システム開発の期間の目安は? 作業工程から短縮方法までわかりやすく解説
2025-05-23

システム開発の期間の目安は、成果物の規模によって異なります。
結論としては、小規模なら「約1〜3か月」、中規模なら「約4〜8か月」、大規模なら「1年以上」が目安です。これは、最も一般的なウォーターフォール型を採用し、スムーズに進行した場合の期間の目安となります。
本コラムでは、システム開発の流れとフェーズ別の期間の目安や開発期間の短縮方法をはじめ、主な失敗例と成功のコツ、システム開発会社の見極め方なども紹介していきますので、システム開発の発注をお考えの方は、ぜひ参考になさってください。
目次
規模別のシステム開発期間の目安
システム開発期間の目安は、プロジェクトの規模や開発手法、進め方によって大きく異なります。
ここでは、一般的なウォーターフォール型の開発プロセスを前提に、「小規模・中規模・大規模」の3つに分けて、おおよその目安を紹介します。あくまで参考としてご覧ください。
小規模システムの開発期間の目安
小規模システムは、要件定義や設計がシンプルかつ、テスト工程も少ないため、おおむね「約1〜3か月」で完成します。主に単機能のツールやシステムなどが該当します。
小規模開発は計画が立てやすく、手戻りのリスクも低いため、円滑に進みやすいのが特徴ですが、初期工程である要件定義は、しっかりと詰めておく必要があります。
中規模システムの開発期間の目安
中規模システムは、要件定義や設計が複雑かつ、テスト工程も増えるため、おおむね「約4〜8か月」で完成します。主に多機能ツールやECサイト、WEBサービスなどが該当します。
中規模開発では、何よりも要件定義が重要となります。また、開発手法の選定や各工程の最適化もスムーズな進行に欠かせません。小規模システムに比べて、ある程度の計画性が問われます。
大規模システムの開発期間の目安
大規模システムは、要件定義や設計が煩雑かつ、テスト工程も膨大になるため、「1年以上」の期間を要することが一般的です。主に企業の基幹システムや大規模なECサイト、ポータルサイトなどが該当します。
なお、大規模開発を行うにあたっては、豊富な開発実績を持つシステム開発会社との連携が不可欠です。システム開発が頓挫すれば、膨大なコストと時間のロスに直結するため、事前の見積もりやシステム開発会社選びが特に重要となるのです。
システム開発の流れとフェーズ別の期間の目安
ここでは、中規模システム(目安:約4〜8か月 )を前提とした、ウォーターフォール型の開発工程と、それぞれの期間の目安を解説します。開発期間は、多くの要因によって変わるため、あくまでも参考としてご覧ください。
要件定義(期間目安:約2か月)
要件定義は、システム開発の始まりであり、最も重要かつ難しいとされるフェーズです。
ここでは、クライアントの要望を整理し、システム開発会社とすり合わせながら「機能要件」と「非機能要件」をリストアップしていきます。このフェーズが不十分だと、以降の工程で手戻りが起こり、納期やコストに大きな影響を及ぼすので注意が必要です。
設計(期間目安:約2か月)
要件定義に基づいて、システム全体や各機能の設計を行います。
こうした設計は主に、「外部設計(基本設計)」と「内部設計(詳細設計)」に分かれます。
前者は、ユーザーから見える部分の設計で画面UIや入出力項目などが該当します。一方で後者は、ユーザーから見えない部分の設計です。内部処理やデータベースなど、細かい仕様を設計します。
ここで定めた設計の質が、開発やテストの効率・品質に大きな影響を与えます。
開発 (期間目安:約2〜3か月)
設計書に基づき、実際にシステムを構築するフェーズです。
開発は、「フロントエンド(ユーザーが触れる部分)」と「バックエンド(ユーザーが触れない部分)」に分かれます。プログラマがコードを書き、システム全体を作り上げていきます。
テスト (期間目安:約1〜1.5か月)
開発が完了したら、各種テストを実施し、システムが要件通りに動作するか検証します。
テストは単体テストや結合テスト、システムテスト、運用テストなどを通して、不具合やバグがないかを確認する重要なフェーズです。
この工程でいかに不具合やバグを洗い出せるかが、品質を左右するカギとなります。
公開 (期間目安:約0.5か月)
テストに問題がなければ、いよいよ本番環境へと移行します。
移行方法には、一斉移行や段階移行などがあり、システムの規模や特徴に応じて、最適な移行方法が選ばれます。
システム開発の期間を短くする方法
