【三菱ケミカルグループが進めるプラント修理効率化から学ぶ】“進んでるはずが進んでない”をなくす見える化の仕組み
誰も全体を見ていない──そのプロジェクト、危険です
2025-07-11

大規模な工場設備の修理・点検を支えるため、三菱ケミカルグループが進める「工程の見える化」システムが話題となっています。工程や進捗の把握が困難な現場で、共通プラットフォームの導入により、作業の空白時間を削減し、工期を15%短縮した事例は多くの企業にとって参考になる取り組みといえるでしょう。
本コラムでは、製造業に限らず、あらゆる業種で起こりうる「進んでいるようで実は停滞しているプロジェクト」の問題を解消するための“見える化”の仕組みとその効果について解説します。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
目次
【記事要約】プラント定期修理を“見える化”で効率化 三菱ケミ、共通システムで業界連携を推進
石油化学プラントの定期修理における人手不足や高齢化を背景に、三菱ケミカルグループは工程や進捗を「見える化」する共通システムの普及を業界に呼びかける。Excelや紙による個別管理の非効率を解消し、RFID等のDX技術で作業の空白時間を削減。実際に作業日数を15%短縮する成果も出ており、業界横断の人材調整や安全管理にも寄与が期待される。
出典:日本経済新聞「プラント修理、業界一丸で 三菱ケミがシステム共通化を提唱へ 効率向上、工期15%短縮」2025年6月27日付朝刊
ポイントをひとことで
プロジェクトの遅延や停滞は、多くの場合「誰が何をどこまで進めているのか」が不透明であることに起因します。特に複数部門や外部パートナーが関与するケースでは、進捗情報が分散・属人化しやすく、結果として重大な遅れや手戻りが発生します。本コラムは、こうした問題を解消するための「見える化」の重要性を的確に捉えています。フルスクラッチのシステムは、現場ごとの複雑な要件にも柔軟に対応でき、可視化の精度と実効性を飛躍的に高める選択肢です。
プロジェクトが停滞する原因とは
業種や規模を問わず、多くの企業で「プロジェクトが予定通り進まない」問題が見られます。その原因の一つが、進捗状況が担当者間で共有されず、ブラックボックス化してしまうことです。口頭やチャット、個人のExcel管理などで断片的に管理されることが多く、プロジェクト全体の状況を誰も把握できていないケースが散見されます。
特に部門をまたぐプロジェクトでは、連携の遅れが発生しやすく、一部の工程の遅れが全体のボトルネックとなることもあります。表面的には「順調に見える」状態が続き、最終的にリリース直前になって重大な遅延が判明するようなケースも少なくありません。
“見える化”による進捗管理の精度向上
このような状況を解消するためには、プロジェクトの全体像と進捗をリアルタイムで可視化する仕組みが必要です。進捗管理のシステム化により、担当者ごとのタスクのステータスや遅延状況、作業ボリュームの偏りなどを即座に確認できるようになります。
たとえば、三菱ケミカルグループの事例では、工程の進捗をデジタルで一元管理し、作業の「空白時間」を削減することで工期短縮を実現しています。このような見える化の仕組みは、製造業だけでなく、IT、広告、教育、行政などの分野でも十分に応用可能です。
部門間連携の精度を高める共通プラットフォーム
プロジェクト管理において、もう一つの重要な要素が「部門間の連携」です。異なる部署が関与する業務においては、それぞれの管理方法が異なり、情報の分断が発生しがちです。
共通プラットフォームを用いることで、各部門が同じ形式・ルールで進捗や課題を管理できるようになります。これにより、情報の引き継ぎミスや報告漏れを減らすだけでなく、プロジェクト全体の流れを関係者全員がリアルタイムで把握することが可能になります。
属人化のリスクを抑え、トラブルの予兆を見逃さない
「誰が何を、いつまでに、どこまで進めるのか」が明確に可視化されると、属人化のリスクも抑えられます。個人に依存していた業務が共有されることで、万が一の離任や休暇時にも、他のメンバーが状況を把握しやすくなります。
また、システム上で進捗の遅れや未完了タスクが視覚的に表示されることで、関係者は早い段階でトラブルの予兆に気づくことができます。問題が深刻化する前に対処できるため、後手に回ることが減り、結果として全体の安定した運営につながります。
まとめ
プロジェクトが「進んでいるようで進んでいない」状態は、企業活動に大きな損失をもたらします。部門間の連携不全、情報の分断、進捗の属人化といった問題は、どの業界でも共通して起こりうるものです。そうした課題を解消する鍵が、“見える化”を軸としたシステム化にあります。共通のプラットフォームを導入し、業務や進捗をリアルタイムで共有する体制を整えることで、プロジェクトの停滞を未然に防ぐことができるでしょう。
こうした「見える化」の仕組みは、業種や業務の特性に応じて柔軟に設計されるべきものです。既製のツールでは対応しきれない複雑な要件や運用ルールにも、柔軟かつ実用的に応えるには、フルスクラッチでのシステム開発が効果的です。フレシット株式会社では、現場の課題に即したシステムをゼロから構築し、貴社に最適な“見える化”を実現します。プロジェクト停滞の悩みを根本から解決したい企業様こそ、ぜひご相談ください。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。
公式Xアカウントはこちら