労働生産性を高める“見える化”とは?数値で語れる現場をつくるためのシステム設計論
組織の改善力を高める“見える化”のシステム戦略
2025-07-09

2025年、パナソニックホールディングスの楠見CEOが「作業プロセスが20年前から変わっていない」「在庫管理でもまだエクセルを使っている」と語った発言は、企業における業務改善の停滞と、DXの本質的な遅れを浮き彫りにしました。業務効率や生産性を改善するうえで、第一歩となるのは「現場の見える化」です。
本コラムでは、見える化がなぜ生産性向上につながるのか、そしてそのためのシステム設計をどのように実現していくのかを、フルスクラッチ開発の視点から解説します。
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目次
【記事要約】パナソニックHD楠見氏、労働生産性の低さに「20年前の作業プロセス」を指摘
パナソニックHDの楠見CEOは、低い労働生産性の要因として「作業プロセスが20年前から変わっていない」と述べ、在庫管理にも未だエクセルを用いている現状を明かした。デジタル化の遅れが構造改革の遅延につながり、企業競争力の低下を招いたと自省。「改革への着手が遅れたことは認めざるを得ない」とし、DXの必要性を強く示唆した。
出典:日本経済新聞「楠見CEO『退任も考えた』 パナHD、1万人削減・事業整理」2025年5月18日付朝刊
ポイントをひとことで
業務改善や生産性向上を語るうえで、「見える化」は極めて重要な出発点です。属人化した業務や感覚に頼った判断から脱却し、数値で業務を捉えることにより、組織は初めて改善の軸を持つことができます。特に現場では、忙しさの正体が見えず手が打てない状況が続きやすいため、日々の業務をデータとして捉える仕組みが必要です。本コラムは、フルスクラッチ開発による柔軟な見える化設計の有効性を示しつつ、経営と現場をデータでつなぐ意義を的確に示しています。
見える化は“指導”ではなく“仕組み”の問題
「現場の生産性が低い」「もっとスピード感をもって仕事をしてほしい」といった声は、多くのマネジメント層から聞かれます。しかし、こうした課題の多くは、個々の努力や指導では解決できません。なぜなら、生産性の差は業務プロセスや情報の流れが不透明なことに起因しているからです。
業務の実態が見えない状態では、ボトルネックも改善点も把握できず、結果として感覚や勘に頼ったマネジメントになりがちです。まず必要なのは、「誰が」「いつ」「どの業務を」「どれだけの時間をかけて行っているか」を正確に把握する仕組み=見える化です。
見える化が生産性向上につながる理由
見える化とは、業務の状態をデータとして取得し、誰もが理解できる形で可視化することを意味します。これにより、以下のような効果が期待できます。
- ボトルネックの特定:どの工程で時間がかかっているかを把握できる
- 業務負荷の偏りの是正:特定の人に業務が集中していないかがわかる
- 定量評価の導入:感覚ではなく数値に基づいた業務評価が可能になる
- 改善活動の成果を測定:改善策が実際に効果を上げているかを検証できる
見える化は単なる“監視”ではなく、“対話と改善の出発点”となる仕組みです。
フルスクラッチ開発で見える化を実現するメリット
既製のツールでは、業務ごとの細かな要件や独自のプロセスを反映するのが難しく、かえって現場とのギャップが生まれやすくなります。フルスクラッチ開発であれば、以下のような柔軟な対応が可能です。
- 自社の業務フローに沿ったデータ取得項目を設計できる
- 現場スタッフの使いやすさに配慮したUI設計ができる
- 集計・分析の観点に応じたダッシュボードを構築できる
- 将来的な業務変化にも柔軟に対応できる構造をもたせられる
たとえば、ある製造業の事例では、作業指示・開始・完了をタブレットで記録し、部署単位の処理時間を自動集計。見える化により処理遅延の傾向が明らかになり、工程の並列化と人員再配置で大幅な効率改善を実現しました。
まとめ
「見える化」は、業務の属人化を防ぎ、数値で語れる組織をつくるための最初の一歩です。指示や改善が「なんとなく」ではなく、データに基づいて行われるようになることで、現場の納得感や改善意識も高まります。自社にとって本当に使いやすく、実態に即した仕組みを構築するためには、業務の構造に合わせたシステム設計が不可欠です。フルスクラッチ開発は、そのための有効な手段となり得ます。見える化を通じて、持続的な業務改善と生産性向上への道を描いてみてはいかがでしょうか。
こうした“見える化”を現場に根付かせるには、単なるツール導入ではなく、業務フローや組織の実情に即した設計が求められます。フレシット株式会社は、業務の本質を丁寧にひも解き、必要なデータの流れや可視化の仕組みをゼロから設計できるフルスクラッチ開発を強みとしています。業務改善の実効性を高める「数値で語れる現場」を目指すご担当者さまに、最適なパートナーとしてお応えします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。