システム開発において、クライアントからよく聞かれる要望のひとつが「早く作りたい」というものです。もちろん、システムの早期リリースにはメリットもありますが、やみくもな短縮は、かえって失敗を招くリスクもあります。
ここでは、システム開発の期間を無理なく短縮するポイントについて解説します。
システム開発会社の得意分野を見極める
「餅は餅屋」という言葉があるように、システム開発会社にも得意・不得意があります。
“どんなシステムも開発できる”と豪語する会社でも、実績を見れば必ず得意・不得意の傾向があるものです。そのため、開発期間を短縮したい場合は、特定のジャンルに強いシステム開発会社を選ぶことが重要です。得意分野のあるシステム開発会社であれば、ノウハウを活かした無駄のないスケジュールでシステムを開発してくれます。
コミュニケーションを最適化する
システム開発において、何よりも大切なのはシステム開発会社とのコミュニケーションです。
要件定義で「伝達のミス」や「認識のズレ」が起これば、後に手戻りが起こり、開発期間が長引く可能性が高まります。そのため、担当者との円滑なコミュニケーションは、システム開発において特に重要です。たとえ実績が豊富なシステム開発会社でも、コミュニケーションに違和感があれば、別のシステム開発会社への依頼を検討しましょう。
短さは目的ではないと意識する
開発期間を短縮したいという要望の背景には、「早く成果物を見たい」「競合よりも早くリリースしたい」といった気持ちがあるのかもしれません。しかし、開発期間の短縮自体が目的になってしまうと、完成後に問題が発生するリスクが高まります。
システム開発の本来の目的は、「高品質なシステムを無理のないスケジュールで開発すること」です。システム開発会社と連携しながら、必要な品質を担保したうえで、現実的なスケジュールを組みます。こうした意識を持つことで、結果的に「最短かつ最善のシステム開発」が実現します。
システム開発の主な失敗例と成功のコツ
システム開発において、失敗はつきものです。ここでは、システム開発の主な失敗例と成功のためのコツを解説します。
開発期間が長引く
システム開発は、要件定義に沿って進むことが理想です。しかし、度重なる要件追加や仕様変更によって、開発期間が長引くことがあります。こうした原因の多くは、「プロジェクト管理の甘さ」や「要件定義の不十分さ」にあります。
まずは、初期段階の要件定義を丁寧に進め、可能な限り仕様を固めましょう。また、各フェーズごとに明確なゴールと期限を設定し、管理を徹底することで長引くリスクを抑えられます。
開発期間を短縮しすぎる
反対に開発期間を短縮しすぎるのも大きなリスクです。特に、中規模以上のシステムを短期間で開発しようとすると、バグや不具合の多発に繋がり、最悪の場合、プロジェクト自体が頓挫する恐れもあるのです。
まずは、要件定義の際に、余裕のある開発期間を確保しましょう。また、スピード重視の場合は、アジャイル開発など、段階的にリリースできる手法を取り入れることをおすすめします。
開発が予定通りに進まない
システム開発の失敗要因で最も多いのが「予定通りに進まない」です。
こうした背景には、要件定義の曖昧さや頻繁な仕様変更、クライアントと開発側の認識のズレ、単純なコミュニケーション不足など、複数の要素が絡み合っているケースが多いです。ちょっとしたボタンの掛け違いが、後に大きな問題へと発展していきます。
まずは、初期段階の認識合わせを徹底しましょう。何かあればすぐに共有し、手戻りが発生しないように努めてください。常に、開かれたコミュニケーションを心がけ、問題の芽を早期に摘むことが大切です。
優れたシステム開発会社の見極め方
ここでは、優れたシステム開発会社の見極め方について解説します。
システム開発は、時間もコストもかかるため、パートナー選びは極めて重要です。複数のシステム開発会社に見積もりを依頼する際は、これから紹介する3つのポイントをチェックしてみてください。
得意分野をチェックする
まずは、各開発会社の公式サイトを確認し、得意分野をチェックしましょう。
多くの企業では、トップページや実績紹介で自社の強みをアピールしています。その際、「掲げている得意分野」と「過去の実績」が一致しているかを確認してください。アピール内容と実績が大きく食い違っている場合は、注意が必要です。
担当者のコミュニケーション能力を測る
プロジェクトを成功に導くには、担当者とのスムーズなコミュニケーションが欠かせません。初回の打ち合わせやメール、チャットでのやり取りで次の点を意識してみましょう。
- 話は噛み合うか?
