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COLUMN コラム詳細

システム開発はなぜ失敗する?失敗事例とその原因について解説します

2025-06-30

システム開発は、企業の業務効率化やサービスの高度化を実現するうえで欠かせない取り組みです。

しかし、すべてのシステム開発が成功するわけではありません。スケジュールや予算の遅延、業務に適さない仕様、導入後のトラブルなどで、システム開発が「失敗」に終わってしまうケースも少なくないのが現実です。

そこで本コラムでは、なぜシステム開発が失敗してしまうのか、典型的な失敗事例とその原因を整理したうえで、成功のためのポイントを詳しく解説します。

これからシステム開発を検討している方は、失敗リスクを避けるためにぜひ参考になさってください。

システム開発における「失敗」とは?

システム開発における「失敗」とは?

まず前提として、システム開発における「失敗」とは、一般的に以下3つの観点に該当するケースを指すことが多いです。

  • スケジュールやコストが大幅に超過する
  • 完成しても業務に合わない、使えない
  • 運用保守が想定通りにいかない

それぞれの詳細について、順に確認していきましょう。

スケジュールやコストが大幅に超過する

システム開発における最も分かりやすい失敗のひとつが、プロジェクトの納期や予算が当初計画から大きく外れてしまうパターンです。

例えば、リリース予定の時期を過ぎても開発が終わらなかったり、追加の仕様変更や手戻りによって予算が膨らんだりすると、業務全体の計画に支障をきたします。

このようなトラブルは、システム開発の目的が明確でないなど、初期段階の不備が原因となることが多く、プロジェクト全体の信頼性にも大きく影響します。

完成しても業務に合わない、使えない

納期通りにシステムが完成しても、現場で「使えない」と判断されるケースも少なくありません。「形としては完成したが、目的を果たせない」システム開発は、失敗と判断される典型です。

例として、業務フローとシステムの画面設計が合っていない、操作が複雑、必要な機能が未搭載など、現場の実態と乖離した仕様などが挙げられます。このようなシステムだと、せっかくコストをかけて開発しても、活用されないまま終わってしまう可能性があります。

運用保守が想定通りにいかない

システム開発のゴールは「納品」ではなく、継続的に安定して稼働し、業務に貢献し続けることです。しかし、運用保守の体制が不十分だと、トラブル時に対応できなかったり、担当者の異動・退職で滞ったりすることがあり、これも失敗として捉えられます。

例えば、特定のエンジニアしか操作や修正ができないブラックボックス化されたシステムでは、属人化リスクが高まります。

また、マニュアルが整備されていなかったり、運用を想定したトレーニングがおこなわれていなかったりすることで、現場の混乱や業務停止に直結する恐れもあります。

システム開発が失敗する確率は?

システム開発が失敗する確率は?

「うちのシステムは大丈夫だろう」と思っていても、システム開発の失敗は決して他人事ではありません。実際、世界的に多くのシステム開発が予定通りに完了していないというデータがあります。

Standish Groupが発表したCHAOS 2020レポートによると、世界中の5万件の技術プロジェクトを分析した結果、66%が部分的もしくは完全な失敗に終わっていると報告されています。

“According to the Standish Group’s Annual CHAOS 2020 report, 66% of technology projects (based on the analysis of 50,000 projects globally) end in partial or total failure.”

この「失敗」には、納期や予算の超過、業務への適合性不足、導入後の運用不全などが含まれており、決して特殊な事例ではないことが分かります。つまり、システム開発に取り組むすべての企業において、「失敗する可能性が高い」という現実を直視し、リスク管理を徹底する姿勢が重要だといえます。

出典:IT Project Failure Rates: Facts and Reasons|FAETH COACHING

システム開発の失敗事例

システム開発の失敗事例

システム開発では、些細な見落としや意思疎通の不足が致命的な失敗につながることがあります。

ここでは、現場で起こりうる代表的なシステム開発の失敗事例を5つご紹介します。

要件が曖昧なまま進めてしまった

システム開発の失敗でよく見られるのが、要件が不明確なままプロジェクトが進んでしまうケースです。

ある企業では、業務効率化を目的に新たな社内システムの導入を検討していましたが、開発初期に業務フローや理想とする操作イメージを十分に整理できていませんでした。

その結果、完成したシステムは操作性が悪く、現場からは「思っていた使い方ができない」と不満が噴出。修正要望が相次ぎ、開発チームは仕様の再確認やUIの全面的な改修を迫られる事態となり、追加の費用と納期の延長を余儀なくされました。

