分断された情報を“武器”に変える──部門横断で意思決定できるシステム設計とは?
リアルタイム連携がもたらす意思決定のスピードと質
2025-07-25

三菱UFJ銀行とNTTデータが進める、半導体企業を対象とした在庫や生産情報の一元化に関する取り組みが報じられました。こうした構想の背景には、個社内でさえ部署ごとに情報が分断され、組織全体としての意思決定が困難になっているという構造的課題があります。
本コラムでは、営業・生産・在庫といった部門ごとの情報を統合し、全体最適を実現するためのシステム設計について考察します。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
目次
【記事要約】三菱UFJ銀とNTTデータ、半導体部品の効率生産へ情報基盤を構築
三菱UFJ銀行とNTTデータは、半導体関連企業の在庫や生産状況をシステム上に集約し、企業間で可視化・共有できる情報基盤を構築する。これにより、部品の過不足を減らし、参加企業が効率的な生産判断を下せる環境を整える。2025年度に九州で実証実験を開始し、将来的に全国展開を目指す。
出典:日本経済新聞「三菱UFJ銀、半導体企業の情報集約 在庫担保に融資も」2025年6月20日付朝刊
ポイントをひとことで
部門ごとに最適化された業務が、全体として非効率を生むという課題は、多くの企業が直面しています。本コラムは、情報の分断によって意思決定が遅れ、結果として機会損失やコスト増に繋がる構造的な問題を的確に捉えています。システム設計において重要なのは、単なるデータの集約ではなく、部門間で共有される「意味ある情報」として再構築することです。フルスクラッチ開発の柔軟性は、まさにこうした全体最適を支える基盤として有効に機能します。
部門間の「情報断絶」が招く非効率
多くの企業では、営業部門は販売見込み、生産部門は製造スケジュール、在庫管理部門は実在庫と入出庫データといった具合に、それぞれ独自の情報を保持しています。これらの情報がリアルタイムに連携していない場合、販売計画に対して生産体制が追いつかない、在庫過剰や欠品が頻発するなど、組織全体のパフォーマンスを損なう結果となります。
また、部門ごとに使用しているシステムやフォーマットが異なることで、情報の整合性を確認する作業に時間がかかり、迅速な意思決定ができないという問題も発生します。
情報を“全社資産”として活かすための統合設計
こうした課題を解決するには、各部門が保有する情報を一元的に管理し、リアルタイムに参照できる基盤を構築する必要があります。情報の粒度や更新頻度、運用フローの違いを吸収するには、柔軟性の高いシステム設計が求められます。そこで効果的なのが、フルスクラッチによる開発アプローチです。
パッケージソフトでは対応しきれない業務ルールや業種特有の商習慣にも対応でき、各部門の実務を崩すことなく統合管理を実現することが可能です。業務間のデータを「接続」するだけではなく、「意味づけ」しながら整理することが、最適な意思決定に繋がる土台となります。
意思決定の「質」を変えるダッシュボード設計
情報統合の価値を最大限に活かすには、経営層から現場までが共通の視点で判断できる仕組みが不可欠です。たとえば、営業が販売見込みを入力した瞬間に、生産計画と在庫影響が即座に反映される設計であれば、部門を横断した調整や対応もスピーディになります。
フルスクラッチであれば、部門ごとのKPIや役割に応じてダッシュボードを柔軟に設計でき、誰にとっても「使いやすく」「意味のある」データが提供される環境を構築できます。
全体最適を阻む“部分最適”の壁を超える
システム導入の現場では、どうしても「自部門の効率化」が先行しがちです。しかし、個別最適の積み重ねでは、全体最適は実現しません。情報が統合され、部門をまたいだ影響が見える化されることで、初めて“企業としての意思決定”が可能になります。
この全体最適を支えるシステム基盤は、業務を深く理解したうえで設計される必要があり、まさにオーダーメイドの開発が力を発揮する領域です。
まとめ
情報の分断は、企業の成長にとって大きな障害となり得ます。営業、生産、在庫など、部門ごとに散らばった情報を統合し、横断的な視点で判断できる環境を整えることが、変化の激しい時代における持続的な競争力につながります。パッケージでは実現が難しい複雑な業務構造こそ、フルスクラッチでのシステム開発により本質的な解決を目指すべき分野といえるでしょう。
こうした部門横断の情報統合や全体最適の仕組みを実現するには、業務ごとの実態を丁寧に把握し、それぞれにフィットするシステムを構築できる開発体制が不可欠です。フレシット株式会社は、要件の深掘りから設計・開発・運用保守まで一貫して対応し、現場に根ざしたフルスクラッチ開発を提供しています。複雑な業務構造や調整の多い意思決定プロセスにお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら
著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

公式Xアカウントはこちら