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COLUMN コラム詳細

DXとIT化の違いとは?DXが求められている理由についても解説

2025-06-29

DXとIT化の違いとは?DXが求められている理由についても解説

近年、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という言葉をよく耳にするようになりました。

DXは、企業にとって欠かせないキーワードとなっておりますが、その意味を正しく理解していない方も少なくありません。なかには、「IT化」と混同して捉えているケースも見受けられます。

そこで本コラムでは、「DXとIT化の違い」を4つの視点からわかりやすく解説します。あわせて、DXの具体例や進め方、成功のポイントに加え、DXを実現したい際、依頼先となる企業の見極め方までご紹介していきますので、DXについて理解を深めたい方は、ぜひ参考になさってください。

DXとは

DXは、「Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)」の略で、本来は頭文字を取ると”DT”になりますが、「Transformation」の接頭語である「Trans」には「横断」という意味があり、これが「Cross(交差=横断)」を連想させることから、「Trans→Cross→X(クロス)」で”DX”と表記されるようになりました。

意味としては「デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや企業の在り方を根本から変革し、最終的には社会全体に良い影響をもたらす取り組み」を指します。

なお、DXが注目されるきっかけとなったのが、2018年に経済産業省が発表した「2025年の崖」というレポートです。

このレポートでは、DXに対応できるかどうかによって、企業の競争力に大きな差が出る可能性を指摘しており、多くの経営者に衝撃を与えました。日本では、まだまだ古いシステムに頼る企業が少なくありません。そのため、DXの流れが進んでいないのが現状です。

こうした背景から、DXはもはや選択肢ではなく、生き残りをかけた重要な戦略となっています。

参考:経済産業省ウェブサイト「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

IT化とは

ITは、「Information Technology(インフォメーション・テクノロジー)」の略で、「デジタル技術を導入し、業務効率化を実現する取り組み」を指します。

例えば、自社にツールやシステムを導入することは典型的なIT化にあたり、主に中小企業では、IT化を中心とするデジタル技術の導入が進められてきました。

しかし、IT化はデジタル技術の導入がゴールであることが多く、ビジネスモデルや企業の在り方までには影響を及ぼさないケースが一般的です。

DXとIT化の違いとは?4つの視点別にわかりやすく解説

「DXとIT化の違いがイマイチわからない」という声は少なくありません。

ここでは、4つの視点別に、それぞれの違いをわかりやすく解説します。

視点1:目的

DXの目的は、デジタル技術によって「ビジネスの”全て”を変革すること」です。一方、IT化の目的は、デジタル技術によって「ビジネスの”一部”を改善すること」にとどまります。

近年では、ツールやシステムを導入しただけで、「DXを実現した」と誤解する企業が後を絶ちません。しかし、こうした取り組みは多くの場合、DXではなくIT化に分類されます。

この「DXとIT化の誤解」こそが、日本におけるDX推進の障壁になっているといえるでしょう。

視点2:期間

DXは「短期的な効果は得にくい反面、長期的な効果は得やすい」です。一方で、IT化は「短期的な効果は得やすい反面、長期的な効果は得にくい」です。

DXが進みにくい背景として、費用対効果が目に見えてわかりづらい点があります。ビジネスモデルや企業の在り方を変える挑戦のため、効果が出るまでに時間がかかるのです。

そのため、短期的な成果を求めて取り組みを諦める企業も多く、結果的に古いシステムに依存し続けたり、部分的な改善にとどまったりする事態が起こります。

視点3:予算

DXでは「まとまった予算と長期的な投資」が求められます。導入直後に成果が見えにくいため、コスト回収までに時間がかかるのが一般的です。

一方、IT化は「少ない予算(DXに比べた場合)」で実現できるため、スモールスタートしやすく、リスクも低いという特徴があります。

つまり、DXはある程度の余力がある企業でなければ実現が難しく、これが中小企業でDXが進みにくい一因にもなっています。

視点4:規模

DXは、ビジネス全体の構造や仕組みを変えることが目的のため、多くの部署や人を巻き込む「大規模なプロジェクト」になります。一方、IT化では、特定の業務や部門に限定された取り組みであることが多く、「小規模なプロジェクト」で実施可能です。

