システム連携とは?連携のメリットや具体例などを解説
2025-08-07

近年、業務効率化やデータ活用を加速させるには「システム連携」が必須であるという声が高まっています。日々の業務で使用している会計ソフト・在庫管理システム・CRMなど、それぞれがバラバラに動いているままでは生産性が低いという意見も多くなりました。
本コラムでは、システム連携の概要を解説します。システム連携するメリットや具体的な施策例を紹介しながら、全体最適に向けた対策を紹介するので、ぜひご参考になさってください。
目次
システム連携とは
システム連携とは、複数のシステムをつなぎ、データ収集や分析を自動的にやり取りできるようにする仕組みのことです。従来は人の手で入力・転記しなければならなかったデータのやり取りを自動化する取り組みとして注目されました。
システム連携が成功すると、業務間での「二重入力」「手作業での転記」「人為的ミス」などを減らすことができます。業務効率やデータの正確性を大きく向上し、業務全体のスピードと精度を高められるのです。
よくあるシステム連携の例
よくあるシステム連携の例として、以下のような事例が挙げられます。
- 顧客情報を営業部門のCRMに登録したら、自動で請求書作成システムにも反映される連携
- ECサイトで受注が入ると、在庫管理システムや配送管理システムと連動して処理が進む連携
- 勤怠管理のデータが自動で給与計算システムに送られる連携
つまり、1つのシステムに情報がインプットされると、もう1つのシステムにも自動でデータが移行される仕組みであるともいえます。「CRMにも請求作成システムにも別々に入力しなければ」などの手間を省ける他、情報の一元管理になるという点でも役立ちます。
システム連携をする5つのメリット
ここでは、システム連携をするメリットを解説します。業種問わず多数の企業がシステム連携に積極的な理由を知り、自社の改革に役立てましょう。
業務効率が上がる
システム連携の最大のメリットとして、業務全体のスピードと生産性が大幅に上がるという点が挙げられます。人が行っていた作業を自動化することで無駄な手作業が減り、本来集中すべき仕事にリソースを回せるようになります。
従来の手作業 | システム連携後 |
---|---|
顧客情報をCRMと請求ソフトに二重入力 | CRMで登録すれば請求ソフトにも自動反映 |
毎月売上データをExcelに手入力してレポート作成 | BIツールと会計システムが連携し、自動集計・グラフ化 |
注文を受けたら在庫確認 → メール送信 → 発送依頼 | EC・在庫・物流が連携して一括自動処理 |
勤怠データを毎月Excel集計 → 給与計算ソフトに転記 | 勤怠管理と給与計算が連携し、自動で給与反映 |
単に仕事が楽になるだけでなく、残業削減によるワークライフバランスの向上や従業員満足度の向上にも貢献するでしょう。
ヒューマンエラー対策ができる
システム連携を実現して自動的にデータのやり取りができるようになれば、ヒューマンエラーの対策にもつながります。
業務で発生するミスの多くは、人間の「手作業による入力や転記」が原因です。特に、同じ情報を複数のシステムに何度も入力するような業務では、入力ミス・漏れ・重複登録などが起きやすくなるので注意しましょう。
手作業でのミス | システム連携での解決 |
---|---|
顧客名の誤入力 → 請求書に間違った社名が記載される | CRMと請求ソフトを連携すれば、自動で正確に反映される |
商品コードの入力ミス → 誤った商品を出荷 | ECと在庫管理を連携すれば、注文情報が正確に引き継がれる |
勤怠時間の入力ミス → 給与計算にズレが生じる | 勤怠管理と給与ソフトを連携すれば、正確なデータが反映される |
売上データの集計ミス → 経営判断を誤る | 会計システムとBIツールを連携すれば、数字を直接引き継げる |
作業の多くが自動化され、そもそも人が触らなくて済むようになれば、当然ミスやトラブルは減ります。
リアルタイムに情報共有ができる
システム連携が完了し、各業務システム間で情報がリアルタイムに自動同期されるようになると、部署や担当者ごとに「今何が起きているか」を即座に把握できるようになります。現場の対応力はもちろん、管理職や経営層の意思決定スピードも大幅に向上するでしょう。
業務 | 連携内容 | 効果 |
---|---|---|
営業 × 在庫 | 受注情報が在庫管理に即時連携 | 在庫確認の手間がゼロ、納期回答が早くなる |
