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COLUMN コラム詳細

グリコやユニ・チャームのERPトラブルから考える──「標準業務への適応」がもたらす摩擦と開発戦略の見直し

ERPの本質と誤解──パッケージに頼る前に再考すべきこと

2025-07-19

ERP(統合基幹業務システム)の導入をめぐるトラブルが大手企業でも相次いでいます。背景には、ERPが持つ「標準化された業務プロセスに企業が合わせる」という思想と、現場の実情とのギャップが存在しています。

本コラムでは、なぜそのギャップが問題になるのかを明らかにし、業界特有の業務や柔軟な運用が求められる企業にとっての現実的な開発戦略を考察します。

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【記事要約】ERP現場の業務効率化ツールではない──導入失敗を招く根本的誤解

ERPの導入トラブルが続発する背景には、「自社業務にERPを合わせよう」とする根本的な誤解がある。ERPは標準的な業務プロセスに企業を適応させることで経営最適化を図るものであり、アドオンやカスタマイズによる“現場優先”の調整は、むしろ障害の原因となる。バージョンアップが前提の製品にもかかわらず、過度なカスタマイズが保守性を損ない、導入失敗へとつながる。ERPの真価を引き出すには、関係者全体の正しい理解が不可欠だ。

出典:日経クロステック/日経コンピュータ「グリコもユニ・チャームも苦渋、トラブル相次ぐERP導入に潜む大きな理解不足」2024年6月13日公開

ポイントをひとことで

ERPの導入は、業務効率化の手段ではなく「経営の標準化」を目的とした経営ツールであるという前提を見落とすと、現場との摩擦や障害が発生しやすくなります。ERPに業務を「合わせる」思想に馴染めない企業が、カスタマイズやアドオンを重ねた結果、保守不能なシステムに陥る事例も少なくありません。業務特性が強く現場主導の柔軟性が求められる企業ほど、ERPありきではなく、フルスクラッチ開発も含めた本質的な選定が重要です。

ERPが掲げる標準化の思想とは

ERPは、世界中の企業が共通して利用できるように設計されたパッケージソフトです。そこに込められた思想は、個別最適な業務ではなく、標準化されたプロセスに組織全体を適応させることで経営判断に必要なデータを整備し、企業の意思決定を迅速化するというものです。

そのため、ERP導入にあたっては「業務をERPに合わせる」ことが前提となります。現場の運用に合わせてソフトをカスタマイズするのではなく、現場が標準プロセスに歩み寄ることが求められるのです。

「現場に合わせない」ことが生む軋轢

この“ERPに合わせる”という方針は、実際の業務現場との衝突を生みやすくします。現場の担当者は長年培った業務手順や独自のノウハウを持っており、それが業務効率や品質に直結しているケースも少なくありません。

そのため、「ERPに適応するためにやり方を変える」という要求は、しばしば生産性の低下や混乱を招きます。結果として、経理や物流といった領域では、標準化されたプロセスへの移行に対して強い抵抗が起こりがちです。

アドオン開発に頼る危うさ

現場の要望に応えるために、ERPにアドオン(追加機能)を重ねるケースも見受けられます。しかし、この対応策は大きな落とし穴を含んでいます。ERPの標準仕様とアドオンの整合性がとれなくなり、システム障害やバージョンアップ困難といった問題を引き起こす可能性があるからです。

特に販売管理や在庫管理など、業界特有の処理が多い分野では、アドオンの増加によりERPが持つ本来の機能を活かしきれない事態も発生します。

フルスクラッチという選択肢

こうした状況を踏まえると、業務特性に強い独自性がある企業や、現場の柔軟な運用が不可欠な企業にとって、ERP以外の選択肢を検討する価値は十分にあります。特にフルスクラッチ開発は、現場の実情に沿ったシステムをゼロから設計できるため、業務効率や運用面での親和性が高くなります。

また、不要なアドオン開発による複雑化を避けられることから、保守性や拡張性の面でも長期的なメリットが期待できます。

まとめ

ERPは企業全体の経営最適化を目的とした強力なツールですが、その“標準化”の思想が現場業務との齟齬を生むことも事実です。業界固有の業務や柔軟な現場運用が重視される企業にとっては、ERP導入に固執するよりも、自社業務に合わせたシステムを構築することが、結果としてより安定した業務運用につながる選択かもしれません。

こうした課題に直面している企業こそ、既成のパッケージではなく、自社の業務に最適化されたシステムの構築が求められます。フレシット株式会社では、業務の現実と将来の変化に寄り添いながら、柔軟かつ確実に運用できるフルスクラッチ(オーダーメイド)開発を行っています。パッケージに業務を無理やり合わせるのではなく、業務に合わせてシステムを設計したい――そうお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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