業務システムは“言葉”で変わる──UIテキスト設計がもたらす使いやすさの本質
わかる言葉が、わかるシステムをつくる
2025-08-01

楽天証券の資産形成アプリ「iGrow」が支持された背景には、若年層でも迷わず使える導線設計や情報提供の工夫がありました。中でも注目すべきは、「わかりやすい言葉」で構成された画面表記です。
業務システムの世界でも同様に、ユーザーが迷わず操作できる“言葉の設計”が使いやすさを左右します。操作説明が複雑だったり、専門用語が並ぶ画面では、現場が自力で使いこなせず属人化を招く恐れもあります。
本コラムでは、フルスクラッチ開発の柔軟性を活かしながら、誰でも使える業務システムをつくるための「UI内テキスト」の工夫と設計視点を解説します。
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目次
【記事要約】若者向け金融アプリのDX、SNS化とデザインで新規層を獲得
楽天証券などが展開する若年層向け金融アプリが、SNS風のデザインや操作性を重視することで注目を集めている。ネット通販のUIを参考にした導線や、パーソナライズされた情報提供で「使いやすさ」を追求。価格競争が限界を迎える中、金融サービスのDXは“見た目と体験”での差別化が鍵となりつつある。DXによって金融の敷居を下げ、新たなユーザー層の獲得が進んでいる。
出典:日本経済新聞「(YOUTH FINANCE)金融アプリもSNS風に 見た目・使い勝手、若者に刺さる」2025年6月19日付朝刊
ポイントをひとことで
業務システムの使いやすさは、機能の多さや処理速度だけでは決まりません。UI上の「言葉」の設計こそが、ユーザーの理解や操作の正確さに直結します。専門用語や抽象的な表現は、現場での誤解や属人化を招き、結果的にシステム定着の妨げになります。フルスクラッチ開発であれば、業務や利用者に応じてUIテキストを自由に設計できるため、マニュアル不要の“使いながら覚えられるシステム”を実現しやすくなります。言葉もまた、大切なUXの一部です。
「わかりにくい表現」が業務の足を引っ張る
業務システムにありがちなUIの問題の一つが、「わかりにくい表現」です。例えば、「トランザクションの確定」や「マスタ更新」といった専門用語が並ぶ画面では、ITに不慣れな現場担当者が内容を理解できず、結果としてシステムの利用率が低下することがあります。
一見、簡単に見えるボタン一つでも、「登録」と「確定」、「保存」と「反映」など、曖昧な表現は誤操作の原因になり得ます。
UI内の言葉は“設計対象”である
UIの文言は、単なる説明文ではなく「業務の一部を構成する要素」です。操作する人がその意味をすぐに理解し、次のアクションを迷わず選択できるよう導く役割を持っています。
そのため、「誰が見ても同じように解釈できる言葉」を選ぶことが非常に重要です。IT部門にとって馴染みのある表現であっても、現場のスタッフには別の解釈をされてしまうことは珍しくありません。
フルスクラッチだからこそできる“言葉の最適化”
パッケージ製品では文言のカスタマイズに制約がある場合がありますが、フルスクラッチ開発であれば表現のすべてを設計できます。利用者の業務やリテラシーに合わせて、「何を伝えるか」「どう伝えるか」を細部まで調整できます。
たとえば、「商品コードを入力してください」ではなく「商品のバーコードをスキャンしてください」とするだけで、操作意図が明確になり、誤操作の防止や問い合わせの削減につながります。
“マニュアル不要”を目指す設計視点
理想的な業務システムは、マニュアルを見ずに使えることです。そのためには、UI上のボタン名やヘルプ文、エラーメッセージまでもが、使う人の目線で丁寧に設計されている必要があります。
特にエラー表示や確認メッセージは、ユーザーがつまずくポイントでもあるため、「なぜこの画面が出たのか」「どうすれば解決できるか」がすぐに伝わる言葉選びが欠かせません。
まとめ
業務システムの“使いやすさ”は、機能や見た目だけで決まるものではありません。誰が使っても迷わず操作できるようにするためには、「UI内で使う言葉」にも徹底的に配慮する必要があります。フルスクラッチ開発であれば、現場の言葉に置き換えながら、マニュアル不要な設計を実現できます。わかりやすさという“見えない機能”を、システム設計の中心に据える視点が、定着するシステムをつくる鍵となります。
こうした「わかりやすさ」をUI設計に落とし込むには、業務や利用者の特性を深く理解した上で、表現のひとつひとつを丁寧に設計することが欠かせません。フレシット株式会社では、業務プロセスのヒアリングからUI文言の検討・改善まで一貫して対応し、現場が迷わず使えるオーダーメイドのシステムをご提案しています。属人化やマニュアル依存を防ぎ、誰にとっても“やさしい”業務システムを目指す方は、ぜひご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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