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COLUMN コラム詳細

テストの誤解を解く──システムテストに“万能感”を持たないために

2025-05-23

テストの誤解を解く──システムテストに“万能感”を持たないために

「とにかくテストをやっておいてほしい」「テストで全部見つかると思ってたのに」――
こうした言葉を、品質管理やQAの現場で一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

システムテストは、開発工程の最終局面に位置するため、どうしても「最後の砦」「すべてを見つけてくれる万能の仕組み」として扱われがちです。しかし、現実には「テストをしたのに不具合が出る」「ユーザーからの問い合わせが絶えない」といった状況も後を絶ちません。

本コラムでは、システムテストに対する“万能感”を見直すことの重要性について、品質保証の視点から解説します。

システムテストの本来の目的と範囲

まずは、そもそも「システムテストとは何か?」という基本に立ち返ってみましょう。

システムテストは、要件定義・基本設計で定められた仕様を、実際のシステムが満たしているかを検証する工程です。ここで重要なのは、「決められた仕様に基づいてテストを実施する」という点です。

つまり、明文化されていない要求や想定外の使い方、運用上の制約などは、テストのスコープ外になる可能性が高いのです。

また、システムテストの多くはブラックボックステストとして内部構造には踏み込まず外部の振る舞いで合否を判断します。このため、内部で非効率な処理が走っていたり、設計思想と乖離した実装がされていても、それが表面化しない限り、問題なしと判断されることも珍しくありません。

なぜ万能ではないのか

では、なぜ「システムテストに任せれば安心」という誤解が生まれてしまうのでしょうか。

背景には、「見つける=解決している」という思い込みがあります。

しかし、システムテストはあくまで現時点で起きている問題を見つける作業であり、起きうるリスクそのものを予防する品質保証とは別の役割を担っています。

また、実際の業務においては、以下のような見落としがある場合も少なくありません。

  • 実運用のデータボリュームに起因するパフォーマンス問題
  • ユーザーによる予期しない操作
  • システム間のデータ連携

これらは、仕様に明記されていなかったり、テスト環境では発現しにくいため、システムテストでは検出されない、あるいは見落とされることが多いのです。

テストにできること、そしてできないこと

テストとは「不具合を検出する手段」であって、「品質を作り込む手段」ではありません。

品質とは、開発初期の要件定義・設計段階から積み重ねていくものであり、テストはあくまでその最終的な検証フェーズです。

例えば、そもそも不適切な要件が定義されていた場合、その通りに動いていても「テスト合格=高品質」とはなりません。逆に、設計ミスに起因する欠陥は、テストだけでは見抜けないこともあります。

つまり、「テストに何を求めるか」を誤ると、品質保証全体のバランスが崩れてしまいます。

システムテストには、限られた範囲での仕様通りに動作しているかを検証するという明確な価値がありますが、その役割を過大評価してしまうと他の工程での品質活動が軽視されるという副作用を生みかねません。

まとめ

システムテストは決して万能ではありません。

しかし、その役割を正しく理解すれば、品質保証活動の中で重要な一役を担う存在となります。

品質向上のためには、「何をテストで担保し」「何は他工程で仕組みとして支えるべきか」を明確に分け、要件定義から検証までの各フェーズが連携して品質を作り上げていく必要があります。

監修者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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