to TOP
無料で相談する 資料を請求する

COLUMN コラム詳細

システムを変えるか、業務を変えるか──ERP導入で見落とされがちな本質的判断

業務に合わせるか、システムに合わせるか

2025-07-23

ERPの導入がビジネスの混乱を招く事例が後を絶ちません。多くの企業が「業務を効率化したい」「全社最適を図りたい」という理想のもとに導入を進めていますが、実際にはシステム障害や業務停滞を引き起こすケースもあります。

本コラムでは、ERP導入で失敗する企業が見落としがちな3つの前提を掘り下げ、アドオンやカスタマイズに頼らない開発戦略について考察します。

>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら

【記事要約】ERP現場の業務効率化ツールではない──導入失敗を招く根本的誤解

ERPの導入トラブルが続発する背景には、「自社業務にERPを合わせよう」とする根本的な誤解がある。ERPは標準的な業務プロセスに企業を適応させることで経営最適化を図るものであり、アドオンやカスタマイズによる“現場優先”の調整は、むしろ障害の原因となる。バージョンアップが前提の製品にもかかわらず、過度なカスタマイズが保守性を損ない、導入失敗へとつながる。ERPの真価を引き出すには、関係者全体の正しい理解が不可欠だ。

出典:日経クロステック/日経コンピュータ「グリコもユニ・チャームも苦渋、トラブル相次ぐERP導入に潜む大きな理解不足」2024年6月13日公開

ポイントをひとことで

ERP導入に失敗する多くの企業は、「パッケージを自社に合わせればよい」という誤解に起因する判断を下しています。ERPは本来、企業がその標準プロセスに合わせて業務を変えることを前提としたツールです。業務に強い独自性がある場合、それを無理にERPに適応させようとすれば、アドオンが増え、保守性や将来的なアップデートに大きな支障が生じます。ERPが適しているかどうかの見極めと、業務そのものの見直しが導入成功の鍵を握ります。

1.ERP導入には「業務を変える覚悟」が求められる

ERP(統合基幹業務システム)は、企業の経営全体を標準化された業務プロセスに合わせることで、効率的なデータ活用と意思決定を支えるシステムです。つまり、ERPを導入する際には、現場の業務をシステムに合わせて変えることが前提になります。

しかし多くの企業では、現場の慣習や過去の業務フローを維持したまま、ERPの方をカスタマイズして適応させようとします。このようなアプローチは、ERPが本来提供する標準機能との整合性を損ね、システム全体の不安定化を招く原因になります。

2.「合わないなら作り変えよう」は本末転倒

ERP導入においてよく見られる誤解が、「ERPに合わない部分はアドオンで対応すればよい」という考え方です。一見、柔軟で合理的に思えますが、この姿勢が結果的に“アドオン地獄”を生み出します。

アドオンを多用すると、システム全体が複雑化し、バージョンアップや保守が困難になります。ERP製品はグローバルで進化を続けており、定期的なアップデートを前提としていますが、独自改修が多いと更新が不可能になり、いずれ技術的負債として企業に重くのしかかります。

3.「変えるべきはシステムか業務か?」という本質的な問い

ERP導入を検討する際、最も重要なのは「自社の業務を本当に標準化できるか」という冷静な判断です。業務に強い独自性がある場合や、現場の運用に柔軟性が必要な場合、無理にERPに適応させようとすると現場の混乱やシステムトラブルを招きかねません。

このようなケースでは、ERP以外の選択肢──たとえばフルスクラッチ開発や業務特化型システムの検討も視野に入れるべきです。変えるべきはシステムなのか、それとも業務そのものなのか。どちらが本質的な合理性を持つのかを見極めることが、失敗を避ける第一歩となります。

まとめ

ERP導入を成功させるには、「業務を標準化できる」という前提のもとに計画を立てる必要があります。業務に合わせてシステムを変えるという発想は、ERPの思想とは相容れず、結果として企業全体のIT戦略を不安定にします。導入前に、自社に本当にERPが適しているかどうかを見極める視点が不可欠です。誤解と過信を避け、本質的な選択を行うことが、持続可能なシステム運用への鍵となるでしょう。

こうした誤解に基づくERP導入の失敗を避けるためには、自社の業務特性を深く理解し、それに最適化されたシステムを構築する姿勢が重要です。フレシット株式会社では、業務にフィットする仕組みを一から丁寧に設計し、将来の変化にも柔軟に対応できるフルスクラッチ(オーダーメイド)開発を行っています。複雑化しすぎたパッケージ導入ではなく、自社にとって本当に必要なシステムを形にしたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。

>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら

著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

公式Xアカウントはこちら

CONTACT お問い合わせ

フルスクラッチのシステム開発会社フレシットへのお問い合わせ

REQUEST 資料請求

フルスクラッチのシステム開発会社フレシットへの資料請求