予約業務のスマホ対応が施設運営にもたらす変化
施設運営のDX、まずは“予約まわり”から
2025-06-26

施設運営における予約業務は、来訪者対応、人員配置、サービス提供品質のすべてに関わる重要な業務領域です。産後ケア事業で導入が進むスマホ完結型のネット予約サービスは、業務効率の大幅な改善と、利用者の利便性向上を同時に実現しています。
本コラムでは、施設運営のDXにおいて“予約まわり”から着手すべき理由と、業務フローを柔軟に設計できるシステム開発の考え方について解説します。
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目次
【記事要約】DXで産後ケアをもっと身近に──予約簡略化で利用促進へ
産後ケアの利用促進に向け、官民がDXを活用した取り組みを加速している。グッドバトンが提供するネット予約サービス「あずかるこちゃん」では、スマホから施設検索・予約が可能となり、従来の煩雑な手続きを簡略化。これにより自治体職員の業務負担も大幅に削減された。利便性向上を通じ、誰もが平等に受けられる“ユニバーサルサービス”としての定着が期待されている。
出典:日本経済新聞「『産後ケア』便利に、お気軽に 利用1割どまり、官民で活用後押し」2025年4月30日付朝刊
ポイントをひとことで
予約業務は施設運営の中でも最も多くの情報が行き交い、現場の混乱やサービス品質に直結する領域です。本コラムは、産後ケアDXの事例を通じて、スマホ対応による利便性向上だけでなく、管理業務の効率化やエラー削減といった多面的な効果を示しています。特に注目すべきは、予約という“入口”を見直すことが、結果として施設全体の業務品質を底上げするという視点です。DXの第一歩として取り組む価値の高い領域であるといえるでしょう。
施設運営の根幹、「予約業務」の見落とされがちな重要性
多くの施設運営者にとって、予約業務は単なるスケジュール管理の一環と見なされがちです。しかし実際には、来訪者の体験やスタッフの稼働効率、当日の業務の円滑さに大きな影響を与える、極めて重要な業務です。
予約の取りこぼしや二重予約、情報の伝達ミスは、サービス品質を低下させるだけでなく、現場スタッフの負担増や顧客離れを引き起こす要因にもなります。
産後ケアDXに見る「スマホ完結型予約」の効果
産後ケア支援の現場では、スマートフォンから施設検索・情報登録・予約・キャンセルまでを一貫して行えるネット予約システムの導入が進んでいます。
たとえば、新潟県糸魚川市で導入されたネット予約サービス「あずかるこちゃん」では、従来、電話・紙で対応していた予約受付業務をスマホ対応に切り替えたことで、市職員の予約処理業務が9割以上削減されました。これは、業務負荷の軽減だけでなく、予約ミスや登録漏れといったヒューマンエラーの防止にも寄与しています。
さらに、利用者が自分の都合に合わせて24時間予約操作できる仕組みは、顧客満足度の向上にも直結します。
業務の実情に即した「予約フロー」の再設計
とはいえ、単純に既製の予約ツールを導入するだけでは、施設ごとの業務フローや顧客層に適合しないケースもあります。
たとえば、
- 予約枠の管理が複雑(スタッフや設備の状況と連動している)
- 顧客属性や利用目的によって必要な情報入力項目が異なる
- 現場側で独自の確認手順やキャンセルルールがある
といった状況では、画一的な予約システムでは運用に支障をきたすことも少なくありません。
このようなケースでは、業務フローの再設計から始め、予約受付から当日対応までを一貫して最適化できる仕組みを構築する必要があります。
スマホ対応+柔軟設計=“実用性の高いDX”
予約業務のスマホ対応において重要なのは、「どのような操作が、どのタイミングで、どのユーザーに求められるか」を緻密に設計することです。
この設計力を支えるのが、フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発です。
フルスクラッチ開発では、既存の業務やルールを無理に合わせる必要はなく、
- 管理者と利用者で異なるUI設計
- 施設ごとの条件に応じたロジック構築
- 将来的な機能追加を見据えた設計構造
など、細部にわたる柔軟な対応が可能になります。導入後の改善やアップデートもしやすく、業務とともに成長するシステム運用が実現できます。
まとめ
施設運営におけるDXは、まず「予約まわり」の業務から見直すことが効果的です。業務の混乱を減らし、スタッフと利用者の双方にとってスムーズな体験を提供するには、スマホ対応はもはや前提条件とも言えるでしょう。そのうえで、自社の運用に即した柔軟な予約設計を行うことが、業務効率とサービス品質の両立に繋がります。予約は単なる入口ではなく、施設全体の運営品質を左右する“接点”であることを、今こそ見直すべき時期かもしれません。
こうした予約業務の再設計に取り組む際、重要になるのが「業務の実情に即した柔軟な構築力」と「ユーザー視点を踏まえた体験設計」です。フレシット株式会社では、業務の現場で実際に使われることを前提とし、要件定義の初期段階から深く入り込むことで、汎用ツールでは対応しきれない複雑な運用にも対応したシステム設計を行っています。無理なく使い続けられる仕組みを構築したいとお考えの際は、オーダーメイド開発の選択肢をぜひご検討ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。