パートナー企業との協業を加速する共通基盤のつくり方
パートナーとの距離をゼロにする、共通基盤の力
2025-08-16

企業間の協業は、契約やプロジェクト単位では一定の成果を上げられても、長期的な関係を維持するのは容易ではありません。その背景には、連携を支えるシステムや情報基盤が単発対応型になっていることが多くあります。SBI新生銀行が進める共通基盤の構想は、継続的かつ安定したパートナーシップの実現という観点で、多くの企業に参考となります。
本コラムでは、パートナーと一体で動くためのシステム設計と、その設計が生み出す信頼とスピードの要素を解説します。
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目次
【記事要約】SBI新生銀行、公的資金完済後に地銀結合の中核へ──共通システムで再編を加速
SBI新生銀行は公的資金を完済し、次の成長戦略として全国の地銀を結び付ける構想を推進する。親会社SBIホールディングスが開発したAWS上のクラウド型勘定系システムを共通基盤として提供し、大手ベンダー依存の固定費を変動費化。既に福島銀行や島根銀行が導入し、運用コスト削減や機能追加の柔軟性を実証している。SBI新生は地銀の「中央金融機関」を目指し、融資やBaaSなど法人向けサービスで連携を拡大。地域経済活性化と地銀再編の受け皿としての役割が期待される。
出典:日本経済新聞「SBI新生 完済の先(上)システム軸に地銀結ぶ 地域成長へ再編の受け皿に」2025年8月5日付朝刊
ポイントをひとことで
協業を継続的に成功させるためには、単発プロジェクト対応型のシステムでは限界があります。共通基盤をフルスクラッチで設計することで、パートナー企業それぞれの業務特性を反映しながら、変化に強い柔軟な構造を構築できます。特にリアルタイムな情報共有、権限管理の精緻化、将来拡張を見据えたモジュール設計は、信頼とスピードを両立させる要となります。システムは単なるツールではなく、パートナーシップの質と持続性を左右する戦略的資産と捉えるべきです。
単発協業から継続的パートナーシップへ
一時的な協業はスピード感があり成果も出やすい一方で、時間の経過とともに情報共有の遅延や仕様の不一致が生じやすくなります。こうした課題を解消するには、契約やプロジェクト終了後も機能し続ける共通基盤が必要です。この基盤があれば、業務データや進捗状況をリアルタイムで共有でき、協業の効率と信頼性が向上します。
信頼を支える設計のポイント
パートナー企業との信頼関係を強化するには、共通基盤のセキュリティと透明性が重要です。アクセス権限の細分化、変更履歴の自動記録、業務プロセスの可視化などを組み込み、双方が安心して情報を共有できる環境を整えることが求められます。これにより、意思決定の迅速化やトラブル時の原因追跡が容易になります。
スピードを生み出す共通基盤の条件
協業におけるスピードは、迅速な情報伝達と即時の業務反映によって生まれます。フルスクラッチで開発することで、パートナー間のワークフローに合わせた専用機能を構築でき、不要な工程を排除しながら業務を自動化できます。また、APIを活用した外部サービス連携により、シームレスなデータ共有が可能となり、業務全体のリードタイムを短縮します。
継続的な改善を前提とした設計
長期的な協業では、ビジネス環境や法制度、顧客ニーズの変化に対応できる柔軟性が不可欠です。モジュール構造による段階的な機能追加、負荷分散を考慮したクラウド環境の活用、将来のシステム拡張を見据えたアーキテクチャ設計が、持続的な基盤運用を可能にします。
まとめ
パートナーと一体で動くためには、信頼とスピードを同時に実現する共通基盤が欠かせません。その基盤は、単なる情報共有のためのシステムではなく、協業の継続性と成長性を支える戦略的な仕組みです。フルスクラッチでの設計により、両社の業務特性に最適化された基盤を構築し、環境変化に強いパートナーシップを築くことができます。
フレシット株式会社は、企業ごとの業務特性やパートナー企業との連携方法を丁寧に汲み取り、最適な共通基盤をゼロから設計・構築します。フルスクラッチ開発ならではの柔軟性と拡張性で、信頼性の高いシステムと将来の変化に耐えうる基盤を実現。単発の協業にとどまらず、長期的なパートナーシップを支える仕組みづくりをお手伝いします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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