【金融アプリの“見た目・使い勝手”を磨く動きから考える】業務システムUI改善で見落とされがちな5つの視点
“見た目だけのデザイン”にしないために。
2025-07-13

楽天証券が若年層向けに開発した「iGrow」など、金融アプリにおける“見た目”と“使い勝手”へのこだわりが注目されています。SNS的なデザイン、ECのような導線設計、広告を排除したストレスフリーな体験――その背景には、ユーザーの「使いやすさ」への期待値の高まりがあります。
こうした潮流は、業務システムにも無縁ではありません。UI改善は“見た目を整えること”ではなく、“業務における成果”に結びつく設計を実現することです。本コラムでは、見落とされがちな5つの視点をもとに、業務システムのUI改善で陥りがちな誤解と、その打開策を解説します。
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目次
【記事要約】若者向け金融アプリのDX、SNS化とデザインで新規層を獲得
楽天証券などが展開する若年層向け金融アプリが、SNS風のデザインや操作性を重視することで注目を集めている。ネット通販のUIを参考にした導線や、パーソナライズされた情報提供で「使いやすさ」を追求。価格競争が限界を迎える中、金融サービスのDXは“見た目と体験”での差別化が鍵となりつつある。DXによって金融の敷居を下げ、新たなユーザー層の獲得が進んでいる。
出典:日本経済新聞「(YOUTH FINANCE)金融アプリもSNS風に 見た目・使い勝手、若者に刺さる」2025年6月19日付朝刊
ポイントをひとことで
業務システムのUI改善というと、見た目の刷新に目が行きがちですが、真に重要なのは「業務プロセスとの連動」です。ユーザーが“なぜその画面で迷うのか”“なぜ操作ミスが起きるのか”といった現場の実態を見極めない限り、見た目を整えても本質的な改善にはなりません。情報の出し方や言葉遣いひとつで業務効率や心理的負荷は大きく変わるため、見た目だけでなく“設計思想”まで踏み込んだ改善こそが、使われ続けるシステムの鍵を握っています。
1.業務に結びつかない「見た目改善」の落とし穴
業務システムのUIを改善しようとしたとき、まず手が付けられるのは配色やレイアウト、アイコンの変更など、視覚的なデザイン要素であることが多いです。しかし、表面だけを整えても、業務効率や操作性が改善されないケースは少なくありません。
見た目の刷新だけで満足してしまうと、システムの根本的な使いづらさや情報構造の複雑さが放置され、結局は現場で使われないシステムになってしまいます。
2.UI改善は業務フローとセットで考える
システムのUIは、業務フローと密接に連動して設計する必要があります。例えば「入力画面が複雑すぎてミスが多発する」といったケースでは、UIの簡素化だけでなく、業務自体の手順や入力項目の見直しが必要かもしれません。
業務プロセスとUI設計を切り離して考えると、見た目は良くなっても本質的な使いやすさにはつながらないのです。
3.「1クリックで完結」を目指す導線設計
ユーザーが一連の操作を自然な流れで進められるように導線を設計することは、UI改善の核心です。ECサイトの「買い物カゴ」導線に見られるように、複数のアクションをまとめて行える仕組みは、業務システムにも応用可能です。
煩雑なステップを強いるのではなく、“次に何をすべきか”が直感的にわかるUI設計が、ミスの削減と業務効率の向上につながります。
4.情報量の“減らし方”も設計のうち
「必要な情報をすべて表示する」のは一見親切に思えますが、ユーザーにとっては情報過多による混乱を招くことがあります。重要なのは、利用者の立場やシーンに応じて、“必要な情報だけを出す”という設計です。
画面ごとに出すべき情報を整理し、利用者が迷わず判断できる状態をつくることが、良質なUIを実現する鍵になります。
5.“言葉”が与える影響を見逃さない
UIのテキストやボタンの表記、エラー表示の言葉遣いは、ユーザー体験に直結します。たとえば「エラー:不正な値です」と表示されるよりも、「入力された日付の形式が正しくありません」の方が、利用者は具体的に何を修正すべきか理解できます。
UIにおける“言葉の設計”も、使いやすさを左右する重要な要素です。
まとめ
業務システムのUI改善は、単なる“見た目の刷新”に留まらず、業務フローやユーザーの操作感、情報の出し方、さらには使われる言葉にまで踏み込んで初めて成果につながります。
そのためには、テンプレートではなく、業務にあわせて柔軟に設計できるフルスクラッチのアプローチが有効です。現場で“自然に使われるシステム”をつくるために、UI改善の視点をいま一度見直してみてはいかがでしょうか。
なお、業務プロセスに最適化されたUIを一から設計し、現場で本当に使われるシステムを形にするには、柔軟な設計と深い業務理解が欠かせません。フレシット株式会社では、ヒアリングからプロトタイプ制作、運用後の改善提案に至るまで一貫して対応し、オーダーメイド開発だからこそ実現できる“使いやすさと成果”の両立を支援しています。貴社の業務に本当にフィットするシステムをお求めであれば、ぜひ一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。
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