産後ケアのネット予約に見る、スマホ完結型サービスがもたらす“使いやすさ”の本質とは
「使いやすさ」を生む設計思想と、フルスクラッチ開発の強み
2025-05-20

産後ケアの利用拡大を目指し、スマホから施設検索や予約・キャンセルが可能なネット予約システムが導入されはじめています。これは単なる業務効率化にとどまらず、「誰でも迷わず使える」ユーザー体験を設計することの重要性を示しています。今回は、こうしたスマホ完結型サービスの背景にある設計思想と、それを支えるフルスクラッチ開発の役割について考察します。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
目次
【記事要約】DXで産後ケアをもっと身近に──予約簡略化で利用促進へ
産後ケアの利用促進に向け、官民がDXを活用した取り組みを加速している。グッドバトンが提供するネット予約サービス「あずかるこちゃん」では、スマホから施設検索・予約が可能となり、従来の煩雑な手続きを簡略化。これにより自治体職員の業務負担も大幅に削減された。利便性向上を通じ、誰もが平等に受けられる“ユニバーサルサービス”としての定着が期待されている。
出典:日本経済新聞「『産後ケア』便利に、お気軽に 利用1割どまり、官民で活用後押し」2025年4月30日付朝刊
ポイントをひとことで
スマホ完結型サービスの本質は「使えること」ではなく「使いやすいこと」にあります。本コラムは、産後ケアのDX事例を通じて、ユーザー視点に立った設計思想の重要性を明快に示しています。業務効率化とユーザー体験の両立を図るには、表面的なUIだけでなく、検索・予約・キャンセルといった一連の体験全体をどうデザインするかが鍵です。こうした細部まで踏み込んだ設計は、フルスクラッチ開発の柔軟性と親和性が高く、真の業務改善につながるといえます。
スマホ完結が「当たり前」になった背景
近年、多くの企業や自治体が、予約や申し込み、情報閲覧といった基本的な機能を「スマホで完結できるようにする」ことを重視するようになりました。背景には、スマートフォンの普及率の高さだけでなく、ユーザーが日常的に触れるプラットフォームにおいて、操作の手間を最小限に抑えることがサービス利用の前提条件になってきたという流れがあります。
一方で、スマホで完結するUIをただ用意するだけでは不十分です。重要なのは「誰がどのような状況で使うのか」を想定した体験設計です。
産後ケアDXに見る「使いやすさ」の実装事例
具体的な例として、産後ケアのネット予約サービス「あずかるこちゃん」の取り組みが挙げられます。これは、施設の検索・予約・キャンセルまでをすべてスマートフォンで完結できるシステムです。
このサービスが評価されたのは、単に予約がWeb上でできるという点ではありません。
・地域や対象月齢、空き状況など、条件で絞り込める検索機能
・予約時の入力項目を必要最小限に抑えたフォーム設計
・キャンセルや変更の操作が直感的に行える構造
といった、利用者が「すぐに理解して使える」設計の積み重ねにあります。
実際、新潟県糸魚川市ではこのシステム導入後、予約確定までにかかっていた市職員の作業時間が9割以上削減されたといいます。これは業務効率化の側面からも非常に高い効果を上げた事例といえるでしょう。
汎用ツールでは実現できない体験を形にするには?
このような使いやすさは、既製のクラウドサービスや汎用パッケージでは実現が難しいケースが多々あります。特に、
・業務の流れが特殊である
・利用者に特有のニーズや制約がある
・既存業務システムと連携したい
といったケースでは、既製品を無理にカスタマイズするよりも、はじめから「自社の業務に合った形」で設計するほうが、結果的に効率的です。
フルスクラッチ開発の強みとは
こうしたニーズに応えられるのが、フルスクラッチ開発です。仕様や画面設計、機能追加、外部連携など、あらゆる要素をゼロから組み立てることで、現場に最もフィットする設計を実現できます。
特に「導入してから実際の現場で改善を重ねていきたい」という場合、柔軟性に富んだスクラッチ開発は相性が良く、段階的な進化にも耐えられる構造を持てるのが特徴です。
また、ユーザーの行動データを分析し、UI改善やワークフローの見直しをスムーズに行うことも可能です。体験を“育てていく”設計思想と、フルスクラッチ開発は親和性が高いといえるでしょう。
まとめ
「スマホで完結する仕組み」は、もはや当たり前の時代です。しかし、真に使いやすいサービスを提供するには、目の前のユーザーの状況や行動を丁寧に想像し、それに寄り添った設計を行う必要があります。誰にとっても迷いなく使える仕組みを実現するには、柔軟な設計が可能なフルスクラッチ開発という選択肢が、今後ますます重要な位置づけになるでしょう。
こうした「使いやすさ」の実現において、システム開発会社に求められるのは、単なる技術力だけではありません。ユーザー視点を持ち、現場の業務や運用フローを丁寧に汲み取ったうえで、最適な設計に落とし込む力が不可欠です。フレシット株式会社では、要件の言語化が難しい段階から伴走し、利用者と事業者の双方にとって無理のないUXを設計することを重視しています。業務と密接に連動した、真に“使われる”システムの実現に向けて、フルスクラッチ開発での支援をご希望の際は、ぜひご相談ください。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。