アカウント連携の設計で差がつく!複数サービスを一元管理するフルスクラッチ開発の強み
その“ひとつのID”が、業務も顧客も変えていく。
2025-07-05

東京都が推進する「東京アプリ」は、マイナンバーカードと連携したID管理により、都民が複数の行政サービスをスムーズに利用できる仕組みを実現しつつあります。これにより、従来申請ごとに必要だった個別アカウントの管理や切り替えの手間が不要となり、業務効率とユーザー体験の双方が改善されました。
本コラムでは、このID連携の設計思想を民間のシステムに応用する視点から、フルスクラッチ開発の優位性について解説します。
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目次
【記事要約】東京都、「東京アプリ」に生成AI導入を検討 行政手続きを効率化し利用促進へ
東京都はスマートフォン向け公式アプリ「東京アプリ」に生成AIを搭載し、補助金申請などの手続きを円滑化する方針を検討中。マイナンバーカードとの連携により、申請の利便性向上と人件費の削減を図る。アプリ導入で申請から給付までの期間を約半分に短縮可能と試算。さらに、生成AIにより事業者に適切な支援策を提示するなどの機能拡張も目指す。今後はAIの活用範囲と人による確認の線引きを国と連携しながら整備していく。
出典:日本経済新聞「東京アプリに生成AI 都、利用拡大へ検討 補助金申請円滑に」2025年6月6日付朝刊
ポイントをひとことで
アカウント連携は、業務効率とユーザー体験を左右する重要な設計要素です。このコラムが示すように、「IDひとつで完結する体験」は利便性向上に直結するだけでなく、運用負荷の軽減やセキュリティ向上にもつながります。しかしそれを実現するには、全体最適の視点で認証設計を組み込む必要があります。既存の枠に縛られず、柔軟かつ拡張性の高い構成を可能にするフルスクラッチ開発こそが、本質的な課題解決への鍵となります。
なぜアカウント連携は分断されがちなのか
多くの企業システムでは、サービス単位でアカウントが分断されており、ユーザーや社内スタッフが複数のIDとパスワードを使い分けなければならない状況が発生しています。その背景には、システムごとの構築時期の違いや、異なる業務部門が独立して導入を進めた経緯があるケースが少なくありません。
結果として、利用者は認証のたびに混乱し、管理者側も運用負担が増大します。セキュリティリスクも高まり、システム全体の信頼性に影響を与える可能性もあります。
「IDひとつで完結」の設計思想に学ぶ
東京アプリのように、マイナンバーカードという公的IDを軸にサービスを横断的に紐付ける設計は、シンプルかつ強力です。ユーザーは一度認証すれば、あとは同じIDで複数の手続きを行えるため、煩雑さが解消されます。これは、ID連携を前提とした設計思想に基づいて構築された結果です。
民間企業がこの思想を取り入れることで、例えば以下のような効果が期待できます。
- 顧客がサービス間をシームレスに移動できる
- アカウントの新規登録・認証にかかる負担の軽減
- 顧客データの一元化によるマーケティング・サポートの最適化
- セキュリティと利便性を両立した認証設計の実現
フルスクラッチ開発だから実現できる柔軟なID設計
ID連携の仕組みは、既存のパッケージソリューションでは柔軟に対応しづらいことが多く、業務特性やユーザー属性に応じた設計には限界があります。フルスクラッチ開発であれば、複数のサービスやシステムにまたがる認証・認可設計を、利用シーンに最適なかたちで一から設計・実装することが可能です。
例えば、以下のような高度な要件にも対応できます。
- 顧客・社内・パートナーで異なる認証フローを共存させる設計
- OAuthやSAMLなど外部IDとの連携統合
- 多要素認証を業務フローに組み込む独自設計
- 利用履歴に応じた権限の自動切り替え
これらを部分的ではなく全体設計の中で構築することで、「IDひとつで完結する体験」が実現されます。
まとめ
アカウント連携の設計は、利便性や効率性だけでなく、顧客のロイヤリティや業務の生産性に直結する要素です。東京都の「東京アプリ」に見るような一元管理の仕組みは、企業のサービス設計においても大きなヒントとなります。高度な認証要件や複雑な業務連携を前提としたアカウント管理には、柔軟性と拡張性を備えたフルスクラッチ開発が有効です。分断されたID管理を見直すことが、業務効率とユーザー満足の両立に向けた第一歩になります。
複数サービスを“IDひとつ”でつなぐには、既存システムの制約にとらわれない柔軟な設計と、業務フローに沿った最適な構造化が不可欠です。フレシット株式会社では、認証・認可を含むアカウント連携まわりの高度な要件にも対応し、利用者にも管理者にもストレスのない統合体験を、フルスクラッチ(オーダーメイド)で実現します。分断をなくし、システムが自然に“つながる”状態を一から共に設計します。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。