【都営住宅の応募数が3倍に】オンライン化がもたらす“入り口設計”の重要性とは
その申請フロー、“もったいないUX”になっていませんか?
2025-06-24

申込数が思うように集まらない──それは提供するサービスの魅力や訴求力の問題ではなく、「申込のしやすさ」に原因があるかもしれません。東京都が都営住宅の入居者募集をオンライン化したところ、わずか1年で応募件数が3倍に増加しました。
本コラムでは、この行政DXの事例をもとに、申込やエントリーの“入口設計”がどれほど重要かを解説します。
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目次
【記事要約】東京都、DXとGXの両立に挑む──行政改革と環境対策を同時に推進
東京都は、行政手続きのオンライン化や生成AI活用などDXを加速する一方、脱炭素社会の実現に向けたGXにも取り組む。水冷式データセンターの開発支援や太陽光パネル設置義務化など、環境配慮の姿勢を強めている。DXがもたらすエネルギー負荷への対応を模索し、行政改革と環境施策の両立を通じ、国際都市としての競争力向上を狙う。
出典:日本経済新聞「(都議選2025)都政の課題点検(中)DXとGX、両立なるか」2025年6月18日付朝刊
ポイントをひとことで
申込導線の最適化は、DXの効果を最も実感しやすい領域の一つです。都営住宅のオンライン化で応募が3倍に増えた事例は、手続きのしやすさがユーザー行動を左右することを如実に示しています。単にデジタル化するだけでなく、ユーザーの「使いたい」「申し込みたい」という気持ちを引き出す設計が重要です。既存業務に縛られず、ゼロベースで導線を再構築するフルスクラッチ開発こそ、こうした成果につながる鍵となります。
申請数3倍の背景にある“体験の変化”
東京都は従来、都営住宅の入居申請を郵送で受け付けていました。しかし、オンライン申請に切り替えたことで、申込手続きが「手軽に」「自分のタイミングで」「どこからでも」できるようになりました。その結果、応募件数は1年間で3倍に。これは、単にチャネルを増やしたのではなく、申込までの体験全体を見直したことによる成果といえます。
オンライン化によって、紙の用意・記入・郵送というプロセスがなくなり、スマートフォンから短時間で完了する導線に変わったのです。ユーザーにとって“申込のハードル”が下がれば、行動が促される。これが、応募数増加の最大の要因です。
UX設計が“申込率”を左右する
民間企業においても、「申込フォームが長すぎる」「資料請求まで何画面もある」「PDFを印刷して郵送」など、申込導線に無意識のハードルが存在するケースは少なくありません。ユーザーが途中で離脱する原因は、必ずしもコンテンツやオファーの魅力不足だけではなく、導線の不便さにもあるのです。
都の事例は、UX(ユーザー体験)に配慮した設計によって、利用者の行動を変えた成功例といえます。申し込みフォームの設計やステップの簡略化、レスポンシブ対応など、入り口の構造を丁寧に見直すことが、応募数・成約数の向上につながります。
フルスクラッチで“自社に最適な導線”を
こうした“最適な申込導線”は、汎用のシステムでは柔軟に設計できないこともあります。業務の特性やユーザー属性に応じて、入力項目を最適化し、導線全体をシームレスに設計するためには、フルスクラッチでの開発が有効です。
東京都のように行政機関でさえ、DXによって大きな成果をあげている今、自社のサービス提供においても「申込の入口」を再設計する意義は大きいでしょう。利用者の視点から見た「申込やすさ」に本気で向き合うことが、ビジネスの成果に直結します。
まとめ
申込数が増えない理由は、提供内容ではなく「入口」にあるかもしれません。東京都の事例に学べば、オンライン化による“申込体験の改善”が、行動喚起に大きく寄与することがわかります。申込導線は、最初に見直すべき「顧客との接点」です。最適な仕組みを設計することで、サービスの価値を最大限に届けることが可能になります。
申込導線の設計を一から見直したいとお考えでしたら、業務やユーザー特性に応じた柔軟な設計が求められます。フレシット株式会社では、汎用パッケージに頼らず、貴社固有の業務プロセスや目的に最適化されたフルスクラッチ開発を通じて、申込率の向上や業務効率化を実現します。形式ではなく、本質的な使いやすさにこだわったシステムをご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。