- 質問の答えは明確か?
- テンプレ対応ばかりではないか?
コミュニケーションに少しでも違和感がある場合は、ほかのシステム開発会社への依頼をおすすめします。個人での判断が難しい場合は、同僚や上司の意見を聞くのもひとつの手です。
明確な見積もりを出してくれる
見積もり内容も、システム開発会社の信頼度を測る大きなポイントです。見積もりが極端に安かったり、内容が曖昧だったりする場合は注意が必要です。「明確な内訳」と「納得できる説明」があるかを確認しましょう。
また、見積もりの質を客観的に判断するためにも、最低でも3社以上に見積もりを依頼をすることをおすすめします。複数のシステム開発会社を比較することで、適正価格や提案力の違いが見えてきます。
システム開発のよくある質問まとめ
ここでは、システム開発に関するよくある質問に答えていきます。
「システム開発の手法」や「スケジュール管理で大切なこと」、「システム開発にかかる時間」について確認していきましょう。
Q:システム開発の手法にはどんな種類があるの?
手法 | 特徴 | メリット | デメリット | 向いているプロジェクト |
---|---|---|---|---|
ウォーターフォール型 | 各工程を順番に進める | ・管理しやすい ・スムーズに進む | ・変化に弱い ・手戻りが難しい | 要件が明確なシステム開発 |
アジャイル型 | 小さく作り、改善を繰り返す | ・変化に強い ・意見を反映しやすい | ・曖昧になりやすい ・管理が難しい | 小規模で変化の多いシステム開発 |
プロトタイプ型 | 試作品を作ってイメージを固める | ・イメージの違いを防げる ・要望を反映しやすい | ・時間やコストがかかる ・完成までが長い | 要件が曖昧なシステム開発 |
ハイブリット型 | 複数手法を組み合わせて進める | ・プロジェクトに最適な開発ができる | ・運用に経験と高度な判断力がいる | 中〜大規模で変化の多いシステム開発 |
上記に代表的なシステム開発の手法と特徴、メリット/デメリット、向いているプロジェクトをまとめました。
ご覧の通り、システム開発には、数多くの手法が存在します。各手法には特徴があるため、自社のシステム開発に最適な手法を選んでください。
Q:システム開発のスケジュール管理で大切なことは?
システム開発会社に依頼する際、プロジェクト成功のカギを握るのが「スケジュール管理」です。
特に重要なことは、余裕のあるスケジュールを確保することです。開発するシステムに対して、納期がギリギリの場合、トラブルや修正に対応できず、品質や完成に大きな影響を与えます。
システム開発には、想定外の事態はつきものです。だからこそ、スケジュールに余裕を持たせることで、開発会社側も無理のないシステム開発を実現できるのです。
Q:システム開発にはどれくらいの時間がかかるの?
- 小規模:約1〜3か月
- 中規模:約4〜8か月
- 大規模:1年以上
前述した通り、システム開発の期間は、システムの規模によって異なります。
見た目や機能がシンプルでも、内部仕様が複雑なシステムは、中規模以上の時間がかかるケースも珍しくありません。自己判断で開発期間を予想せず、必ずシステム開発会社に相談しながらスケジュールを固めていきましょう。
まとめ:システム開発期間の目安を理解して依頼しよう
本コラムでは、システム開発における開発期間の目安について解説してきました。
システム開発の期間は、プロジェクトの規模や開発手法、進め方によっても異なりますが、以下の期間を参考に考えておくと良いでしょう。
- 小規模:約1〜3か月
- 中規模:約4〜8か月
- 大規模:1年以上
なお、具体的な開発期間を知りたい場合は、システム開発会社に見積もりを依頼するのがおすすめです。この際、複数のシステム開発会社に見積もり依頼を出すことを忘れないようにしてください。
開発期間を現実的に見極めながらも、品質・柔軟性・対話重視の開発体制をお求めの方には、フルスクラッチ開発を専門とするフレシット株式会社がおすすめです。要件定義から公開後の運用まで、一貫した伴走体制で、貴社の業務に本当にフィットするオーダーメイドのシステムをご提案いたします。
著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。