会計 × BIツール | 売上やコストのデータが自動で集計 | 月次報告不要。日次・週次で経営判断が可能に |
EC × 配送システム | 注文データが自動で配送伝票に反映 | 出荷対応が迅速化、配送ミスも減少 |
勤怠 × 給与 | 出勤情報がリアルタイムで給与計算に反映 | 締日前の残業状況などもすぐ把握できる |
リアルタイムでの連携ができると、単に「仕事の速さ」が上がるだけでなく、「素早く正確に動ける組織」を作る土台となります。特にビジネス環境の変化が激しい昨今、情報のスピードは自社の競争力向上に欠かせません。
部門間の連携がスムーズになる
システム連携を行うことで、各部署が共通の情報をリアルタイムで共有・連携できるようになり、全社で一体となった業務運営が可能になります。
特に、部署ごとに異なる業務システムを利用している企業では、情報や業務が縦割り(サイロ化)になりがちです。「営業が受注しても、製造現場に情報が届かない」「経理が最新の売上を把握できない」といったコミュニケーションコストが生じるので注意しましょう。
連携する部門 | 連携例 | 効果 |
---|---|---|
営業 × 製造 | CRMの受注情報が製造管理システムに即連携 | 手配ミスや伝達漏れがなくなる |
営業 × 経理 | 受注・請求・入金ステータスが連携 | 入金確認のための問い合わせが不要に |
サポート × 営業 | 問い合わせ履歴をCRMで共有 | クレーム対応や引き継ぎがスムーズに |
EC運営 × 倉庫 | 注文情報と在庫システムを連携 | 出荷対応が自動化され、欠品防止にもなる |
システム連携は「業務の自動化」だけでなく、「組織の分断を解消して横の連携を強化する手段」でもあります。トラブルや業務の属人化を防ぎ、チーム全体の生産性と信頼性を向上させることにつながります。
スケーラビリティ(拡張性)を確保できる
システム連携の仕組みが整っていれば、将来的な変化や追加にも柔軟に対応できます。技術革新や事業環境の変化が激しい中、新しいシステムを導入する際に大いに役立つでしょう。
反対に、システム同士がバラバラで連携されていないと新しいツールの導入が困難になり、拡張のたびに「作業が複雑化」「人手が増加」「コストが膨張」するという悪循環に陥ります。
シーン | 必要になる拡張 |
---|---|
事業拡大(新店舗・新部門の追加) | 新拠点・新部署でも同じ連携フローを使いたい |
システム入れ替え(老朽化・乗り換え) | 旧システムと新システムをスムーズに切り替えたい |
業務改善(ツール追加・RPA導入など) | 既存の流れに追加するだけで動かしたい |
海外展開・M&A | 異なる環境のシステムとの統合・接続が必要になる |
システム連携は、今の業務を効率化するだけではありません。将来の変化にも強い柔軟な業務基盤を築くという意味でも、非常に重要です。
システム連携に役立つツールの例
ここでは、システム連携に役立つツールを解説します。一口にシステム連携といっても、多数の手法があるのでチェックしておきしょう。
API連携プラットフォーム(iPaaS)
iPaaS(Integration Platform as a Service)は、異なるクラウドサービスやオンプレミスのシステム同士を対象に、APIを通してつなげるクラウド型プラットフォームです。
ノーコードまたはローコードで手軽に設計できるので、プログラミングの専門知識がない企業でも導入しやすいのがポイントです。また、データのリアルタイム同期から定期的な一括処理まで幅広く対応しているので、用途も多彩です。
以下では、代表的なツールや利用例を紹介しています。
ツール名 | 特徴 | 利用例 | 導入工数の目安 | 参考金額の目安(月額・税別) |
---|---|---|---|---|
Zapier | 非エンジニア向け、使いやすさ重視 | 小~中規模の業務連携、マーケ自動化 | 数時間~数日(セットアップのみ) | 無料プランあり、Starterプラン 約2,000円〜、Professionalプラン 約6,000円〜 |
Microsoft Power Automate | Microsoft製品と高い親和性 | Office365ユーザーの業務効率化 | 数日~数週間 | 約1,000円~/ユーザー |
