霞が関の電子化停滞に学ぶ──DXを成功に導く“業務フロー再設計”の重要性
「導入したのに使われない」をなくす、成功するDXの条件
2025-08-02

霞が関では電子決裁システムが導入されているにもかかわらず、紙による決裁が根強く残っています。これは、単なる電子化がDX成功につながらない典型的な事例です。DXの効果を発揮するためには、業務フローそのものの再設計が不可欠です。
本コラムでは、電子化が停滞する原因と、フルスクラッチ開発を通じて真のDXを実現する方法について詳しく解説します。
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目次
【記事要約】霞が関の公文書電子化停滞、DX推進の遅れが人材流出と業務非効率を深刻化
霞が関では行政文書の電子化が依然として進まず、2023年度の電子化率は新規文書で36.2%、保有全体で19%にとどまる。デジタル庁など先進的な省庁が8割超の電子化を達成する一方、法務省や厚労省は1割前後と格差が大きい。要因には数値目標の欠如やオンライン化の遅れがあり、紙文化が根強く残る。電子化は改ざん防止や紛失削減、業務効率化に直結するが停滞は人材流出を助長。DX推進は信頼回復と持続可能な行政運営に不可欠である。
出典:日本経済新聞「根深い紙文化、霞が関縛る 公文書全体で電子化2割 省庁間格差も大きく」2025年7月28日付朝刊
ポイントをひとことで
DXを成功させるには、単なる電子化にとどまらず業務フロー全体を見直すことが不可欠です。霞が関の電子決裁の停滞は、従来の手順を温存したままシステムを導入した結果、効果を発揮できていない好例といえます。業務プロセスの可視化と不要な手順の削減を行い、それに即したシステムを構築することで初めて効率化と生産性向上が実現します。現場に適合したフルスクラッチ開発こそが、形だけで終わらないDXの実現に直結するのです。
電子化が進まないのはなぜか
電子決裁システムを導入したのに紙決裁が残る理由のひとつは、従来の業務フローをそのまま温存していることです。紙と電子が混在すると二重入力やファイル管理の手間が増え、効率化どころか現場の負担が増加します。さらに「慣れ親しんだ紙の方が安心」という心理的抵抗も、移行を妨げる要因となっています。
DXにおける業務フロー再設計の重要性
DXの本質は「単にツールを導入すること」ではなく「業務全体を変革すること」です。承認プロセスの短縮や権限設計の見直し、情報共有方法の改善など、業務の流れそのものを再定義しなければ効果は限定的です。
特に文書管理の分野では、検索性やタグ付け機能を活用することで過去の資料を即座に探し出せるようになり、意思決定のスピードが大幅に向上します。紙に依存していた頃に比べ、担当者が探す時間や保管作業に費やすリソースを大幅に削減できます。
業務フロー再設計がもたらす具体的な成果
- 決裁スピードの加速により、経営判断の迅速化を実現
- 文書探索時間の短縮による業務効率の向上
- 紛失や誤廃棄などのリスク低減
- 部署を越えたデータ共有の円滑化
- 担当者の負担軽減による人材流出リスクの緩和
フルスクラッチ開発が果たす役割
既製システムでは、業務の実態と合わない機能や制約が多く、結果として現場が「結局使いづらい」と感じることも少なくありません。フルスクラッチ開発であれば、業務フローの再設計と同時進行でシステムを構築でき、現場が自然に活用できる仕組みを実現できます。さらに、承認ルートや検索機能なども企業独自の要件に合わせて設計できるため、「導入したのに使われない」という事態を防ぐことが可能です。
DX成功に向けたステップ
- 現状の業務フローを詳細に可視化し、課題を洗い出す
- 改善の優先順位を定め、承認プロセスや情報共有の仕組みを再設計する
- 新しい業務フローに最適化されたシステムを構築する
- 利用者の声を反映し、継続的に改善していく
この流れを意識することで、単なる電子化から一歩進んだDXを実現できます。
まとめ
霞が関の電子化停滞の事例が示すように、システム導入だけではDXは成功しません。業務フローを根本から再設計し、自社の実態に即した仕組みを整えることで、初めて電子化の効果を最大限に引き出せます。DXを形だけで終わらせないためには、業務プロセスの改革とシステム開発を一体で進めることが鍵となります。
フルスクラッチ開発による業務フロー最適化を実現したいとお考えでしたら、当社フレシット株式会社にご相談ください。私たちは、お客様の業務プロセスを丁寧にヒアリングし、現場に根付くオーダーメイドのシステムを設計・開発しています。単なる電子化にとどまらず、DXの成果を実感いただける仕組みづくりを伴走型で支援いたします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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