業務システムに必要なのは、昨日ではなく明日への最適化
過去の資産に縛られず、未来に適応する選択を
2025-06-17

パナソニックがノートパソコンの新モデルでVGA端子の廃止に踏み切りました。かつて主流だったこの端子を残す判断は、「一部環境ではまだ必要だから」という理由に基づくものでしたが、時代の変化にあわせて思い切った決断を下した形です。この動きは、業務システムを構築・運用する企業にとっても大きな示唆を与えます。
本コラムでは、古い仕様にとらわれたままの設計がもたらす課題と、変化に柔軟に対応するためのIT戦略のあり方について考察します。
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目次
【記事要約】VGA端子廃止の遅れに見る日本メーカーの変化対応力
パナソニックがノートPCからVGA端子を廃止した背景には、世界的なHDMIへの移行と、薄型化や音声出力対応といった設計上の要請がある。アップルが早期に対応した中で、日本勢の出遅れは「備えておくべき」とする発想に起因すると指摘される。これは、変化に即応できない日本メーカーの体質を象徴する出来事といえる。
出典:日本経済新聞「パナソニック、ノートパソコンのVGA端子廃止」2025年5月28日付朝刊
【VGA端子とは】
VGA端子は、パソコンと外部モニターやプロジェクターを接続し、映像を出力するためのインターフェースです。正式には「Video Graphics Array」と呼ばれ、1980年代にIBMが採用したことで広く普及しました。長らく映像出力の標準規格として使われてきましたが、近年はHDMIなど、音声も一緒に転送できるより高性能な規格に置き換えられ、徐々に姿を消しつつあります。
ポイントをひとことで
業務システムにおける“古い仕様”の温存は、短期的な安定のための選択である一方、中長期的には変化への対応力を著しく損なう要因となります。このコラムは、パナソニックのVGA端子廃止という事例を通じて、設計思想を「現状維持」から「未来適応」へ転換する重要性を示しています。今あるシステムが本当に現場にフィットしているかを問い直し、将来の業務変化にも耐えうる構造を設計する姿勢が、これからのIT戦略の軸になるべきです。
過去の資産が足かせになる構造
業務システムの運用現場では、「今でも一部で使っている」「念のため残している」といった理由で古い仕様や設計が維持され続けるケースが多く見られます。確かに、既存の業務フローや外部システムとの連携など、さまざまな制約があることは事実です。しかし、こうした“レガシー”の温存が、新しい業務プロセスや技術導入の障壁になってしまうことも少なくありません。
技術の進化やユーザーの期待が変わる中で、「古いままでいい」という選択は、結果的に競争力の低下を招きます。新しい仕組みを導入しようとした際に、既存システムとの整合性ばかりが優先されてしまい、業務がいつまで経っても最適化されない――そうした事態を引き起こすのです。
設計思想を切り替えるという意思決定
今回のVGA端子の廃止は、パナソニックが“過去の資産に合わせ続ける設計”から、“これからのニーズに合わせる設計”へと方針を切り替えた象徴的な出来事です。
業務システムにおいても、同様の判断が求められる局面が増えています。今後の変化や拡張を見越して、新たな業務プロセスやIT基盤を構築する際には、「現状を引きずる」のではなく、「将来に適応できる」柔軟な構造を目指すべきです。
この“設計思想の転換”こそが、変化の激しい時代においては最大の経営資源となります。
フルスクラッチ開発が提供する柔軟性
そのための手段の一つが、フルスクラッチ(オーダーメイド)によるシステム開発です。既存のパッケージソフトやテンプレートでは対応しきれない、個別の業務要件や将来の拡張性を加味しながら、ゼロから設計できるのが最大の特徴です。
古い仕様を前提とした設計ではなく、現在の実業務とこれからのビジネス展開に即した仕様を自由に構築できるため、「変化に強いシステム」をつくるうえで非常に有効です。
さらに、フルスクラッチ開発では、開発プロセスそのものが「現状の棚卸し」と「将来像の可視化」を促します。単なる機能開発にとどまらず、業務そのものを再定義する機会にもなり得るのです。
まとめ
古い仕様にとらわれ続けることは、短期的には安心かもしれませんが、長期的には変化への対応力を著しく損なうリスクを孕んでいます。ハードウェアにおけるVGA端子の廃止は、ソフトウェアや業務システムの世界でも同様の決断が求められていることを示唆しています。
過去の資産に縛られるのではなく、将来の柔軟性を担保する構造へ。いま求められているのは、“仕様”ではなく“思想”をアップデートすることです。
変化に即応できるIT基盤を築くには、現状に最適化するだけでなく、将来の拡張や柔軟な対応を前提とした設計が欠かせません。フレシット株式会社では、業務の本質を見極めながら、将来の変化にもしなやかに対応できるフルスクラッチ開発を得意としています。既存の枠にとらわれないシステムを一から構築したいとお考えの際は、ぜひご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。