【金融アプリの“見た目・使い勝手”を磨く動きから考える】“買い物カゴ方式”に学ぶ、業務システムUXの最適解
業務システムにも、カート導線という選択を
2025-07-27

楽天証券が提供する資産形成アプリ「iGrow」が話題となった背景には、ECサイトのような「買い物カゴ方式」を取り入れた導線設計が挙げられます。投資信託の購入をネットショッピングのように“まとめて決済”できる仕組みによって、操作の負担や心理的なハードルを軽減しました。
このアプローチは、業務システムのUX(ユーザー体験)にも応用可能です。本コラムでは、「まとめて処理する」という発想を軸に、業務システムにおける導線最適化のヒントを探ります。
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目次
【記事要約】若者向け金融アプリのDX、SNS化とデザインで新規層を獲得
楽天証券などが展開する若年層向け金融アプリが、SNS風のデザインや操作性を重視することで注目を集めている。ネット通販のUIを参考にした導線や、パーソナライズされた情報提供で「使いやすさ」を追求。価格競争が限界を迎える中、金融サービスのDXは“見た目と体験”での差別化が鍵となりつつある。DXによって金融の敷居を下げ、新たなユーザー層の獲得が進んでいる。
出典:日本経済新聞「(YOUTH FINANCE)金融アプリもSNS風に 見た目・使い勝手、若者に刺さる」2025年6月19日付朝刊
ポイントをひとことで
業務システムにおけるUXの改善は、単なる見た目の話ではなく、業務プロセスそのものを効率化する視点が求められます。ECサイトの「買い物カゴ方式」のように、操作の流れをまとめて処理できる導線設計は、ユーザーの迷いやストレスを減らし、結果として業務全体のスピードと精度を向上させます。こうした導線設計は既製のパッケージでは再現が難しく、業務に最適化したフルスクラッチ開発の価値がより明確に問われる領域といえるでしょう。
「買い物カゴ方式」とは何か?
ECサイトにおける「買い物カゴ方式」とは、複数の商品をカートに入れ、あとでまとめて購入できる導線のことです。操作のたびに決済を繰り返す必要がないため、ユーザーの心理的負担を軽くし、手続きをスムーズに進めることができます。
楽天証券の「iGrow」はこの構造を投資信託の購入に応用し、投資初心者でも自然な流れで意思決定ができるように設計されています。
業務システムにおける“まとめて処理”の重要性
業務システムにおいても、1つひとつの操作を逐一確定・反映させる導線は、かえって利用者にストレスを与え、処理ミスや入力漏れの原因になりがちです。
たとえば、経費精算や在庫登録、顧客データの入力といったシーンでは、複数の情報を“カートのように一時保持”し、確認後に一括で処理できる仕組みの方が合理的です。
ユーザーが“迷わない”導線とは
ユーザーが迷わないシステムには、「先の流れが予測できる」「次に何をすればよいかが明確」「誤操作のリスクが低い」といった共通点があります。
「買い物カゴ方式」は、そのすべてを満たす構造を備えています。操作を後戻りできる安心感、確定前に全体を見渡せるレビュー機能など、ECで培われたUXの知見は、業務システムでも十分活用できます。
フルスクラッチだからできる導線最適化
既製品の業務パッケージでは、こうした柔軟な導線設計が難しいことがあります。フルスクラッチ開発であれば、ユーザーの業務フローに合わせて「一時保存」「バッチ処理」「まとめて承認」といった導線を自由に設計できます。
特に業務が複雑な現場ほど、「ひとつずつ完了させる」よりも「まとめて処理する」ほうが実態に即しており、現場の生産性向上につながります。
ユーザー体験と業務効率の両立へ
導線を最適化することは、単に使いやすくするだけでなく、業務効率やミス削減、社員の負担軽減にも直結します。
ユーザーがストレスなく操作できる設計は、結果的に現場の定着率や運用コストの削減にも寄与します。見た目や機能だけでなく、「流れそのものの設計」にも目を向けることが、システム活用の本質的な成功に不可欠です。
まとめ
投資アプリに取り入れられた「買い物カゴ方式」は、ユーザーがスムーズに意思決定できる導線設計の好例です。この考え方は、業務システムにも応用でき、特に複雑な業務フローを抱える現場では大きな効果を発揮します。業務の流れに即した導線を自由に設計できるフルスクラッチ開発なら、見た目や機能にとどまらない“体験として使いやすい”システムが実現できます。
こうした導線設計の自由度や、現場の業務に寄り添った細やかなUI/UXの実現には、柔軟に仕様を組み立てられるフルスクラッチ開発が最適です。フレシット株式会社では、業務フローの理解を起点に、一つひとつの操作が現場で自然に“使われる流れ”になるよう徹底的に設計し、開発を進めています。業務そのものにフィットする、本当に使いやすいシステムをお求めの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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