システム開発会社にすべてを任せてしまった

システム開発の失敗には、「丸投げ」が原因となることもあります。

ある中堅企業では、ITに詳しい人材が社内におらず、「プロに任せれば安心だろう」とシステム開発会社に全面的に委託してしまいました。

しかし、ヒアリングも不十分で進捗報告も少ないまま完成したシステムは、現場の業務とはかけ離れた内容となり、再開発を検討せざるを得ない状況になりました。

発注側の主体性の欠如が、プロジェクト全体の失敗を招いた典型例だといえるでしょう。

途中で方針が二転三転した

システム開発でよくある失敗のひとつに、プロジェクトの方針が途中で何度も変更されるというものがあります。

ある新規事業の立ち上げ現場では、経営層と現場チームでビジョンが食い違い、進行中の開発にたびたび修正依頼が入る事態に陥りました。

要件の再定義や設計の見直しが何度も発生したことで、スケジュールは大幅に遅延。システム開発を担当するチームのモチベーションも低下し、最終的には当初予定していた機能の半分しか実装できませんでした。

一貫した方針がないままシステム開発を進めることによる失敗リスクが、明確に表れたケースだといえるでしょう。

ユーザー検証をせずリリースしてしまった

システム開発における失敗は、リリース後に発覚することもあります。

とある企業では、新サービスを短期間でローンチすることを優先し、ユーザーテストやフィードバックの取得を省略してしまいました。

サービスは予定通りに公開されたものの、実際のユーザーからは「操作がわかりにくい」「直感的に使えない」との声が続出しました。その結果、利用率は伸び悩み、早期にアップデートを迫られる状況となりました。

システム開発初期に少し時間を割いて、ユーザー視点での検証をしていれば防げた失敗ですが、スピード重視の判断が、このように裏目に出ることも多々あります。

テスト工程を軽視して重大なバグが残った

システム開発の最終工程での失敗も、非常に多くの影響を及ぼします。

ある会社では、納期が迫っていたことから最終テストの一部工程を省略し、開発スケジュールを優先してリリースを強行しました。

その結果、運用開始直後に基幹業務に関わるバグが発生し、注文処理や請求機能が正常に動作しないトラブルが発生。一時的に業務が停止し、クレームや再発防止対応に追われ、バグ修正のためのコストで大幅な予算オーバーになりました。

このように、システム開発のテスト工程を軽視すると、信頼とコストの両面で深刻な損失をもたらしかねないことは、念頭に置いておかなければなりません。

システム開発が失敗してしまう原因

システム開発が失敗してしまう原因

前述のようにシステム開発が失敗してしまう背景には、いくつかの共通する原因が存在します。

ここでは、それぞれの失敗につながる主な原因を整理し、再発を防ぐために企業が意識すべきポイントを解説します。

要件整理の不足

システム開発における失敗の多くは、要件の不備に起因します。

業務課題やユーザーのニーズが明確でない状態でシステム開発を開始すると、完成後に「想定と違う」「使いにくい」といった声が現場から上がることになります。特に業務フローや操作のイメージが開発チームに共有されていない場合、誤解に基づいた設計が進み、手戻りや仕様変更を繰り返すことになります。

このような事態を防ぐには、開発前の段階で課題を正確に言語化し、関係者全員が同じ認識を持ってスタートすることが不可欠です。

開発の丸投げ

「詳しいことはわからないからプロに任せたい」という理由で、システム開発会社にすべてを一任してしまうのは、失敗につながりやすく非常に危険です。

システムは企業の業務を支える重要な基盤であり、その設計・実装は本来、発注側と開発側が協働して進めるべきプロセスだといえます。

そのため、情報共有や意思決定を怠ると、「何を実現したいのか」という目的が伝わらず、期待した成果が得られません。発注側も一定のITリテラシーを持ち、主体的に関与することが、システム開発の失敗を防ぐうえで極めて重要です。

