【生成AIと業務DXの進化から考える】汎用AIではたどり着けない──独自データを活かした業務特化型システム構築
他社にない情報が、意思決定の精度を上げる
2025-08-18

生成AIは多様な分野で活用が広がり、業務データの解析や意思決定支援にも役立つ時代になりました。しかし、一般的な学習データを基にした汎用AIでは、自社固有の業務フローや判断基準を反映した最適なアウトプットを出すことは困難です。業務の現場では、汎用的な情報よりも「自社の状況や基準に沿った答え」が求められます。
本コラムでは、自社に蓄積された業務ログやナレッジを最大限に活用し、汎用AIでは到達できない精度を持つ業務特化型システム構築のポイントを解説します。
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目次
【記事要約】生成AIで揺れる法テック業界、差別化の決め手は「使い勝手」
生成AIの急速な進化により、契約管理や法務調査を担うリーガルテック分野では、一般的な生成AIでも一定の成果が得られるようになった。これにより、専用サービスの普及が進む一方、差異化の必要性も高まっている。各社は契約レビューの細部まで自動確認できる機能や、業務に即した操作性の改善など「使い勝手」の向上に注力。弁護士監修や専門データの活用で精度を高め、誤回答リスクへの対応も進める。覇権サービスがない中、実務に根差した利便性の確保が競争力の鍵となる。
出典:日本経済新聞「生成AI、法テック揺さぶる 契約管理や法務調査 実用レベルに 各社が差異化を模索」2025年8月4日付朝刊
ポイントをひとことで
汎用AIは幅広い情報処理が可能ですが、企業固有の業務プロセスや判断基準を反映させるには限界があります。業務特化型システムは、自社が蓄積してきた業務ログやナレッジ、過去の成功・失敗事例を構造化し、意思決定の根拠として即座に活用できる点が強みです。汎用AIで網羅的な情報や多角的な視点を得つつ、特化型システムで精度と自社適合性を担保することで、現場はスピーディかつ的確な判断が可能になります。この役割分担が今後のDX推進における鍵となります。
汎用AIの限界と業務特化の必要性
汎用AIは幅広い情報に対応できますが、特定の企業や現場固有の基準までは考慮できません。例えば業務改善提案において、一般的なAIは効率化のヒントを提示できますが、その施策が自社のワークフローや制約条件に合致するかどうかまでは判断できないことがあります。この差は、外部では入手できない内部データを参照できるかどうかで生まれます。
独自データが変える意思決定の質
自社で日々蓄積している業務記録、プロジェクトの進捗ログ、過去の成功・失敗事例は、他社が持たない重要な資産です。これらをシステムに組み込み、AIや検索機能と連携させれば、過去の実績や事例に基づいた精度の高い意思決定が可能になります。たとえば、類似案件の成功パターンを瞬時に抽出し、新規案件の判断材料として提示するなど、現場に直結する活用ができます。
業務特化型システム設計のポイント
業務特化型システムを構築するには、まず独自データを構造化することが不可欠です。
- 業務ログは日付・担当者・作業内容・結果を紐づけて整理
- ナレッジはテーマや部門ごとに分類し、検索性を高める
- 成果や課題の履歴にはタグや属性情報を付け、他の関連データと組み合わせて横断的に検索・参照できるようにする
これにより、単なる情報の蓄積ではなく「業務の意思決定を加速する資産」へと変わります。
汎用AIとの棲み分け戦略
業務特化型システムは、汎用AIを排除するのではなく補完関係を築くべきです。
- 汎用AI:幅広い知見の取得、一次案の生成、全体的なアイデア出し
- 業務特化型システム:自社の基準や過去実績を踏まえた評価・最終判断
この組み合わせにより、情報の網羅性と自社適合性を両立できます。
まとめ
汎用AIは便利ですが、自社特有の業務データを反映しなければ、本当に価値のある意思決定にはつながりません。業務ログやナレッジを整理・構造化し、業務特化型システムに統合することで、判断の精度とスピードを飛躍的に高められます。汎用AIと役割を分担しながら、自社データを最大限活用することが、これからの競争力の源泉となります。
フレシット株式会社では、企業ごとに異なる業務フローや判断基準を丁寧に分析し、それらを反映した業務特化型システムをフルスクラッチで構築します。自社に蓄積された業務ログやナレッジ、過去事例などの独自データを最大限に活用し、現場が直感的に使えるUIと、自社に最適化された機能を一から設計します。汎用AIの強みを活かしつつ、既製システムでは実現できない精度と適合性を備えた仕組みを提供し、意思決定のスピードと質を同時に高めます。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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