【DX人材育成と風土改革】なぜ「データ連携」が組織風土を変えるのか?
見えない分断を可視化し、共創の文化を育むシステム設計とは
2025-06-15

三菱電機がDX人材の育成を通じて、縦割り組織の打破と風土改革を目指す取り組みを進めています。この動きの本質は、単なるデジタル技術の導入ではなく、組織の“分断”を可視化し、部門を超えた連携を可能にする「仕組みづくり」にあります。本コラムでは、データ連携の設計がどのようにして組織文化に影響を与えるのかを紐解きながら、全体最適を実現するシステムの在り方について考察します。
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目次
【記事要約】三菱電機、DX人材育成で縦割り組織を改革へ──「セレンディ」との連動で全社データ活用を加速
三菱電機は、DXを推進力として縦割り組織の打破と風土改革を進めるべく、社内講座「DXイノベーションアカデミー」を開講。2025年度は1,100人が受講し、2030年度までにDX人材を2万人へと育成する方針だ。全社横断のデータ基盤「セレンディ」と連携し、分断されていた事業データの統合と活用を進める。品質不正問題を機に、DXによる人材・組織改革を一体で進める姿勢が鮮明となった。
出典:日本経済新聞「三菱電機、DXで脱縦割り 社内講座始動、2万人目標 事業創出と風土改革狙う」2025年5月20日付朝刊
ポイントをひとことで
データ連携は単なる情報共有の仕組みではなく、組織構造や行動様式に変化をもたらす強力なトリガーです。部門間の壁を越えた情報の流れが生まれると、業務はもちろん意思決定や責任の所在まで見直され、結果として“風通しの良い組織”が形成されていきます。フルスクラッチ開発は、このような変革を前提とした設計を柔軟に実現できる手段です。システムが業務を支えるだけでなく、組織文化を再定義する力を持つことを、改めて意識すべきでしょう。
縦割り構造の限界と「見えない分断」
多くの企業で根強く残る縦割り構造は、部門ごとの業務効率を高める一方で、部門間の連携を阻む要因ともなっています。特に情報共有の断絶は、顧客対応の遅延や意思決定の非効率を招き、企業全体の価値提供にブレーキをかけます。この「見えない分断」は、表面化しにくいため、気づかぬうちに組織風土に悪影響を及ぼしているのが実情です。
データ連携がもたらす“共通言語”
データ基盤を共通化することで、異なる部門が同じ情報をリアルタイムで共有できるようになります。これにより、意思決定の前提が揃い、部門間の“見解の相違”が減少します。データという共通言語を持つことは、単に作業効率を高めるだけでなく、相互理解と信頼の土壌を育むのです。共通の事実にもとづいた対話は、組織の協働文化の礎になります。
部門最適から全体最適へ──設計思想の転換
データ連携の効果は、技術的な統合にとどまりません。むしろ重要なのは、設計段階から「全体最適」を見据えて構築するという思想の転換です。特定の部門にとって便利な仕組みではなく、企業全体の戦略に貢献する情報構造を設計することが、持続的なDXの実現には不可欠です。フルスクラッチでのシステム開発は、この全体視点での最適化を可能にします。
システムが文化を変える
業務システムは、単に業務を処理するための道具ではありません。情報の流れや権限、行動のトリガーを設計する以上、それは組織のふるまいに直接的な影響を及ぼします。部門をまたぐデータ連携を自然な行動に変える設計は、やがて組織の風通しを良くし、“助け合う文化”を生み出します。システム開発とは、すなわち企業文化の土台をつくる営みでもあるのです。
まとめ
三菱電機の取り組みに見られるように、DXの真価はツール導入にとどまらず、組織の構造と文化を変える力にあります。データを共有し、連携できる仕組みは、部門の壁を越えた協働を促進し、企業全体の競争力を高める原動力となります。
こうした全体最適の発想にもとづいたシステム設計こそ、これからのDXに求められる視点と言えるでしょう。
なお、全体最適の視点から業務システムを設計するには、事業ごとの複雑な要件を丁寧にすくい上げ、組織構造や文化にまで踏み込んだシステム設計力が求められます。
フレシット株式会社では、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発を通じて、単なる機能実装にとどまらない「組織に根づく仕組み」をゼロから共に設計し、部門連携や企業風土の変革を支えるシステムをご提案しています。貴社ならではの課題に合わせた設計思想で、真に意味のあるDXをご支援いたします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。