そのため、IT化の感覚でDXに着手すると、思った以上にスケールが大きく、途中で挫折するケースも少なくありません。

DXとIT化の違いがわかる身近な事例

ここでは、小売業、スタートアップ、システム開発会社の3つの事例を通じて、両者の違いをより詳しく理解していきましょう。

小売業の事例

これまで、会計は手打ちレジ、売上管理は紙で行っていた小売店。しかし、集計ミスや管理の手間が課題となり、業務効率化のためにデジタル技術の導入を検討します。

IT化の場合:
各店舗にPOSレジを導入し、売上の自動集計が可能に。店舗ごとのデータを管理しやすい一方で、売上分析や販路戦略は依然として手作業中心で、連携には難が残りました。

DXの場合:
全店舗にクラウド型POSレジを導入し、店舗売上や顧客情報をリアルタイムで一元管理。さらに、溜まったデータをもとにAIを活用した分析を行い、お店ごとに適した施策を実施。その結果、店舗全体の売上や口コミの質が改善されました。

スタートアップの事例

業務に関わるやりとりに、メールやチャットを使用していた少人数のスタートアップ。しかし、各情報が分散してミスが増えたことから、デジタル技術の導入を検討します。

IT化の場合:
SlackやNotionなどのツールを導入し、業務効率が飛躍的に改善。しかし、改善点は一部にとどまり、ビジネスモデルには大きな変化がありませんでした。

DXの場合:
ツールの導入だけではなく、顧客対応やサービス提供の領域までデジタル化。「CRM(顧客管理システム)」を活用し、顧客とのやりとりを一元管理。取得したデータをもとにサービス内容の改善を行うサイクルを実現し、事業全体の安定化につながりました。

システム開発会社の事例

これまで開発プロジェクトの管理には、メールやチャットを使用していたシステム開発会社。しかし、進捗確認やバグ報告などに時間がかかり、手戻りが多くなるなどの課題が発生。こうした事態を改善するために、デジタル技術の導入を検討します。

IT化の場合:
GitHubなどの開発支援ツールを導入し、コード管理やバグ報告を効率化。チーム全体の生産性が向上しましたが、ビジネスモデルに変化はなく、業務ツールが変わっただけにとどまりました。

DXの場合:
ツールの導入をきっかけに受託開発から自社サービス提供へとビジネスモデルを転換。サービスを通じて、継続的な価値の提供を目指す体制へと再編。DX化に向けて少しずつ基盤を固め始めました。

自社をDX化するための進め方

自社をDX化するためには、まずは進め方が大切です。ここでは、DX化における基本的な5つのステップを解説します。

ステップ1:目的の明確化

まずは、DXの「目的」を明確にすることが大切です。

自社の将来的なビジョンや経営戦略に基づいて、どのような姿を目指すのかを具体的にしましょう。この点が曖昧なままだと、全体の連携が取れず、計画が途中で頓挫する可能性が高まります。

ステップ2:現状の分析と課題の抽出

次に、自社の現状を分析し、課題を洗い出します。

業務プロセスや既存システムの問題点を可視化し、非効率な部分や不要な工程などの課題を抽出してください。

ステップ3:推進のための人材招集

DXの実現には、幅広い人材が必要です。

理想は、社内で人材を確保することですが、現実的には難しいケースが少なくありません。こうした場合は、外部の専門家や公的な相談窓口などと連携することをおすすめします。

ステップ4:戦略の策定

ここまでのステップを踏まえて、DXをどのように進めていくのかの戦略を策定します。

導入するツールやシステム、スケジュール、予算感などを具体的に落とし込みましょう。このプロセスは、DX全体の「設計図」であり、未来への道筋を示す「地図」となる、重要なフェーズです。

ステップ5:計画の開始

すべての準備が整ったら、いよいよDX実行のフェーズに入ります。

ただし、ここはゴールではなくスタート地点です。DXは短期的に成果が出るものではありません。IT化が短距離走だとすれば、DXは長距離走です。焦らず、ペース配分を意識して、着実にゴールを目指しましょう。

