分析視点を持つためにも、自社の目的や組織構造に即したシステム設計が不可欠です。
「誰に届いたか」がわかる社内報とは?
従来の社内報は、情報を掲載することが目的となりがちで、実際にどの従業員がどの情報に関心を持っているのか、把握しづらいという課題がありました。大阪ガスは、社内報「がす燈」において閲覧ログの取得と分析を導入し、従業員の関心や情報の浸透度を可視化しています。
部署別・個人別に「いつ」「何を」「どのくらい」読んでいるかというデータを蓄積・活用することで、発信内容の改善や組織単位でのフォローが可能になります。
データが示す“伝わっている”の実感
閲覧データは単なるアクセス数ではなく、社内広報活動の効果を可視化する「証拠」になります。たとえば、重要な経営方針に関するコラムが一部の部署にしか読まれていない場合、その部署のマネジメント層とのコミュニケーションを強化する判断ができます。また、特定のテーマに関心が集中していることがわかれば、社内教育や企画の参考にもなります。
このように、閲覧データは「誰に伝わっていて、誰に届いていないのか」を明確にし、組織全体の情報流通を最適化する鍵となるのです。
フルスクラッチで実現する“伝える”仕組みのつくり方
閲覧状況の把握や分析を行うには、単なる社内報システムでは不十分です。自社に合った粒度でのログ取得、部署との紐づけ、権限設定、スコアとの連携など、多様な要件を満たすには、業務や組織構造に最適化されたシステムの構築が求められます。
例えば以下のような設計が考えられます。
- 従業員ごとにログインし、閲覧履歴を自動記録
- 閲覧データを部署・職種ごとに集計できる管理画面
- エンゲージメントスコアとの相関を分析する仕組み
- 特定コラムの未読者に対する自動リマインド機能
既存の汎用ツールではこうした細かな要望に対応するのは難しく、フルスクラッチ開発が現実的な選択肢となります。
まとめ
社内報の運用において、「読まれているかどうか」を可視化することは、経営方針や重要情報が組織内にどれだけ浸透しているかを測る上で極めて重要です。大阪ガスの事例は、閲覧データの活用が社内広報に新たな役割と戦略性をもたらすことを示しています。自社に適した仕組みで、“誰に、いつ、何が伝わっているのか”を見える化する取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
こうした閲覧データの取得・分析を自社の組織構造や運用方針に合わせて行うには、柔軟に設計できるシステムが欠かせません。フレシット株式会社では、業務の実態や目的に応じたフルスクラッチ(オーダーメイド)開発を通じて、情報の“伝わり方”まで設計された社内報・社内ポータルシステムの構築を支援しています。可視化と改善のサイクルを回す仕組みを、自社に最適な形で導入したいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。