ファミマのAI活用に学ぶ──データ資産を競争力に変えるフルスクラッチ開発の可能性
2025-08-17

企業が日々蓄積する取引履歴や顧客行動データは、適切に活用できれば競合が容易に真似できない「経営の武器」になります。特にAI解析と組み合わせれば、需要予測の精度向上や販売機会の最大化、在庫の最適化など、収益を直接押し上げる施策に直結します。しかし、その潜在力を引き出すには、既製システムの枠に縛られない設計が不可欠です。
本コラムでは、ファミマのAIによる品ぞろえ最適化事例をヒントに、フルスクラッチ開発だからこそ実現できる「データ資産を未来への武器に変える方法」を掘り下げます。
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目次
【記事要約】ファミマ、AI解析で店舗データ活用し品ぞろえ最適化 販売5~10%増を実現
ファミリーマートは全国1万6000店の販売データや立地情報など100超の項目を生成AIで解析し、類似店から高収益な「手本店」を抽出。売れ筋商品の不足を補う品ぞろえ提案で、島ゴンドラ商品群の販売を平均5~10%向上させた。これにより在庫の入れ替え効率が高まり、欠品や廃棄削減にも寄与。さらに、AI解析結果をデジタルサイネージと連動させ、地域・時間帯別の販促や広告展開に活用し、成熟市場での収益力向上を狙う。
出典:日本経済新聞「ファミマ『お手本店』AI選出 立地など類似店に最適品ぞろえ提示 脱・勘頼み、販売5~10%増」2025年8月13日付朝刊
ポイントをひとことで
データ資産を競争力に変えるためには、単にAIを導入するだけでは不十分で、分析に耐えうる質と構造を持ったデータ基盤が必要です。既製システムの制約下では自社特有の情報を十分に活かせず、機会損失を招きかねません。フルスクラッチ開発であれば、業務プロセスや戦略に沿った形でデータ収集・統合・活用が可能になり、AIの解析精度を最大化できます。これは市場成熟期において持続的な差別化を実現するための重要な手段です。
データ資産が持つ“唯一無二”の価値
取引履歴や購買データ、来店頻度、顧客属性などは、年月をかけて蓄積されるほど価値が増します。これらは企業活動の中で自然に生まれ、他社には決して再現できない情報です。例えば、特定商品の購入サイクルや、顧客層ごとの反応率といった詳細なデータは、競争戦略を練る上で大きな差別化要因になります。データ資産は「今の顧客」を知るだけでなく、「未来の顧客ニーズ」を予測する力も持っているのです。
既製システムの限界が生む機会損失
既製システムは短期間で導入できる反面、収集できるデータの項目や粒度が制限されるケースが多くあります。カスタマイズできる範囲にも限界があり、自社特有の顧客行動や業務フローに沿ったデータを取得できないことも少なくありません。その結果、AI解析のために必要な詳細情報が不足し、予測モデルの精度が上がらない、あるいは現場で実用化しにくいという問題が発生します。これは「持っているはずの価値」を活かしきれていない状態です。
フルスクラッチ開発が拓く自由度と拡張性
フルスクラッチ開発では、最初から自社の戦略や業務プロセスに沿ってデータ収集・統合・活用の設計が可能です。例えば、POSデータと顧客属性を紐付け、購買行動を時系列で追跡する仕組みを組み込み、さらに店舗や営業所の立地データを掛け合わせることで、販売戦略の精度を飛躍的に高められます。新規事業や商品カテゴリの追加にも柔軟に対応でき、事業の成長に合わせたシステム進化が可能です。
AIの真価を引き出す“データの質”
AIは万能ではなく、投入されるデータの質によって結果が大きく変わります。フォーマットが不揃いだったり、欠損値が多かったりすると、どれだけ高度なアルゴリズムを使っても有用な結果は得られません。フルスクラッチのシステムでは、データ収集段階からAI解析に最適な構造を作れるため、精度の高い予測や意思決定が可能になります。これにより、在庫ロスや欠品リスクを減らし、需要変動への対応スピードを上げられます。
データ活用がもたらす現場の変化
ファミマのように、AI解析で得た知見を品ぞろえや販促計画に反映すれば、現場の意思決定は感覚や経験だけに頼らず、データに基づく根拠を持てるようになります。さらに、この情報をデジタルサイネージやECサイトのレコメンド機能に連動させることで、顧客接点ごとの最適化も可能です。現場のスタッフも「なぜこの商品を推すのか」という背景を共有でき、施策実行の納得感や一体感が高まります。
競争環境の変化とデータ戦略の重要性
市場が成熟し、価格や商品だけで差別化しにくくなる中、データを活用した戦略はますます重要になっています。競合が同じ商品やサービスを提供しても、自社独自の顧客データとAI解析による予測モデルがあれば、ターゲティングや在庫戦略、販促施策の精度で優位に立てます。データ資産を生かせるかどうかが、今後の成長スピードと市場でのポジションを大きく左右します。
まとめ
過去から蓄積してきた取引履歴や顧客行動データは、AI時代において企業を支える最も強力な資産の一つです。しかし、その潜在力を引き出すには、自社のビジネスモデルに合わせた柔軟なシステム設計が必要です。フルスクラッチ開発は、既製システムの制約を超え、データの収集から活用までを一貫して最適化できます。AI解析と掛け合わせることで、データ資産は単なる記録から、未来を切り拓く競争力へと進化します。
フレシット株式会社は、業務フローやデータ構造をゼロから設計し、自社固有の情報を最大限に活かせるフルスクラッチ開発を得意としています。既製システムでは収集しきれない粒度のデータや特殊な業務要件も柔軟に組み込み、AI解析に最適化された基盤を構築します。これにより、競合が再現できない差別化を実現し、長期的な成長を支える仕組みをお客様と共に創り上げます。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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