DX化における成功のポイント

当然、DX化を成功に導くためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要もあります。ここでは、その中でも特に重要な3つのポイントを解説していきます。

トップ層のリーダーシップ

DXの出発点は、強いリーダーシップです。

デジタル技術を活用して企業全体に変革を起こすためには、「トップダウン」での推進が不可欠です。中途半端な姿勢では、DXという歩みを進めることはできません。まずは、経営者自身がDX推進のためのリーダーシップを持つことが成功への第一歩です。

現場の意見の吸い上げ

DXはトップダウンで進めるものですが、それだけでは不十分です。

現場からの意見やニーズを丁寧に汲み取る「ボトムアップ」の姿勢も欠かせません。新しいツールやシステムを使うのは、現場の社員たちです。導入前には、十分なヒアリングを行い、現場が求めているモノを把握しましょう。

積極的なデータの活用

データの活用は、DXを進めるうえで欠かせない要素です。

正確なデータは、戦略や方針を決める際に、感覚的ではない根拠になります。数字に裏付けされた判断には説得力があり、社内の同意も得やすいです。できるだけ情報を見える形にし、数字を使って考える姿勢がDXを進めるカギとなります。

自社のDX化を依頼するべき企業の見極め方

DX化には、プロフェッショナルの協力が不可欠です。そこで重要となるのが、依頼先となる企業の見極めです。

ここでは3つの観点から、DX化の依頼先となる企業の見極め方を解説していきます。

「実績」を確認する

実績で確認したいのは「得意分野」と「更新頻度」です。

得意分野が自社に近い業界の場合、DXの進行が円滑になる可能性が高まります。実績では、どの分野が得意かを確認しましょう。

また、更新頻度も大切です。豊富な実績があっても、掲載が何年も前のままでは、現在も同じクオリティを保つことができているのか不安が残ります。できるだけ新しい実績を掲載している企業を選びましょう。

「知識」を確認する

DXは長期的な取り組みです。そのため、多様な課題に対応できる知識や柔軟性が求められます。まずは、企業サイトに掲載されているコラムや、社長・社員によるSNSの発信などから、実践的な知識があるか確認しましょう。

また、見積もり相談時に、「代替案」を提案してくれるかどうかも重要です。DXは、多くの制約のなかで進める必要があるため、複数の選択肢を提供できる企業は、それだけの経験とノウハウを兼ね備えているといえます。

「信頼」を確認する

長期にわたるプロジェクトでは、企業との信頼関係が非常に大切です。特に、担当者との相性が悪いと、プロジェクトの停滞が起こり、最悪の場合は失敗にもつながります。

例えば、「連絡のレスポンスが遅い」「要点を理解してくれない」「高圧的、一方的なコミュニケーション」といった場合は注意が必要です。

信頼できない相手との取り組みは、後々、大きなリスクとして目の前に現れます。少しでも信頼できないと感じたら、別の企業を検討することをおすすめします。

まとめ

DXとIT化はどちらもデジタル技術を活用する取り組みですが、その目的やスケール、投資の考え方には大きな違いがあります。DXはビジネス全体を変革する長期的な挑戦であり、IT化は特定業務の効率化を目的とした短期的な改善施策です。

だからこそ、自社にとって本当に必要なのはどちらなのか──目的や現状、経営ビジョンを踏まえて慎重に見極めることが重要です。そして、DXに本気で取り組むなら、既存ツールの導入だけに頼らず、業務プロセスや顧客接点、さらにはビジネスモデルそのものを見直す姿勢が求められます。

フレシット株式会社では、そうした“根本からの変革”を支えるため、フルスクラッチ(オーダーメイド)でのシステム開発を提供しています。現場への深いヒアリングから始まり、業務構造や社内フローを丁寧に再設計した上で、最適な仕組みを一から構築します。既製品では届かない領域にこそ、本当の競争力が宿る──それが私たちの信念です。

2025年の崖を越え、持続可能な成長を目指す企業の皆さまにとって、「使われるシステム」「変化を支えるシステム」を共に創り上げるパートナーとして、私たちが力になります。まずはお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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