Workato | エンタープライズ向け高機能 | 大企業の複雑な業務連携 | 数週間~数か月 | 数十万円~(企業向け見積もり制) |
MuleSoft Anypoint Platform | 大規模システム連携向け | 企業全体のシステム統合 | 数か月~半年以上 | 数百万円~(企業向け見積もり制) |
導入コストや期間も比較的短く、ツールによっては完全外注できるケースもあるので相談してみましょう。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
RPAは、人がPC上で行う繰り返し作業をソフトウェアロボットに代行させる技術です。API連携ができないレガシーシステムや画面操作が必要な業務でも、自動化が可能になるのが強みです。
ツール名 | 特徴 | 導入工数の目安 | 参考金額の目安(月額・税別) |
---|---|---|---|
UiPath | 市場シェアトップクラス、高機能 | 数週間~数か月 | 約10万円~(ライセンス数に依存) |
Automation Anywhere | エンタープライズ向け強み | 数週間~数か月 | 数十万円~(規模により変動) |
Blue Prism | 大企業向け、高度な管理機能 | 数か月~半年以上 | 数十万円~数百万円(大規模向け) |
WinActor | 国内製品、操作性の良さが特徴 | 数週間~数か月 | 約数万円~(小規模向けライセンス) |
特に、ある程度ルール化されている作業やルーティンワークの自動化に最適です。複雑な意思決定を必要としない連携がしたいときは、RPAを検討してみましょう。
ETLツール(データ統合ツール)
ETLツールは、複数のデータソースからデータを抽出・加工・変換・格納するツールです。大量データの連携に強みがあり、データ品質も高いため、大量データを定期的にまとめて処理したいときに活用するとよいでしょう。
ツール名 | 特徴 | 導入工数の目安 | 参考金額の目安(月額・税別) |
---|---|---|---|
Talend | オープンソース版あり、多機能で拡張性が高い | 数週間~数か月 | 数万円~(エディションによる) |
Pentaho | BI機能も統合、レポーティングまで対応 | 数週間~数か月 | 数十万円~ |
Apache NiFi | フロー型データ処理に強い、オープンソース | 数週間~数か月 | 無料(オープンソース)、サポートは別途見積もり |
Informatica PowerCenter | エンタープライズ向け高機能 | 数か月~半年以上 | 数百万円~(規模により大幅変動) |
その他、データのフォーマットが異なるシステム間での変換処理したいときや、顧客データを各システムから抽出しつつCRMへ統合してマーケティングに使いたいときなどにも役立ちます。AI・機械学習で活用するための準備として、役立ててもよいでしょう。
システム連携を成功させるポイント
システム連携を成功させるには、事前に以下の対策が必要です。
- 目的と要件を明確にする
- 連携対象システムを理解しておく
- 適切な連携方式・ツールを選定する
- 設計とテストを丁寧に行う
- 運用体制の構築と監視体制を作る
まずは、業務効率化、データの一元管理、リアルタイム連携など、システム連携をする目的を可視化しましょう。目的がわかれば、必要な機能や連携範囲などもわかるため、「自社でどんなシステム連携を目指すべきか」がわかります。
同時に、連携対象システムについて理解し、適切なツールを選ぶことも欠かせません。導入コストや運用のしやすさも視野に入れて選定すれば、オンボーディングも楽になります。
システム連携なら、業務全体を見通せる“設計力”と“実装力”を持つフレシット株式会社へ
市販のツールや既製の連携プラットフォームだけでは、自社固有の業務フローや将来的な拡張性にフィットしきれないケースも少なくありません。
フレシット株式会社では、ヒアリングから設計・実装・運用保守までを一気通貫で支援。「業務全体の最適化」から逆算したシステム連携を、フルスクラッチでご提案します。
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監修者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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