パナソニックHDの「在庫管理もまだエクセル」発言に学ぶ──エクセル管理からの脱却が第一歩、“属人化しない”業務設計とは
属人化の解消と再現性のある業務構築に必要な視点とは
2025-07-01

パナソニックホールディングスの楠見CEOが「在庫管理でもまだエクセルを使っている」と発言し、旧来の業務プロセスから抜け出せていない現状が明るみに出ました。業務の属人化や非効率化を解消するには、現場に合わせた業務システムの構築が鍵となります。
このコラムでは、エクセル依存から脱却し、“誰がやっても同じ成果が出る”業務体制を実現するための業務設計の考え方と、そのためのシステム化について解説します。
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目次
【記事要約】パナソニックHD楠見氏、労働生産性の低さに「20年前の作業プロセス」を指摘
パナソニックHDの楠見CEOは、低い労働生産性の要因として「作業プロセスが20年前から変わっていない」と述べ、在庫管理にも未だエクセルを用いている現状を明かした。デジタル化の遅れが構造改革の遅延につながり、企業競争力の低下を招いたと自省。「改革への着手が遅れたことは認めざるを得ない」とし、DXの必要性を強く示唆した。
出典:日本経済新聞「楠見CEO『退任も考えた』 パナHD、1万人削減・事業整理」2025年5月18日付朝刊
ポイントをひとことで
業務の属人化は、担当者の経験やスキルに依存することで業務品質が安定せず、組織全体の生産性低下を招く大きな要因です。エクセルによる運用は柔軟性がある一方で、業務ルールの曖昧化や情報の分断を助長しやすく、特に拠点や部門が増えるほど管理が困難になります。属人化を解消し、再現性のある業務を実現するには、業務設計とシステムが一体となった取り組みが不可欠です。本コラムは、その第一歩としてエクセル依存のリスクと向き合う重要性を示しています。
エクセル管理が抱える根本的な問題
エクセルは柔軟で手軽なツールであり、多くの現場で使われています。しかし、在庫管理や受発注業務、生産計画など、業務の中核を担う領域で使い続けるには限界があります。最大の問題は、「人に依存した運用」になりやすい点です。
ファイルの構造や関数が担当者の頭の中にしかない、更新タイミングがばらばら、情報共有が属人的──こうした状態では業務の標準化が進まず、異動や退職が業務断絶のリスクを生む原因となります。
さらに、複数人による同時編集やバージョン管理も難しく、正確な情報の一元管理が困難になります。日々の業務が「なんとなく回っている」状態でも、経営判断に必要なデータの整合性や再現性には大きな問題が生じかねません。
属人化を防ぐための“業務設計”の考え方
属人化の解消には、単にツールを変えるのではなく、業務自体の「設計」を見直すことが求められます。誰が業務を担当しても同じ成果が得られる状態を目指すためには、以下の要素が不可欠です。
- 業務フローの可視化と標準化
- データ入力・出力のルール統一
- 業務間の連携とトリガーの明確化
- ロール(役割)に応じた画面設計・操作権限の明確化
こうした設計思想をもとに業務システムを構築することで、業務品質を安定させ、人に依存しない体制をつくることができます。
フルスクラッチ開発が最適な理由
パッケージソフトは短期間で導入しやすい一方で、自社固有の業務にフィットしないことが多く、無理に業務をツールに合わせることでかえって非効率になるケースも少なくありません。属人化を解消し、業務全体の標準化と最適化を図るには、業務の流れそのものを反映したシステムが必要です。
フルスクラッチ開発であれば、現場の業務を丁寧にヒアリングしながらゼロベースで設計できます。結果として、「システムに業務を合わせる」のではなく、「業務にシステムを合わせる」柔軟な構築が可能になり、変化への対応力も高まります。
まとめ
エクセルを活用すること自体は問題ではありませんが、それに業務全体が依存している状態は、企業にとって大きなリスクとなります。属人化を防ぎ、誰が担当しても同じ結果が出る業務体制を目指すならば、業務フローそのものを再設計し、それを支える柔軟な業務システムを構築することが重要です。業務に最適化された仕組みは、業務効率を高めるだけでなく、変化の時代において企業の持続的な成長を支える基盤にもなり得ます。
こうした属人化を防ぐ業務設計と、それを支える柔軟なシステム構築には、業務理解と技術の両面から伴走できるパートナーが欠かせません。フレシット株式会社は、業務フローの本質を丁寧に捉えた上で、現場に最適な仕組みを一から設計するフルスクラッチ開発を強みとしています。エクセルでは限界を感じている、けれど既製品ではフィットしない——そんな課題を抱えるご担当者さまにこそ、私たちのアプローチがお応えできると考えています。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。