仕様変更の多発

関係者間での意見のズレや、経営層と現場の方針の不一致などにより、開発途中に何度も仕様変更が発生すると、スケジュールやコストに深刻な影響を及ぼします。当然、変更が重なるほど、品質低下や納期遅延のリスクが高まります。

このような混乱を防ぐためには、開発開始前に関係者間でしっかりと合意形成をおこない、要件定義の段階で方向性を明確にしておくことが不可欠です。

ユーザー視点の欠如

システムが「技術的に正しく」構築されていたとしても、実際に使うユーザーの視点が反映されていなければ、活用されずに終わる可能性があります。

例えば、現場のオペレーションに合わない設計や、直感的でないUIなどは、利用率の低下や運用停止といった結果につながりかねません。

社内論理や開発効率だけで設計を進めるのではなく、初期段階から現場の声を反映させ、本当に使いやすいシステム開発を目指すことが、成功への鍵となります。

検証工程の軽視

システム開発終盤での失敗原因として最も多いのが、テストやレビューといった検証工程を軽視してしまうことです。

スケジュールの都合でテスト工程を省略・短縮してしまうと、本番稼働後に致命的なバグやトラブルが発生し、業務に深刻な影響を与えることになります。特に、結合テストやユーザー受け入れテスト(UAT)を省いてしまうと、実際の利用環境に適合しない不具合が見過ごされがちです。

システム開発の検証作業には時間とコストがかかりますが、その省略が結果的にさらなる損失につながりかねないことを忘れてはいけません。

システム開発の失敗を防ぎ成功させるためのポイント

システム開発の失敗を防ぎ成功させるためのポイント

システム開発は、慎重な準備と綿密な連携によって、成功率を高められます。

ここでは、システム開発の失敗を防ぎ、成功させるためのポイントを3つご紹介します。

業務課題と開発目的を最初に明確にする

システム開発の成否は、「なぜこのシステムが必要なのか」という目的意識を共有できるかどうかにかかっています。開発の初期段階では、対象となる業務の課題を洗い出し、どのような成果を得たいのかを明確に定義することが不可欠です。

目的がコスト削減なのか、業務スピードの向上なのかといった視点でゴールを定め、その目的が設計・開発・運用保守に一貫して反映されるようにしましょう。そうすることで、開発中のブレを防ぎ、失敗にいたるリスクを最小化できます。

要件定義フェーズを丁寧に行い、仕様のズレを防ぐ

システム開発におけるトラブルの多くは、要件定義フェーズの不備に起因します。そのため、要件のヒアリング、ドキュメント化、レビュー・承認という一連のプロセスを丁寧におこなうことが非常に重要です。

特に、現場のキーマンや実際のオペレーターの声を取り入れることで、机上の空論にならず、業務に即した実用的な仕様を策定できるでしょう。

曖昧な表現や口頭での合意に頼るのではなく、記録に残る形で要件を文書化し、関係者と共通認識を持つことが、後のトラブル防止につながります。

発注側と開発側の密なコミュニケーションを意識する

システム開発では、初期にどれだけ詳細な要件を定めたとしても、進行中に微調整や方向修正が必要になる場面は避けられません。そうしたとき、発注側と開発側の間に密なコミュニケーションが取れているかどうかが、トラブルの回避に大きく影響します。

例えば、定例ミーティングや進捗報告の場を設け、常に開発状況を共有しながら進めることが重要です。また、口頭のやりとりだけでなく、メールやチャット、ドキュメントを活用して「合意内容を残す」姿勢も欠かせません。

発注側と開発側が互いに「伝える責任」と「確認する責任」を持ち、双方向の信頼関係を築くことが、システム開発成功への近道だといえます。

まとめ

今回は、システム開発がなぜ失敗するのかという観点から、よくある事例や原因、そして失敗を防ぐためのポイントについて詳しくご紹介しました。

システム開発を成功させるためには、「何のために、誰のために作るのか」という目的を明確にし、業務課題や必要な機能を正確に整理することが出発点となります。そのうえで、信頼できる開発会社と連携しながら、要件定義・設計・検証・運用保守まで発注者として主体的に関わることが不可欠です。

今回の内容を参考に、長く活用できる実践的なシステムの構築に向けて、確かな準備と判断を進めていきましょう。

監修者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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