【広がる教育フィンテックから考える】現場が“本来業務”に集中できる体制をつくる業務分離と再設計のためのシステム構築の考え方
本来業務への集中を促す、柔軟な業務設計の考え方
2025-07-20

保育園や学校での集金業務に、教育フィンテックが浸透し始めています。背景には、給食費や教材費の徴収・管理が教師の負担になっているという構造的な課題があります。政府も「本来は学校以外が担うべき業務」と指摘しており、業務の再設計と分離の必要性が明確になっています。この考え方は、教育現場に限らず、業務を内製化しすぎている企業にも通じるものがあります。
本コラムでは、DXを通じて“本来業務に集中できる体制”をつくるための業務分離とシステム構築の考え方を解説します。
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目次
【記事要約】教育現場のDXを促進するフィンテック、集金業務を効率化し教員負担を軽減
教育現場でのDXとして、給食費や教材費などの集金業務を効率化するフィンテックの導入が進んでいる。スタートアップのMEMEが提供する「スクペイ」や、GMOエンペイの「エンペイ」などが代表例で、保護者とのオンライン決済連携により事務負担を大幅に削減。奨学金管理にもデジタル化が広がるなど、教育分野における業務DXが加速している。
出典:日本経済新聞「広がる教育フィンテック 給食費などの集金、新興が円滑化 教師・保護者の負担減」2025年6月25日付朝刊
ポイントをひとことで
業務の効率化というと、単にツールの導入や業務の自動化に目が向きがちですが、本質的な改善には「何を誰が担うべきか」の見直しが不可欠です。このコラムでは、教育現場における集金業務を例に、業務の分離と再設計が現場の負担を軽減し、本来の役割に集中できる体制をつくる鍵であることが示されています。事業会社においても、曖昧に属人化された業務を“可視化し切り出す”という視点は、持続的な成長を支える土台になるはずです。
業務の「持ちすぎ」が組織を鈍らせる
本来、学校の教員が行うべき仕事は、授業の準備や生徒指導など教育に関する業務です。しかし現実には、集金や督促、書類処理といった周辺業務が教員の時間を大きく奪っているのが実情です。このような状況は、企業でもしばしば見られます。営業担当が見積作成や請求処理に追われたり、技術職が問い合わせ対応やマニュアル整備に時間を取られたりすることで、本来の価値創出業務に集中できなくなるのです。
「業務分離」は属人化の解消にもつながる
業務を分離することで、役割が明確になり、属人化の解消にもつながります。たとえば、教育フィンテックの導入によって請求や決済が自動化されれば、教師が個別に保護者とやり取りする必要がなくなります。同様に、企業においても業務の中で繰り返される処理や判断を仕組み化することで、担当者ごとの経験値やスキルに依存しない体制が実現できます。これは、退職や異動時の引き継ぎ負荷を大幅に減らすことにもつながります。
再設計には「本来業務とは何か」の明確化が必要
業務の分離を考える際に、まず整理すべきなのは「本来業務」と「それ以外の業務」の線引きです。教育現場で言えば、教えることが本来業務であり、集金や印刷物の管理は必ずしもそうではありません。企業においても、営業や開発、カスタマーサポートなど“顧客に価値を届ける業務”を中心に、それを妨げる業務を洗い出し、代替可能な手段を検討することが求められます。
再設計とシステム構築は一体で進める
業務の分離・再設計を効果的に進めるには、その業務フローに合ったシステムを構築することが不可欠です。汎用的なツールでは、現場のプロセスに合わず、かえって非効率になることも少なくありません。教育現場のように独自のルールや業務がある場合は、業務に合わせてシステム側を柔軟に設計することが求められます。企業も同様に、現場の声を吸い上げながら、必要最小限で使いやすいシステムを設計することで、業務の再定義が初めて形になります。
まとめ
教師が本来の教育に集中できるように、集金業務を切り出す動きは、組織が持つべき役割を見直す良い事例です。企業においても「やらなくていい業務」を見つけ、システムによって手離れよく分離していくことが、組織の生産性向上に直結します。業務そのものを再設計し、それに最適なシステムを構築するという視点が、これからのDXには欠かせません。
こうした業務分離と再設計を実現するには、既存のツールに業務を合わせるのではなく、業務にフィットした仕組みを一から設計する必要があります。フレシット株式会社では、現場の業務プロセスや課題を丁寧にヒアリングしたうえで、完全オーダーメイドのシステム開発を行っています。「本来業務に集中できる体制づくり」を本気で考える企業様にとって、最適なパートナーであると自負しております。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。
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