既存機能に何を掛け合わせるか?差別化の鍵を握るDX設計術
複合的な顧客体験が鍵──競合市場で差別化を図るシステム設計戦略
2025-06-02

駐車場シェアリングサービスを展開してきたアキッパが、音楽フェスなどのチケット販売事業に参入し、注目を集めています。チケット販売自体はすでに大手企業がひしめく成熟市場ですが、アキッパはSNS機能や駐車場予約を組み合わせることで差別化を図っています。
本コラムでは、“機能の掛け算”という視点から、既存市場への新規参入に成功するためのDX戦略を解説します。
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目次
【記事要約】アキッパ、DXでチケット販売に参入 SNS連携や駐車場予約で利便性向
駐車場シェアリング事業を展開するアキッパが、DX戦略の一環としてオンラインチケット販売事業に参入。2025年5月18日の音楽フェスを皮切りに展開し、将来的には駐車場とのセット予約やSNS機能でサービスを差別化。ファンはライブ感想の共有やアーティスト登録も可能で、イベント体験の一体化を図る。
出典:日本経済新聞「アキッパがチケット販売 フェスなど 駐車場セット予約も」2025年5月1日付朝刊
ポイントをひとことで
成熟市場で新規参入が成功する鍵は、「既存機能の強化」ではなく、「異なる価値の掛け合わせ」にあります。本コラムは、アキッパがチケット販売という競合の多い分野に対して、駐車場予約やSNS機能を組み合わせることで新たな顧客体験を創出し、差別化に成功している点を取り上げています。こうしたDX戦略には、ユーザー視点での導線設計と柔軟なシステム構築が欠かせず、フルスクラッチ開発の重要性が改めて浮き彫りになります。
機能の掛け算がもたらす市場突破のヒント
既存市場への後発参入は、単なる価格勝負や技術競争だけでは優位性を築くことが難しいのが現実です。その中でアキッパが取った戦略は、「既存の機能に他の要素を掛け合わせて、新しい価値体験を生み出す」というアプローチでした。
チケット販売というコア機能に、駐車場予約を連動させることで、イベント参加時の“移動の不安”を先回りして解消。そして、SNS機能の導入により、ユーザー同士の感想共有やアーティストフォローといったコミュニケーション体験も提供しています。こうした“機能の掛け算”は、単体では競合に見劣りする要素でも、組み合わせ次第で新たな強みとして機能することを示しています。
なぜフルスクラッチ開発が重要なのか
複数の機能を柔軟かつ統合的に設計するには、画一的なテンプレートやパッケージでは限界があります。駐車場予約とチケット販売を連携させる場合、ユーザーの利用導線や決済プロセス、在庫管理の仕組みなどを個別最適化する必要があります。また、SNS機能を搭載するには、投稿・表示・通知・プロフィール設計などの自由度も求められます。
こうした構造をサービスに合わせて自在に設計できるのが、フルスクラッチによるシステム開発の大きな強みです。ユーザーの体験全体を一貫して設計できるからこそ、既存市場に新しい切り口でアプローチできるのです。
DXは“業界の当たり前”を疑うところから
DXというと、業務効率化やペーパーレス化などの内向きな変革に目が向きがちですが、本質は“体験の再設計”にあります。アキッパのように「イベントを予約するだけでなく、会場までのアクセスやユーザーの興奮まで設計する」視点を持つことが、新たな価値創造へとつながります。
市場が成熟している、競合が強い、そうした状況こそが、既存の枠を超えるDXの出番です。単なる参入ではなく、“機能の掛け算”で既存市場に風穴を開けることが、これからの戦略のカギになるでしょう。
まとめ
アキッパの取り組みは、既存機能の強化ではなく“再構成”によって新しい市場価値を生み出す好例といえます。DXの成功には、現行ビジネスの延長ではなく、サービス体験そのものを再編集する視点と、それを支える柔軟な開発体制が不可欠です。業界の常識を疑い、顧客体験を再定義することで、既存市場に新たな風を吹き込むことが可能になります。
こうした“機能の掛け算”による差別化を実現するには、既存の枠にとらわれない柔軟な設計力と開発体制が求められます。フレシット株式会社では、事業構想の段階から丁寧に伴走し、ビジネスモデルやユーザー体験に最適化されたシステムをフルスクラッチで構築いたします。サービスの特性に合わせた独自の組み合わせを実現したい方は、ぜひご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。